2025年04月07日-04月11日
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ゴビ砂漠がブルーベリー園に変身

2025年04月09日

 中国チベット自治区山南市阿扎郷のゴビ砂漠の中心部では、印象的だった砂塵が巻き上がる光景はもはや見られなくなり、強い日差しを浴びて銀色の輝きを放つスマート温室が一面に広がっている。人民網が伝えた。

 ゴビ砂漠でミニトマトの栽培に成功し有名となった「ゴビ田園」では現在、土壌に対する要求が極めて高いブルーベリーも根付くようになり、現代農業における「劇的な逆転劇」が繰り広げられている。

 阿扎郷西蔵ゴビ田園農業科技の植物工場内では、技術者の劉家平さんと措姆さんがブルーベリーの生育状況を確認していた。同社は2024年7月、ミニトマトの工業化栽培技術の蓄積をもとに、IoT(モノのインターネット)遠隔制御やデジタルセンシング、マンマシン一体化、スマート環境管理、中央水肥システムなどの工業化・スマート化技術を応用。高付加価値商品作物の品種拡充を進め、ブルーベリー工業化栽培の技術的困難をいち早く克服した。

 措姆さんは「植物保護と水肥一体化灌漑システムを組み合わせることで、正確な施肥と灌漑が可能となり、自動操作によりブルーベリーに必要な温度、湿度、水・肥料などのパラメータを常に最適な状態に保つことができる。ゴビ田園のブルーベリー栽培面積は現在約13.3ヘクタールで、初年度の生産高は1000万元(1元=約20円)、2年目は1800万元以上を見込んでいる」と語った。

 スマート温室内では、サファイアのように輝くブルーベリーの房が高原の澄んだ日差しを浴び、ふっくらとした果実が天然のブルーム(果粉)で覆われている。収穫期になると、作業員はバスケットを持ちブルーベリー畑の中を行き来し、入念に選別したブルーベリーを鮮度保持箱に詰め、コールドチェーン専用ルートにより各地へ出荷している。

 措姆さんは「私は華中農業大学の農業資源・環境専攻を卒業後、ブルーベリー拠点が設立された時からここで働いている。安定した収入を得られるだけでなく、先進的な栽培技術も学べるため、家の近くで働くという幸せを実感している」と笑顔を見せた。

 荒涼としていたゴビ砂漠で風砂に埋もれていた希望は、知恵と汗によって甘美な果実として実り始めている。

(画像提供:人民網)

 
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