2025年04月21日-04月25日
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視覚障害者向けウェアラブルAI支援システムを開発

2025年04月21日

 上海交通大学などの研究チームがこのほど、視覚障害者のナビゲーションを行うウェアラブルAI(人工知能)支援システムを新たに開発した。このシステムは視覚・聴覚・触覚を統合し、AIアルゴリズムにより環境を探知するもので、着用者が障害物や物体に接近した際に信号を送信することで、移動や掴み取りなどのタスクの遂行を支援し、視覚障害者が自立生活能力を高めるのを支援する。中国新聞社が伝えた。

 この生体医工学分野におけるAI応用に関する重要な研究は、上海交通大学の顧磊磊副教授のチームが復旦大学や香港科技大学、華東師範大学などと共同で実施したものだ。関連研究成果は北京時間14日、シュプリンガー・ネイチャー傘下の専門学術誌「Nature Machine Intelligence」にオンライン掲載された。

 論文の責任著者である顧氏によると、視覚障害者にとって、ウェアラブル電子視覚支援システムは医学的治療や人工視覚インプラントに代わる将来性の高い選択肢だ。これらのデバイスは周囲環境における視覚情報を、聴覚や触覚など感覚信号に変換することで、日常的なタスクを支援する。しかし現在はシステムの使用負担が大きく、視覚障害者にそれほど受け入れられていない。

 研究チームはこれらの課題に対処するため、人間中心の視覚障害者支援システムを設計・開発した。AIアルゴリズムとハードウェアの協同イノベーションを通じ、使用者の負担を軽減し、システムの使いやすさを向上させている。同システムは分析装置のカメラで撮影した動画をAIアルゴリズムで解析し、立体音響を通じて脳に情報を伝達しながら、使用者が目標を達成するよう段階的に誘導するものだ。研究チームはさらに、手首に装着可能な伸縮性人工皮膚も開発。振動信号を使用者に伝えることで、観察範囲を拡大し、両側の静的・動的障害物を回避することができるという。

 チームは開発したウェアラブルAI支援システムの機能を検証するために人型ロボットでテストを行い、仮想および現実環境の両方で訓練とテストを実施した。その結果、被験者のナビゲーション中およびナビゲーション後のタスクにおけるパフォーマンスが顕著に改善された。例としては、被験者が迷路を通り抜けたり、机と椅子が並んだ会議室を歩いたり、特定の物体を掴み取ったりすることができたという。

(画像提供:人民網)

上海交通大学
復旦大学
華東師範大学
 
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