中国甘粛省敦煌市にある莫高窟では、何世代もの人々が「莫高窟の砂掃除」の記憶を共有してきたが、今では「微風と晴天」が敦煌の新常態(ニューノーマル)となっている。このことは「中国の極乾燥地域」と呼ばれた敦煌における生態安全バリア構築の1つの縮図で、これまでに3本のグリーンベルトがほぼ構築され、防風防砂能力が大幅に向上し、砂塵の発生頻度が減少した。中国新聞社が伝えた。
敦煌市林業草原事務センターの夏生福主任は「ここ数年、敦煌では現地の状況に合わせて、重点地域での防砂プロジェクト、砂の移動を抑えての植林・植草(固砂林)、砂漠化した土地の封鎖・保護、劣化した草原の修復などの措置を取り、砂漠化した土地の管理を加速させ、外周の灌漑・植林エリア、オアシス周辺の防風林ベルト、耕作地・居住地の防護林ベルト(ネット)からなる3本のグリーンベルトをほぼ構築した」と説明した。
クムタグ(庫姆塔格)砂漠の東端にある敦煌市は、オアシス面積が総土地面積の4.5%しかなく、水の蒸発量は年間平均で降水量の60倍近くになり、「中国で最も乾燥した地域の一つ」と呼ばれる。
夏氏によると、敦煌市は「三北(西北・華北・東北)」プロジェクトの建設、草原の生態保護修復、重点風砂エリアのガバナンスなどの生態プロジェクトを通じて、節水型灌漑や混交型造林、バイオ技術を用いた砂漠化対策などの実用的技術を積極的に推進し、草原の植物を中心とした砂漠エリアの生態安全システムを構築・強化してきた。これと同時に、国内の複数の科学研究機関が構築した砂漠化封鎖モニタリングスポットと連携し、科学的な砂漠化対策を探求してきたという。
敦煌が構築した生態安全バリアは、景観にも反映されている。敦煌駅と市街地エリアを結ぶ10キロ以上の道路沿いには、高くそびえたつ広大な防風林帯が広がっており、風すら通さないような配置は、見るものを圧倒する。
長年にわたり風に侵食され、砂が堆積し、風砂による損害を受けてきた莫高窟は、数十年にわたり砂漠化対策の新技術、新材料、新モデルを導入した結果、今では莫高窟エリアの砂の堆積量が95%以上減少し、風砂による損害が効果的に軽減され、同エリアの観光環境が改善された。敦煌研究院は引き続き、壁画に対する細かい粉塵などの潜在的な影響に注目し、防護対策のさらなる研究を進めるとしている。
(画像提供:人民網)