4.政府機能の転換の加速
科学的なマクロ調整と効果的な政府による統治は、社会主義市場経済体制の強みを発揮するための内在的な要求である。政府の役割を適切に転換し、行政体制改革を深化させ、行政管理方式を革新し、政府の信頼度と実行力を増強し、法治政府とサービス型政府を建設しなければならない。
(14)マクロ調整体系を整備する。マクロ調整の主要任務は、経済総量のバランスを保ち、重大な経済構造の協調と生産力の配置の最適化を促し、経済周期の波の影響を緩和し、地域的・系統的なリスクを防止し、市場の予測を安定化し、経済の持続的で健全な発展を実現することにある。国家発展戦略と計画を方向付けし、財政政策と貨幣政策を主要な手段としたマクロ調整体系を整備し、マクロ調整の目標制定と政策手段の運用の制度化を進め、財政政策や貨幣政策、産業、価格などの政策手段の協調を強化し、自由裁量の水準を高め、マクロ調整の展望性・ターゲット性・協同性を高める。国際マクロ経済政策に協調参加するための仕組みを形成し、国際経済統治構造の改善を進める。
投資体制の改革を深化させ、企業の投資主体としての地位を確立する。企業投資プロジェクトは、国家の安全や生態環境の安全、全国の重大な生産力の配置、戦略的資源の開発、重大な公共利益にかかわるプロジェクトを除いて一律、企業が法に基づいて自ら決定を行うことができるものとし、政府は審査・認可を行わない。エネルギー・土地・水の節約や環境、技術、安全などにかかわる市場参入基準を強化し、生産力過剰を防止・解消する長期的なメカニズムを構築・整備する。
成果の審査・評価の体系を改善・発展させ、経済成長速度だけで行政成績を評定する偏向をただし、資源消費・環境ダメージ・エコ効益・生産力過剰・科学技術革新・安全生産・債務増加などの指標のウエイトを拡大し、労働者の雇用や世帯の収入、社会保障、国民の健康状況をさらに重視する。国家の統一的な経済計算制度の構築を加速し、全国と地方の資産負債表を編成し、社会全体の不動産や信用などの基礎データの統一プラットホームを構築し、各部門の情報共有を推進する。
(15)政府の役目を全面的かつ正確に履行する。行政の簡易化と権限の譲渡をさらに進め、行政審査・認可制度の改革を深化させ、ミクロ的な事柄に対する中央政府の管理を最大限減らす。市場メカニズムによる有効な調節が可能な経済活動に関しては、審査・認可を一律で取り消し、行政審査・認可を保留する事項に関しては、管理を規範化し、効率を高める。基層に直接かかわり、量が大きく範囲が広く、地方による管理がより便利で有効な経済社会事項に関しては、地方と基層へと管理権限を一律に移譲する。
政府は、発展戦略・計画・政策・基準などの制定と実施を強化し、市場活動の監督管理を強化し、各種の公共サービスの提供を強化する。中央政府のマクロ調整の役割と能力を強化し、地方政府の公共サービス・市場監督管理・社会管理・環境保護などの役割を強化する。政府によるサービス調達を拡大し、事務的な管理サービスに属するものに関しては、原則的に競争メカニズムを導入し、契約や委託などの方式を通じて民間から調達する。
事業単位(国家が社会公益目的のため、国家機関により運営あるいはその他組織が国有資産を利用し運営するもので、教育、科学技術、文化、衛生などの活動に従事する社会サービス組織)の分類改革を加速し、政府の公共サービス購入を強化し、公営の事業単位と主管部門との関係の整理と非行政化を推進し、学校や研究所、病院などの機構の行政等級を徐々に撤廃する条件を整える。事業単位でもコーポレート・ガバナンスを構築し、条件に合った事業単位の企業または社会組織への再編を推進する。各種事業単位の統一的な登録管理制度を設立する。
(16)政府の組織構造を改善する。政府の機能の転換には、機構改革の深化が不可欠となる。政府の機構設置や機能の配置、業務の流れを改善し、決定権・執行権・監督権が互いに制約しながら協調する行政運行の仕組みを整備する。業績や成果の管理を厳格化し、責任の完遂を重視し、権限と責任との一致を確保する。
党・政府・民間の機構改革を統一計画し、各部門の機能の関係を整理する。積極的かつ穏やかに統合再編を進める。行政区画の設置を改善し、条件の整った地方では省による県(市)の直接管理体制改革の推進を検討する。機構の編成を厳しく制御し、規定のポスト数に厳格に基づいて指導幹部を配置し、機構の数と指導ポストの数を減らし、財政による扶養人員の総量を厳しく制御する。機構の編制管理の科学化・規範化・法制化を進める。