中国チベット自治区山南市に位置する華電瓊結風力発電プロジェクトが系統連系し発電を開始したことが17日、中国華電集団有限公司への取材で分かった。風力発電機設置地点の最高標高は5370メートルで、中国で最も標高の高い風力発電プロジェクトとなる。人民網が伝えた。
プロジェクトの総発電設備容量は60メガワット(MW)で、風力発電機12基を設置し、同時にグリッド接続型のエネルギー貯蔵システムも併設している。運用開始後は、年間約12万世帯分の電力需要を満たす見込みだ。
なぜ高標高地域に風力発電を建設するのか。それは、現地の風力資源が豊富であるからだ。試算によれば、同自治区では平均風速7メートル以上の地域が面積の約3割を占め、主に標高4800メートル以上に分布している。また、同自治区の電源構成は水力と太陽光発電が主体で、発電出力の変動が大きい。例えば水力発電は夏に豊富で冬に不足し、太陽光は昼間には豊富だが夜間には発電できない。こうした変動を補う役割を風力発電が担うことができるという。
標高5370メートルでの建設には、平地の約57%しかない酸素濃度、昼夜で20℃以上の寒暖差といった難題が伴った。プロジェクトチームはコンクリート配合を最適化し、「フィルム+綿布団+カラーシート」による段階的な保温工法とスマート温度管理養生システムを組み合わせ、低温環境下でも強度と耐久性を確保した。これにより、極寒・低酸素条件での大体積コンクリートの一括連続打設が実現し、世界の超高標高風力発電建設に再現可能な技術的知見を提供した。

(画像提供:人民網)