中国広東省深圳市では、人型ロボット産業が「毎週のように進化し、SFの世界が次々と現実になっている」という。新華社が伝えた。
衆擎機器人の深圳実験室では、身長1.38メートル、体重40キログラムの人型ロボット「小衆」が、足払いやパンチ、ダンス、障害物越え、転倒からの起き上がりといった動きを滑らかに披露した。
同社の共同創業者である姚淇元氏は、「『小衆』のダンスのテンポはとても速く、プロのダンサーでも一度練習しないとついていけないほどだ」と語る。
1年前に、ようやく人の歩行をまねできるようになったばかりのロボットが、1年後には難易度の高い動作を軽々とこなすようになった。人型ロボットの進歩はなぜこれほど速いのだろうか。
姚氏は、「揺るぎないオープンソース戦略こそ、私たちのロボットが絶えず進化を続ける『秘訣』のひとつだ。コードやトレーニングコードをオープンソース化し、世界中の開発者がアプリケーションエコシステムの構築に参加できるようにしている。私たちの単一製品のバージョンアップは週単位で行われており、設計図から最初の試作機が完成するまで、わずか約6カ月しかかからない」と説明した。
衆擎機器人が拠点を置く深圳市南山区には、成長著しい「ロボットバレー」がある。ここには、越疆科技や優必選、雲鯨智能、普渡科技など100社を超えるロボット関連企業や、中国科学院深圳先進技術研究院などの研究機関が集積している。
越疆科技のマーケティングディレクターである謝凱旋氏は、「上の階に上がれば上流企業、下の階に下りれば下流企業がある。産業パークそのものが産業チェーンだ。深圳のサプライチェーンと産業チェーンに支えられ、私たちは迅速に試作品を作り、製品化することができる」と語った。
越疆科技が独自開発したエンボディドAIロボットは「広東料理の達人」となり、指令を自律的に認識し、食材を正確に掴み、火加減を制御し、さらにユーザーの要望に応じてリアルタイムで調理を行う。
謝氏によると、「皿拭き」といった単純作業の成功から、土鍋ご飯の調理といった複雑な作業を単独で行えるようになるまでには、アルゴリズムの継続的な進化と、実際の利用データのフィードバックが欠かせなかったという。
データフィードバックを得るためには、より多くの応用シーンが必要となる。企業が市場を開拓する一方で、地方政府も新たな応用シーンを次々と創出し、ロボット企業の道探しを支援している。
竜崗区副区長の徐紅麗氏は、「私たちは現在、スマートソフトウェア、コア部品、完成機統合、シーン応用を網羅するロボット産業全体のエコシステムを構築している。AIおよびロボットの安全管理制度と業界標準を策定中で、スマートロボットの運用と応用を管理し、定期的にデータバックアップや脆弱性スキャンなどの安全検査を実施して、業界の健全な発展を守る」と述べた。

広東省深圳市の越疆科技で、コーヒーのラテアートを作るロボット。(10月29日、撮影・劉力航、画像提供:人民網)