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浅海から深海へ進む水中考古調査

2025年09月03日

 中国海南省瓊海市にある中国(海南)南中国海博物館は夏休み期間中、多くの見学者で賑わい、1日当たりの来館者は普段の約5割増となった。人民日報が伝えた。

 展示ホールでは、「明琺華貼金鏤空孔雀牡丹紋大罐」と名付けられた壺が静かに存在感を放っていた。華やかなデザインで、透かし彫りと金箔を施したこの壺は、昨年の時点では、10万点以上の他の陶磁器や木材と共に、水深約1500メートルの海底に眠っていた。

 同博物館の辛礼学館長は、「深海調査船のカメラを通して、初めて南シナ海西北大陸斜面1号、2号沈没船遺跡を見た時、全員が驚いた。そこは、まるで時間が止まってしまった『宝石箱』のようで、保存状態が非常に良かった。2022年から始まった考古学的発見は、中国の水中考古学が浅海から深海へ歩みを進めたことを示すものと言える」と述べた。

 晴天に恵まれた2022年10月23日、500回目の潜水任務を行っていた有人潜水調査船「深海勇士号」の乗組員が突然、「大量の陶製の貯蔵器発見!」と驚きの声を上げた。

 当時、「深海勇士号」は、三亜市から約150キロ離れた海南島南東の海域を調査していた。そこは「南シナ海西北大陸斜面」と呼ばれており、古代沈没船2艘が発見された。中国が水深約1500メートルの深海で明の時代の沈没船遺跡を発見したのは初めてのことだった。

 水深1500メートルとは、何を意味するのだろうか。そこは、常に暗闇に包まれた「深海の無人地域」で、水圧は潜水士が耐えることのできる限界をはるかに超えている。辛館長は「2018年より前は、中国の水中考古学調査は、基本的に水深40メートルまでの浅海に限られていた。深海の考古学調査と浅海の考古学調査は異なり、テクノロジーの支えがなければ、深海は考古学にとって調査対象範囲外だった」と説明した。

 極端な環境下では乗り越えなければならない試練も大きい。考古学調査プロジェクトのリーダーである宋建忠氏は、「この発見は非常に珍しい。このような深海考古学調査は、参考にできる前例がなかった。この挑戦が成功したのは、10年以上かけて開発したテクノロジーのおかげだ」と語った。

 2009年、深海有人潜水調査船「深海勇士号」の建造プロジェクトが立ち上げられ、2017年10月に海上試験運転を実施。中国科学院深海科学与工程研究所に引き渡された。中国が開発した国産化率95%以上のこの有人潜水調査船は、8年かけてチタン合金の耐圧殻、深海用浮力材、低ノイズプロペラなどのキーテクノロジーのブレイクスルーを実現し、作業能力は水深4500メートルに達した。これにより、中国の考古学者は初めて、水深1000メートル以上の海底世界を調査できるようになった。

 
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