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中国のチーム、水素陰イオン電池のプロトタイプを開発

2025年09月26日

 中国科学院大連化学物理研究所の研究チームは、新型の水素陰イオン電解質を開発し、その上で水素陰イオンプロトタイプ電池の開発に成功した。研究成果は17日、「ネイチャー」のWeb版に掲載された。科技日報が伝えた。

 水素は将来のクリーンエネルギー体系の重要な構成要素で、通常は水素陽イオン、水素原子、水素陰イオンの3つの形態で存在する。うち水素陰イオンは反応活性と電子密度が高いため、大きな潜在力を備えたエネルギーキャリアとなる。現在広く利用されているリチウムイオン電池と同様に、水素陰イオン電池もイオンが正極と負極の間を移動することで充放電を実現するが、その「運び屋」がリチウムイオンから水素陰イオンに変わる点だけが異なる。

 論文の責任著者で、中国科学院大連化学物理研究所研究員の陳萍氏は、「水素陰イオン電池は、高いイオン伝導性、優れた熱的および電気化学的安定性を兼ね備え、さらに電極との適合性が高い電解質材料が見つからなかったため、長きにわたり、コンセプトの段階にとどまっていた」と説明した。

 研究チームは今回の研究で「コアシェル構造」のプランを採用。三水素化セリウムをバリウム水素化物で包むことで、高い水素陰イオン伝導率、低い電子伝導率、高い安定性を兼ね備えた水素陰イオン電解質を開発した。チームはこの材料に基づき、水素陰イオンプロトタイプ電池の組み立てに成功した。

 実験データによると、この電池の正極は初回放電容量が984mAh/gに達し、20回の充放電サイクル後でも402mAh/gの容量を維持した。チームはさらに積層電池を構築し、電圧を1.9Vまで高め、LEDの点灯に成功した。これにより水素陰イオン電池の電子機器への給電の実現性が実証されたという。

 陳氏は、「水素陰イオン電池は新型エネルギー貯蔵技術で、大規模エネルギー貯蔵、水素貯蔵、モバイル電源などの分野で重要な役割を果たすと見られている。チームは今後、水素陰イオン電池のコア材料の開発と性能の最適化に注力し、応用シーンを積極的に拡大し、中国のグリーンエネルギー発展に力強い技術サポートを提供していく」と述べた。

 
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