中国科学技術大学の潘建偉氏、彭承志氏、廖勝凱氏らは、済南量子技術研究院や中国科学院上海技術物理研究所、超小型衛星イノベーション研究院などの機関と共同で、世界で初めて量子ナノサットと小型の可搬型地上局の間でリアルタイムの量子鍵配送を実現した。チームはこれをもとに、南アフリカのステレンボッシュ大学の研究チームと協力し、中国・南アフリカ間で1万2900キロメートル以上の距離を超えた量子鍵を構築し、画像データのワンタイムパッドの暗号化と伝送を実施した。中国青年報が伝えた。
研究は実用的な衛星量子通信ネットワーク構築に向けて道を開くもので、研究成果は20日付で国際的学術誌「ネイチャー」にオンライン掲載された。
中国科学技術大学が主導した量子科学実験衛星「墨子号」は以前、世界初の衛星-地上間量子鍵配送を実現した。だが同衛星は、地球全体を直接カバーできず、コストが高いため、複数の低コスト量子ナノサットを打ち上げ、ネットワーク化することが急務となっている。
今回の研究では、量子ナノサットと複数の地上光学ステーションが光リンクを確立し、リアルタイムの衛星-地上間量子鍵配送実験を実現した。今回の成果は、将来、複数のナノサットを打ち上げ、衛星コンステレーションを構築するための基礎を固め、大規模で実用的な量子通信ネットワークの構築に向けた重要な技術的支援を提供している。