中国雲南省安寧市の温泉街道竜山村小組にあるBCC美麗(竜山)デジタルノマドセンターは、2024年6月のオープン以降、パキスタンやロシア、米国などの10カ国や、さらには中国の他都市からやって来た約100人が「デジタルノマド」として暮らしている。人民網が伝えた。
同市に来て半月になる海外旅行プランナーの譚鑫さんは、毎朝9時に穏やかな朝の陽ざしで目覚めると、ボランティアをするために半山カフェへと向かう。時間を見つけては、グラフィティが描かれた道を散歩したり、千年以上の歴史を持つ曹渓寺で精進料理を食べたり、「天下一の湯」と呼ばれる源泉を飲んだり、温泉に浸かったりしている。
2013年、福建省アモイ市の旅行会社で働いていた譚さんは、仕事を辞めて雲南省を旅行した。そして、今年の春節(旧正月)期間中に、ソーシャルコマースプラットフォーム「小紅書」で美しい竜山の写真を見て「一目惚れ」し、安寧BCC美麗(竜山)デジタルノマドセンターで暮らし始めた。安寧市に来て半月、譚さんはオンラインでオーダーメイド海外旅行プランの仕事をしている。
23年に安寧市の温泉の視察に来た李蓉さんは、竜山村小組の素晴らしい自然景色や素朴な風土、人情に魅了され、竜山の中腹にあるその小さな村で、共同起業者数人と共に、BCC美麗(竜山有酸素)計画プロジェクトを始める決意をした。
竜山村小組の人気が高まったことで、現地の村民にも収入増のチャンスをもたらしている。観光客が増えたため、村の農家楽(農家の生活を体験できる民宿)を利用する人も増えた。元々農業をして、自給自足の生活を送っていた村民は、デジタルノマドセンターや半山カフェの清掃作業や農産品の販売などを通じて、1カ月当たり2000~3000元(1元=約21円)の収入を得るようになった。
ここに来るデジタルノマドは、村民と同じ村で活動することで、新たな「化学反応」を起こしている。第一陣として入居した武漢牛拉松科技有限公司の創業者、李伝義さんは、周辺の村民が販売しているクルミの売れ行きが悪いことを知り、自身のソーシャルメディアプラットフォームや公式アカウントなどを活用して、それをPRした。あるライブ配信では、クルミを500キロ販売することに成功したという。
24年9月、安寧市はBCC美麗(竜山)デジタルノマドセンターに雲南省初の「デジタルノマド」人材拠点を設置した。同拠点は「政府が主導し、市場が運営し、社会が参加する」スタイルで運営されている。
人材拠点は、デジタルノマド人材の基礎情報や専門スキル、資源のポテンシャルを把握するためにデジタルノマド人材バンクを構築。適切な人材を、適切な現地のプロジェクトに配置できるよう取り組んでいる。また、「山で会議」「下山して実践」という2つのイベントブランドを立ち上げ、意見交換の場に関係部門を定期的に招いているほか、村に入居している人材が「下山」して実践や体験に取り組むよう働きかけ、人材が先進的な理念や広い視野を活用して農村振興や末端管理、都市マーケティング、投資誘致などの面で、実力を発揮できるようにしている。
譚さんは「ここの関連設備は充実している。人材拠点ができてからは、政府のプラットフォーム資源ともリンクできるようになった。私は今、オーダーメイド旅行プランに、安寧の景勝地を盛り込み、一人でも多くの人にこの美しい村について知ってもらえるよう取り組む計画をしている」と語った。
(画像提供:人民網)