中国遼寧省大連市旅順口区にある中車大連機車車両の工場では、2000キロワット(kW)水素燃料電池ハイブリッド機関車の試験が行われていた。科技日報が伝えた。
数十キロ離れた大連理工大学の実験室から、水素エネルギーの研究に関する知らせが届いた。同大学の劉家旭教授のチームが担持触媒の開発で画期的な進展を遂げたという。学術誌「サイエンス」に掲載されたこの成果は、触媒反応における水素の役割を生かし、高効率な担持触媒の設計に新たな技術的ルートマップを提供するもので、すでに1000トンクラスの工業用触媒として化学工業の中核分野で応用されている。
大連ではこのように、水素エネルギーエコシステムの構築を推進する具体的な取り組みが行われている。国家レベル燃料電池車実証都市に選ばれたことで、水素エネルギー産業の発展に「大連モデル」を提供している。
研究成果は実験室を出て実際の生産力へと転換されてこそ、産業発展を推進することができる。
中車大連機車車両の機関車開発部新エネルギー動力室の呂婷婷室長は、「当社が独自に開発・製造した2000kW水素燃料電池ハイブリッド機関車は、中国初の大出力チタンベースプレート水素燃料電池入換機関車だ。動力電池の最大放電出力は1800kWで、870kWの大出力急速充電が可能だ」と述べた。
同機関車の研究開発は、水素燃料ハイブリッド動力により汚染物のゼロエミッションを実現し、従来のディーゼル機関車を直接代替することで、交通分野の脱炭素化に貢献している。
2020年に「水素エネルギー総合利用モデルプロジェクト」が開始し、今では64社の会員企業が集まり、年間生産高120億元(1元=約20円)の産業クラスターが形成された。大連ハイテク産業パーク水素エネルギー製造業イノベーションセンターが発足し、国創水素エネルギー、大検集団水素エネルギー検査センターなどのプロジェクトが次々と稼働した。また、液体化学品係留施設や液化炭化水素係留施設、関連補助施設が着工した。
大連は強力なイノベーション能力、完全な産業チェーン、豊富な低コスト水素資源、多様な水素エネルギー産業モデルという4つの優位性を利用し、低炭素新興産業の発展を積極的に展開し、新たな質の生産力を構築している。