中国はこのほど、世界知的所有権機関(WIPO)が発表した2025年版グローバル・イノベーション・インデックス(GII)で初めてトップ10入りし、深圳-香港-広州クラスターが世界のイノベーションクラスターランキングで首位となった。新華社が伝えた。
WIPOのマルコ・アレマン事務局長補は、「世界トップ10入りは、グローバル・イノベーションのリーダーとしての中国の地位を示すものだ」と評価する。
近年、「嫦娥6号」が月の裏側からのサンプルリターンを実現し、「人工太陽」EASTが1億度で1000秒の「高品質燃焼」を達成するなど、重大な科学技術の成果が相次いでいる。
世界が競う人工知能(AI)の最前線でも、中国は先頭集団を走っている。DeepSeek-R1の訓練手法を報告する論文が「ネイチャー」の表紙を飾り、世界の関係者による厳格な査読を経て、開放性と規範性の新たな模範をAI産業に示した。
これと同時に、科学技術イノベーションと産業イノベーションの融合が加速し、科学技術の成果が人々の暮らしに浸透してきている。例えば、5G通信の大規模応用、北斗衛星測位システムによるグローバルな精密サービス、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)による脊髄損傷患者の立位・歩行支援、脳ペースメーカーによるパーキンソン病患者3万人の運動機能改善といった例が挙げられる。
データによると、中国はPCT国際特許出願件数が世界首位であり、世界で初めて国内有効特許件数が400万件を突破した。今年6月時点で、戦略的新興産業の有効特許保有件数は147万2000件に達し、AI、新エネルギー、生命・健康など重点分野において高価値の特許を保有している。
世界規模の巨大な変革を前に、中国では革新駆動型の発展戦略が推進され、イノベーション型国家建設という戦略的計画が打ち出され、2035年までに科学技術強国を建設するという目標が定められた。
2024年、中国社会全体の研究・実験開発費は3兆6000億元(1元=約21円)で、総投資額で世界第2位となり、基礎研究費は2497億元に達した。
挙国体制の優位性を発揮することで、イノベーション力と資源優位性を統合し、国内に影響力を持つ地域イノベーション拠点を創出し、高水準のイノベーションによって質の高い発展を促進した。WIPOのデータによると、中国からは24のイノベーション・クラスターが世界トップ100に入り、その数は3年連続で世界トップとなっている。
近年、中国は科学技術体制改革を持続的に推進し、革新的な発展を制約する問題の解決に力を入れている。
「掲榜挂帥(イノベーションプロジェクトリーダーの年齢・職位にとらわれない自薦による公募)」「賽馬制(競争原理の導入)」といったイノベーションモデルを導入し、研究費「請負制」の整備を図り、研究者の創造力をさらに喚起している。「肩書きや看板の乱発」の是正を続け、研究者が雑事に煩わされずに研究に専念できるようにしている。より積極的かつ開かれた人材政策を実施し、世界の優秀な人材を呼び込み、活用している。これにより、イノベーションの活力が湧き上がっている。
中国は市場規模が大きく、応用シーンも豊富であり、イノベーションにおける「肥沃な土壌」を提供している。
当局は国の重要科学研究課題への企業の参加を支持しており、重点研究開発計画プロジェクトにおける企業の主導・参加比率は約80%に達している。税制優遇政策を持続的に最適化し、企業の研究開発費の追加控除率を75%から100%に引き上げた。各地域は自ら新産業を育成し、地方政府の調達機会を企業に開放している。
現在、中国のハイテク企業は50万社を超え、2024年には中国大陸部の企業524社が世界の産業研究開発投資上位2000社に入った。
今年は「第14次五カ年計画(2021~25年)」の最終年であり、科学技術強国建設の目標達成まであと10年となる。
国家知識産権局の申長雨局長は、「現在の世界は百年間なかったほどの大きな変革が加速しており、新たな科学技術革命と産業変革が深く進展している」と指摘。「イノベーションの喚起、開放の促進、効率的な市場システムの構築への寄与という、知的財産権制度の重要な役割を発揮し、革新的な発展を後押ししていく」と述べた。

(画像提供:人民網)