人間と人型ロボットが共に走る世界初のハーフマラソン大会が北京時間19日午前7時30分、中国北京亦荘(北京経済技術開発区)でスタートする。北京スマートeスポーツイベントセンターではこのほど、ロボット出場チームがシミュレーションやロードテストを行い、ロボットランナーの公式デビューに向けた最終調整を行った。新華社が伝えた。
2025北京亦荘ハーフマラソン兼人型ロボットハーフマラソンは、人間とロボットが21.0975キロを共に走るという革新的な開催方式を採用。当初は13日に開かれる予定だったが、強風のため延期となった。今回の大会では9000人以上のアマチュアランナーと20社近くのロボット企業が出場する見込みだ。
テスト走行では、人型ロボットが時速10キロ前後のペースで走行。電源を切らずに10秒ほどでバッテリー交換を行うこともできた。このほか、ロボット本体と関節へのランニングによる衝撃を軽減するため、保護用の「スポーツシューズ」を履いた人型ロボットも見られた。
主催者側はテスト会場に各ロボットチーム用の個別の作業室を設置。ロボットの組立やテストがしやすい環境を提供した。北京経済技術開発区管理委員会の梁靚副会長は「組織委員会は今回のハーフマラソンコースを丁寧に設定した。自然、人文、科学技術の要素を取り入れ、南海子公園や文博大橋、泡桐大道などのランドマーク的スポットを通過するようにした」と紹介した。
今大会のコースはロボットにとっては決して簡単ではない。平坦なアスファルトだけでなく、凹凸やひび割れのある路面もあれば、緩やかな長い坂道や急な短い坂道もあり、石畳や草地、砂利道などのエリアもある。走る際にはペースや姿勢を調整し、動力とブレーキを適切にコントロールする必要がある。
「天工チーム」技術責任者の郭宜劼氏は、「人型ロボットのマラソンはエンボディドAI『大小脳』や本体設計の最適化などの準備が必要だ。エンボディドAIではまず、ランニングの速度を持続的に高め、関節のトルクや回転速度の限界値を探る必要がある。次に、運動の安定性を高める。人型ロボットの運動中の状態や環境への感知の精度を高め、それに応じた調整を行う。また、ロボットのランニングをより人間に近づけるため、人間の運動データを取り込むことで、『自然な走り方』を実現する必要もある」と説明した。
また、ロボット本体の設計について郭氏は、「構造の軽量化と強度のバランスの最適化が必要で、足のカップリング設計を行い、熱伝導や空冷技術を改善し、運動の安定性と航続能力を高める必要がある」と述べた。
人型ロボットのマラソン大会の競技方式は、モータースポーツのレースに似ている。ロボットはチーム単位で出場し、同時に走る人間のペースメーカー、オペレーター、エンジニアを帯同する。バッテリー交換は自動車レースのタイヤ交換に似ており、スタート方法も個別にタイムを計測する「クオリファイング」形式を採用する。
梁氏は「人型ロボットと人間が共走するマラソンは、主催者側、出場チーム、人間のランナー、観客にとっていずれも世界初となる。ロボット大会の開催は終点ではなく、産業発展と交流の新たな出発点となるので、あたたかい目で見守ってほしい。人型ロボットは人間に寄与するための存在で、その小さな一歩は、やがて人類の科学技術発展の大きな一歩になるだろう」と強調した。
(画像提供:人民網)