中国工程院院士(アカデミー会員)で東南大学教授の繆昌文氏のチームがこのほど、世界初となるバイオミメティクス自己発電「エネルギー貯蔵コンクリート」を発表した。科技日報が伝えた。
研究チームは、N型熱電セメントとP型熱電セメントという2種類の自己発電型セメント系メタマテリアルを開発した。チームメンバーである東南大学教授の周揚氏は「これら2種類のメタマテリアルは主にセメントを原材料としている。特殊な加工技術を用いてポリビニルアルコールなどの有機物を加え、植物の根茎組織に似た、軟質と硬質が交互に並ぶ層状微細構造を持つセメント系複合材料を構築した。このような微細構造はセメントの強靱性を約10倍向上させると同時に、セメント系材料内のイオン伝導プロセスをよりスムーズにする」と説明した。
周氏は原理について「セメントとポリビニルアルコールが形成する界面には、イオン選択性があり、セメント中のカルシウムイオンは界面に捕捉されやすいが、水酸化物イオンは界面を突破して高速移動できる。これにより、セメント層の上下表面に電位差が生じる。セメント表面に温度差が生じると、材料内のイオン伝導速度に差が生じ、差が大きいほど電位差も大きくなり、結果として発電が可能になる」と語った。