【23-66】ヘチマスポンジがスマートデバイスになる!?
王 怡(科技日報記者) 2023年11月22日
ヘチマスポンジ(画像提供:視覚中国)
中国の北京航空航天大学は10月22日、同大学航空科学・工程学院の邵麗華教授が、北京大学の王建祥教授、米国ヒューストン大学の研究チームと協力し、自然の生体材料である多孔質ヘチマスポンジが大きなフレクソエレクトリック効果を持つことにヒントを得て、多孔質生体材料をグリーン環境保護型フレキシブル発電デバイスやその他のスマートデバイスに応用する新たな方法を提起した。関連研究成果は学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された。
機械的・電気的結合の効果を持つフレキシブル材料は、機械による刺激や電場の作用を受けると、電気信号と変形を相互変換でき、ソフトロボットや人工筋肉、バイオメディカルなどの分野で幅広く応用される可能性がある。フレクソエレクトリック効果とは不均一変形(弯曲など)により材料の偏りが起こり、つまり正負電荷の中心が分離し、電圧が発生する現象を指す。フレクソエレクトリック効果はよく見られる機械的・電気的結合の効果であり、材料の対称性による制約を受けず、すべての誘電体の中に存在する。しかし、フレキシブル材料の偏りによる発電量は小さく、そのため発電量をどのように引き上げるかが、この分野の最先端課題となっている。
研究チームは自然の多孔質材料であるヘチマスポンジが大きなフレクソエレクトリック効果を持つことを見つけ、機械的・電気的結合の模型を作成し、その機械的・電気的結合メカニズムを明らかにした。通常のフレキシブル材料ではフレクソエレクトリック効果は弱いが、ヘチマスポンジ属のフレキシブル材料は優れたフレクソエレクトリック効果を示した。
研究者によると、ヘチマスポンジは海綿に似た形状で、内部にはサイズが異なる二次通気組織の多孔構造がある。一次通気組織はヘチマスポンジの強い繊維が織りなすマクロ多孔組織で構成され、二次通気組織はその繊維の内部にあるハニカム構造の維管束がミクロの通気構造を構成している。こうした特異的な二次通気組織の多孔構造が、軽量で小型のミクロ構造に高い「たわみ曲線」が生じやすくなるという特性を与え、大きなフレクソエレクトリック効果を生み出すための条件を提供している。
研究者は「ヘチマスポンジは環境に優しく、生産量が多く、低価格の自然材料であるため、その機械的・電気的な応答性能により、スマートデバイスへの応用について、極めて大きなポテンシャルを持っている」と語った。
※本稿は、科技日報「丝瓜络也能做成智能器件」(2023年10月24日付6面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。