2025年02月17日-02月21日
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コエンザイムQ10を含むイネの新遺伝資源を創出

2025年02月21日

 コエンザイムQ10は人の健康、特に心臓の健康と密接に関係しており、ミトコンドリア呼吸鎖の電子伝達体であり、脂溶性抗酸化物質でもある。中国の科学者がゲノム編集技術により、コエンザイムQ10を合成するイネの新たな遺伝資源の創出に成功したことが、中国科学院への取材で分かった。関連論文は14日付で国際的学術誌「セル」に掲載された。人民網が伝えた。

 この研究は、中国科学院分子植物科学卓越イノベーションセンター辰山科学研究センターの陳暁亜院士(アカデミー会員)のチームと、中国科学院遺伝・発育生物学研究所の高彩霞氏のチームなどが共同で実施した。

 研究者はコエンザイムQの陸生植物における進化の軌跡及び主要酵素の自然変異の体系的な分析を通じ、植物コエンザイムQ側鎖長の制御に関する分子メカニズムを解析した。ガイド編集技術を利用してイネゲノムのCoq1酵素の5つのアミノ酸を改変することで、コエンザイムQ10を合成するイネの新たな遺伝資源を創出した。そして、小麦のゲノム編集においても重要な進展を遂げた。

 研究チームはコケ植物、ヒカゲノカズラ類、シダ植物、裸子植物、被子植物を含む67科・134種の植物サンプルを採集し、陸生植物におけるコエンザイムQの異なるタイプの分布法則を体系的に分析した。さらに1000種以上の陸生植物のコエンザイムQ側鎖合成酵素Coq1のアミノ酸配列の進化分析と機械学習を組み合わせることで、チームは最終的に、鎖長を決める5つのアミノ酸部位を特定した。さらに編集により、主にコエンザイムQ10を合成するイネを創出した。

 業界専門家は、コエンザイムQ10イネの開発成功により、コエンザイムQ10の食物由来の供給源が大幅に増加するとともに、今後イネの高栄養価作物化において極めて重要な意義を持つとしている。

(画像提供:人民網)

 
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