中国海南省瓊海市のボアオ(博鰲)鎮は、ボアオ・アジアフォーラムの開催地として知られているが、ここ数年はボアオ・ニアゼロカーボンモデルエリアの建設で注目を浴びている。中国新聞網が伝えた。
ボアオ・ニアゼロカーボンモデルエリアは中国で初めてドイツエネルギー機関(DENA)から「ゼロカーボン運営エリア認証」を取得したプロジェクトであり、中国の住宅・都市農村建設部(省)と海南省が共同で推進するグリーン・低炭素モデルプロジェクトでもある。中核エリアはボアオ鎮東嶼島にあり、総面積は約1.8平方キロ。技術イノベーションと建築物のグリーン化による低炭素都市の建設を推進している。
モデルエリア運営管理センターの大型ディスプレイは、モノのインターネット(IoT)技術とデジタルツイン技術により、グリーン化の成果を可視化している。中遠海運博鰲有限公司ゼロカーボンデジタル技術革新部の劉洪文エンジニアは「モデルエリアの炭素排出量は2019年の1万4400トンから23年の470トンに減り、96.2%削減された。3.8%の炭素排出が残ったことにより、モデルエリアの名称に『ニア』という言葉がついた。これらの排出は主にメンテナンス機器や島に入る化石燃料車などの非ゼロカーボン源からもたらされたものだ」と説明。「ニアゼロはゼロではないが、重要な移行段階を反映している。効率的なエネルギー管理と炭素排出削減措置を通じ、モデルエリアはゼロカーボンの目標に近づいている」と述べた。
ボアオ・ニアゼロカーボンモデルエリアの低炭素目標は、イノベーションの集積により実現した。モデルエリアは「自然環境、エリアゼロカーボン、資源循環、スマート運営」のコンセプトを守りながら、再生可能エネルギーの利用、建築物のグリーン化、交通のグリーン化、新型電力システムの建設、物資のリサイクル、水資源のリサイクル、園林景観の生態化、運営のスマート化を組み合わせた「八位一体」のエリア炭素削減構造を構築しようとしている。
ゼロカーボンへの移行は炭素排出の削減や回避にとどまらず、炭素を固定するカーボンシンクの増加も含まれる。造園は都市における重要なカーボンシンク空間で、気候を調節し、水資源を節約し、汚染物を削減し、炭素排出水準を間接的に下げることができる。東嶼島の郷土型低炭素緑地造営の大半が、海南島現地の植生と樹種を採用し「異種混交」の栽培モデルにより、高カーボンシンクの植物群落を構築している。
瓊海市ではマングローブ湿地の体系的な修復も行われた。保全用のパイプや自然な潮汐の利用により、楽美湖と万泉河水域の生態連結を実現し、内湖の水質を改善するとともに、浮き洲を適切に保全し、林・浜・溝・湖の動的変化の湿地構造を形成した。これにより、鳥類、魚類、カニなどの多様な生物に良好な生息条件を提供し、完全なマングローブ「生物の連鎖」を構築した。
同地では、ホテルの照明と給湯にグリーン電力を使用し、レストランでは直火調理をしないようにしている。会議場でも、空調や音響などはすべて太陽光発電システムが使われており、その場にいる人々は知らぬ間に低炭素生活の快適さと利便さを体験することになるという。
(画像提供:人民網)