2025年04月07日-04月11日
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リサイクル可能な風力発電ブレードが出荷

2025年04月07日

 中国中車傘下の株洲時代新材料科技が開発した中国初のリサイクル可能な熱硬化性樹脂製ブレード「TMT82」がこのほど、出荷された。科技日報が伝えた。

 同社風力発電製品事業部開発センターの陳煌副主任は「TMT82は大型風力発電機用に設計されたブレードで、長さは82メートル。受風面積は標準的なサッカーコート3面分に相当する2万1000平方メートル以上だ」と紹介。「TMT82はリサイクル可能な熱硬化性樹脂とガラス繊維複合材料で構成されており、その外形は精密な空気力学の最適化を経て、飛行機の翼に似た流線型デザインを採用し、風エネルギーを効率的に捕捉できる」と述べた。

 従来のブレードは普通熱硬化性樹脂で製造され、内部の分子構造が網目状になっており、溶解も溶融もしない。そのため、廃棄後に多くが焼却・埋め立て処理や物理的破砕処理が行われ、価値が低く二次汚染を引き起こしやすい。TMT82の大規模な応用は、経済や環境、社会に大きな利益をもたらすという。

 陳氏は「TMT82は革新的に可逆化学結合樹脂システムを採用し、従来のエポキシ樹脂の機械的性能を維持しつつ、化学解重合技術を通じて樹脂と繊維の効率的な分離を実現することで、ブレード材料リサイクルの目的を達成する」と強調。「TMI82を搭載した4キロワット(kW)風力発電機は、中国の陸上風力発電の年間平均有効利用時間2500時間で計算すると、年間発電量が約1000万キロワット時(kWh)となり、4000世帯分の年間電力を賄える」と説明した。

 TMT82を廃棄する際の固形廃棄物が大幅に減少し、有毒・有害ガスの放出を効果的に回避できる点について陳氏は「従来のブレードの固形廃棄物処理方法と比べると、TMT82の全ライフサイクルにおけるカーボンフットプリントを26%以上削減できる。廃棄されたブレードを適切なサイズに切断し、温和な条件下で樹脂の解重合が完了した後、リサイクルされた再生樹脂は、ハンドレイアップ樹脂やエポキシ床材などの製造に直接利用でき、大きな経済的価値を生み出す」と述べた。

 
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