中核集団中国原子力科学研究院によると、同研究院反応炉工学技術研究所が担当する「一体化閉ループ高速炉原子力システム」プロジェクトで、統合型余熱除去の原理検証試験がこのほど完了した。人民日報が伝えた。
原子炉の炉心余熱除去能力は、基本的な安全性にとって極めて重要だ。冷却材の自然循環によって炉心の余熱を非能動的に取り除くことは、高速炉が備える固有の安全性能を示している。高速炉で自然循環を効率的かつ確実に実現・検証することは、現在国際的にも注目される難題となっている。
こうした課題を克服するため、同研究院は一体型高速炉の設計に新型の非能動余熱除去技術を導入した。これにより、いかなる能動的な設備に頼ることなく、炉心の余熱を効果的かつ安定的に取り除くことを可能にした。
同研究院のチームは、原子炉本体内部において設備が多数存在し、構造が複雑であるという困難を乗り越え、高速炉の自然循環と新型非能動余熱除去システムの試験・シミュレーション技術を確立。全可視化の一体型高速炉総合シミュレーション試験装置の開発に成功し、技術原理の検証を行った。
同研究院は、新型非能動余熱除去システムの技術原理を確立しており、得られた重要データは今後の原子炉工学設計に提供できるとしている。