中国では「将来、自分は人工知能（AI）に取って代わられるのか？」と心配するネットユーザーの声がよく見られる。中国新聞網が伝えた。
「AIに関して最も多く尋ねられる質問は何か？」とDeepSeek（ディープシーク）に確認したところ、「AIは人間の仕事を奪うのか？」をトップに挙げた。
AIに対する不安は、主に理解不足から生じている。まず、AIとは一体何なのかを明確にしてみたい。
技術的観点から言えば、現在のAIは「人間のように思考する」というよりも、「学習する機械」と表現するほうが適切だ。
1950年代以降、科学者はコンピューターに人間の感覚や認知能力を持たせようと多くの方法を試みてきたが、あまり成果は得られなかった。近年、ビッグデータに基づく深層学習（ディープラーニング）や機械学習が大きなブレイクスルーを遂げた。その基盤論理は、人間の脳の働きの模倣ではなく、データの統計モデリングだ。
AIは、むしろ高度化した「ツールボックス」や、個人の能力の「拡張パック」のようなものであり、AIを人格化する必要は全くない。
では「人間の仕事」はAIに取って代わられるのだろうか。いくつかの分野では、そうなる可能性がある。周りを見渡せば、いつの間にかAIドライバー、AIアナウンサー、AIティーチング・アシスタント、AIドクターが登場している。高度な推論モデルはあらゆる質問に答え、ロボット犬は荷物を背負って山道を軽快に歩き、AI巡回ロボットは空を飛び、地下にも潜る。疲れ知らずで感情の変動もないため、人間の働きでは足元にも及ばない。
しかし別の分野では、取って代わられることはあり得ない。AIは道具に過ぎず、人間ならではの感覚や判断、美的センスを代替するのは困難だ。また、旧来の職業が減少する一方で、新たな業態や職業も生まれている。歴史を振り返れば、自動車が馬車に取って代わり、印刷技術が写本に取って代わった際、短期的には失業者が出たものの、長期的には雇用機会が桁違いに増えた。
では、AIはどのようなチャンスをもたらすのだろうか。このほど発表された中国の「政府活動報告」にもその答えが示されている。「政府活動報告」では、「AI＋」行動を持続的に推し進め、デジタル技術と製造業や市場の強みをより良く結びつけ、大規模AIモデルの広範な活用を支援し、新エネルギーICV（インテリジェント・コネクテッド・ビークル）、AIスマートフォン、AIパソコン、スマートロボットなど次世代のスマートデバイスやスマート製造機器の発展に力を入れるとしている。
「AI＋」はあらゆる産業に活力を吹き込み、すでに動き始め、走り出している。テクノロジーの善用は、本質的に全ての人々により多くの機会を創出するものである。