中国の宇宙貨物船「天舟9号」が15日、海南省の文昌宇宙発射場から打ち上げられた。宇宙ステーションでの生命科学や材料実験に使われる資材が搭載されており、その総重量は776.5kgに及ぶ。中国新聞網が伝えた。
今回のミッションでは、宇宙生命科学・バイオテクノロジー、宇宙材料科学、微小重力下における流体物理と燃焼科学などの分野で、計23件の科学実験が実施される予定で、10の研究機関と11の大学が参加している。うち3件の生命科学実験では、文昌宇宙発射場でのサンプル調製と打ち上げ直前の設置作業が必要とされた。対象となる実験サンプルには骨格筋前駆細胞、肝細胞、脳オルガノイドチップなどが含まれる。
宇宙生命科学・バイオテクノロジーの分野では、実験モジュール「問天」に搭載されたバイオテクノロジー実験ラックを用いて、臓器チップ技術を使った宇宙環境がヒトの血液脳関門に与える影響、微小重力下での骨格筋前駆細胞の移動メカニズム、核酸脂質ナノキャリアの生物学的機能に関する研究などが実施される。
これら3件のプロジェクトはそれぞれ、宇宙の微小重力環境がヒト脳オルガノイドの構造や機能に与える影響とそのメカニズム、骨格筋前駆細胞の遊走挙動、核酸脂質ナノ医薬品の細胞内輸送における規則性やメカニズムの解明を目的としており、人体の生理・病理に対する認識を深めることで、人類の健康維持に向けた基礎的な知見を提供するとしている。