中国江西省上饒市にある晶科能源(ジンコソーラー)のスマートメガファクトリーは、太陽光発電業界における「スーパーエンジン」とみなされている。工場内の全長1キロの生産作業場は「人」が主役ではなく、AGV(無人搬送車)が行き交い、ロボットアームが伸縮し、コンベアが絶えず稼働するなど、機械化された設備が生産の主力を担っていた。中国新聞網が伝えた。
同工場は、シリコンウェハーからモジュールまで、太陽光発電産業の全産業チェーンをカバーしており、1日に平均390万枚の太陽光電池を生産、1秒あたり平均45枚のセルが完成している。
このような効率的な生産を支えているのは技術革新だ。同社の投資家向け広報担当上級ディレクターである魏添氏は、「持続的な技術イノベーションが中国の太陽光発電企業におけるメインテーマになる」と語った。
1990年代、中国の太陽光発電企業は製造コストの優位性を背景に、急速に国際市場に参入し、中国は世界の「太陽光発電製品の製造工場」となった。しかし当時、コア設備や原材料は欧米諸国に依存していた。その後、企業の継続的な技術開発を経て、この10年で中国の太陽光発電産業は大きく発展した。
KPMG中国の顧客・事業開発統括パートナーである江立勤氏は、「中国の太陽光発電企業は、国内の強力な研究開発とサプライチェーンシステムを生かし、『製品の輸出』から『製造・サービス・サプライチェーンの輸出』へと発展している」と述べた。今後は、欧州・中東・東南アジアなどが中国企業にとって重点市場となる可能性が高いという。
魏氏によると、2030年には世界の太陽光発電の累積導入量が「TW(テラワット)時代」(1テラワット=1000ギガワット)に突入し、今後数年は世界の太陽光発電導入が二桁成長を維持すると予測されている。ジンコソーラーもグローバル展開を加速しており、特に海外市場でのパートナー探しに注力しているという。中国の技術力や管理能力と、現地企業の資本・市場の強みを融合させた共同発展を目指している。
ジンコソーラーは、マレーシア、ベトナム、米国、サウジアラビアなどで製造拠点を設立済みで、ドイツ、ブラジル、日本などにも現地販売・サービスネットワークを構築している。
他の中国の太陽光発電大手も、海外での生産拠点設立に乗り出している。隆基緑能科技は6月、インドネシア国営石油会社の新エネルギー・再生可能エネルギー子会社と戦略的提携を発表し、年間1.6GWの太陽光パネル生産能力を持つ先進製造拠点の建設を開始した。また5月には、紅太陽新能源がナイジェリアの企業と協力し、カノ州に600MWの太陽光パネル工場を建設することで合意した。24年12月には、晶澳科技がオマーンに年産6GWの高効率太陽電池および3GWの高出力モジュール工場を総額約40億元(1元=約20円)投資して建設する計画を発表している。
業界関係者は、「中国の太陽光発電産業は、製品提供からサプライチェーン全体の海外展開へと発展しつつある」との見方を示している。
江氏は今後の見通しとして、中国の一部企業が欧州へ製造拠点の一部を移転することが予想されるほか、設備・シリコンウェハーの一括輸出および関連サービスの提供も強化され、現地の政策と連携しながら欧州の国産化を後押しする動きが進むと述べた。