中国北京市にある「持続可能な開発ビッグデータ国際研究センター(可持続発展大数据国際研究中心)」はこのほど、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に向けた大規模言語モデル「霊息」を発表した。科技日報が伝えた。
同モデルは、最先端のAI(人工知能)技術を活用し、SDGs研究におけるデータ統合、知識抽出、意思決定支援などの課題を解決。研究者と政策決定者の作業スタイルを抜本的に変革することを目指している。
同モデルの中核機能には、スマートデータ分析とSDGs進展予測がある。文献レビュー、指標分析、報告書作成、3次元インタラクション、スマートナラティブという5つの知的エージェントを備え、AI技術によるSDGs達成の面で先導的な役割を果たすことが期待されている。
包括的なSDGsに関する研究報告書を完成させるために、研究者はかつて数か月かけて世界中の膨大なデータベースや学術論文の中から情報収集を行う必要があった。ところが現在では、研究者が必要とする調査内容を普通の言葉でAIに伝えるだけで、AIエージェントが世界中の膨大な多言語学術リソースを並行検索し、並べ替えや相互検証、出典追跡を行い、2万字に及ぶ構造が整った、引用の正確率が90%以上の高品質な報告書を自動生成できるという。これにより、従来数か月を要した文献調査作業が数分に短縮され、研究の生産性が大幅に向上する見込みだ。
同センター主任で中国科学院院士(アカデミー会員)の郭華東氏は、「この大規模言語モデルの運用開始は、世界のSDGsガバナンスに新たなインフラを提供するものとなる。これは単なる効率の向上ではなく、研究パラダイムそのものの革命であり、世界的な『データの洪水』を、科学的な意思決定を支える『スマートな泉』へと昇華させ、『データ』から『知識』へ、さらに『意思決定』へとつなぐものとなる」と述べた。