第18期四中全会「決定」
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一、中国の特色ある社会主義法治の道を堅持し、中国の特色ある社会主義法治体系を構築する

 法による国家統治は、中国の特色ある社会主義を堅持し発展させるための本質的な要請、重要な保障であり、国家の統治体系と統治能力の近代化を実現するための必然的な要請であり、中国共産党の執政と国家振興、人民の幸福と平安、党と国家の長期的な安定にかかわる。

 小康社会(ゆとりのある社会)の全面的な実現、中華民族の偉大な復興という「中国の夢」の実現、中国の特色ある社会主義制度の全面的な改革・整備・発展、党の執政能力と執政水準の向上には、法による統治国家の全面的推進が不可欠となる。

 中国は社会主義の初期段階にあり、小康社会の全面的な実現は決定的な段階を迎え、改革は堅持と高難度の領域に入り、複雑で変わりやすい国際情勢に直面している。改革の発展と安定という党の任務はかつてなく重く、矛盾や危険、挑戦はかつてなく多い。党と国家の全活動における「法による国家統治」の重要性はより高まり、その役割はより重大となっている。新たな状況と任務を前に、中国共産党は、国内と世界の両方に目を配り、中国の発展にとって重大な戦略的チャンスを保持・活用し、社会の力量を総合的に把握し、社会の利益の均衡をはかり、社会の関係を調整し、社会の行為を規範化し、重大な変革を迎えている中国社会の活力と秩序を維持し、経済発展と政治の紀律、文化の繁栄、社会の公正、環境の改善を実現し、中国の平和発展という戦略目標を実現し、指導と規範化という法治の働きを十分に発揮させなければならない。

 中国共産党は法治の建設を重視している。党はこれまで、とりわけ党第11期中央委員会第3回全体会議後、中国の社会主義法治建設の成功と教訓とを総括し、「人民の民主の保障には、法治の強化と民主の制度化・法律化が必要である」との結論を出し、「依法治国」(法による国家統治)を党による国民指導と国家統治の基本方針と定め、「依法執政」(法に基づく執政)を党の国家統治の基本方式とし、社会主義法治の建設を積極的に進め、歴史に残る成果を上げた。中国の特色ある社会主義法律体系はすでに形を整え、法治政府建設も推進し、司法体制の整備も進み、社会の法治観念も大きく高まった。

 しかし、党と国家の事業を完遂するには、また人民・大衆の期待に応え、国家の統治体系と統治能力の近代化を実現するには、法治建設にはまだ多くの不適応・不適切が残っている。大きな課題としては、▽法律・法規の一部に、客観的な法則と人々の希望が反映されていないものがあり、対象性や操作性を欠き、立法業務が部門の利益に左右され、権力争いや責任逃れの傾向がある、▽「法があっても守らない/法の実施が厳しくない/違法行為の追及が不十分」といった事態が深刻化しており、「法執行における権限と責任が見合っていない/法執行の責任が一本化されていない/法執行が選択的」といった状況も出現し、「法律の執行や司法が規範性・厳格性・透明性・文明性を欠く」などの問題が見られ、法律の執行や司法の不公平や腐敗などに対する民衆の不満が高い、▽法律の尊重・信頼・順守・運用や法律による権益保護という意識が低く、一部の国家職員とりわけ一部の指導幹部は、法に基づいて職務を遂行するという観念が薄く、「法を知りながら法を犯す/指示によって法を代替する/権力によって法を圧迫する/私益のために法をまげる」などの例がある――などがある。これらの問題は、社会主義法治の原則に背くもので、人民・大衆の利益を損じ、党と国家の事業の発展を妨げるものであり、全力で解決しなければならない。

 法による国家統治の全面推進には、第18回党大会と第18期三中全会の精神を貫徹し、中国の特色ある社会主義の偉大な御旗を掲げ、マルクス・レーニン主義と毛沢東思想、鄧小平理論、重要思想「3つの代表」、科学的発展観を指導として、習近平総書記の重要講話の精神を貫徹し、「党の指導」「人民が主人となる」「法による国家統治」をしっかり結びつけ、中国の特色ある社会主義法治の道をしっかりと歩み、憲法や法律の権威をきっちり守り、人々の権益や社会の公平正義、国家の安全安定を法律によって守り、「二つの百年」という奮闘目標と中華民族の偉大な復興という「中国の夢」の実現を法治面から支えなければならない。

 法による国家統治の全面的推進は、「中国の特色ある社会主義法治体系を構築し、社会主義法治国家を建設すること」を総目標としている。このことは、中国共産党の指導の下、中国の特色ある社会主義制度を堅持し、中国の特色ある社会主義法治理論を貫徹し、完全な法律規範体系と効率的な法執行体系、厳格な法治監視体系、強力な法治保障体系を形作り、また完全な党内法規体系を整え、法による国家統治・執政・行政を同時に進め、法治国家・法治政府・法治社会の一体化建設を進め、「科学的な立法/厳格な執行/公正な司法/国民全体の法順守」を実現し、国家の統治体系と統治能力の近代化を促進することを要請する。

 その総目標の実現には、以下の原則を堅持しなければならない。

――中国共産党の指導を堅持する。党の指導は、中国の特色ある社会主義の本質であり、社会主義法治の根幹である。法による国家統治の全プロセスと各ポイントに党の指導を行き渡らせることは、中国の社会主義法治の進展にとっての基本となる。中国の憲法は、中国共産党の指導的地位を保障している。党の指導を守ることは、社会主義法治の根本的な要請であり、党と国家の根幹であり、命の源であり、全国各民族の人民の利益と幸福を左右するもので、法による国家統治の全面的推進にとっての必須条件となる。党の指導と社会主義法治とは一致する。社会主義法治の実現には党の指導が不可欠で、党の指導は社会主義法治を根幹としている。党の指導下で法による国家統治を実現し、法治を徹底することによって初めて、「人民が主人となる」という理念を具現化し、国家と社会生活の法治化を進めることが可能となる。法律に基づく執政を実現するには、党が、憲法・法律に基づいて国家を統治することが求められると同時に、党内ルールで党内の管理・統治を行う必要がある。党による「立法指導/法執行保証/司法支援/法順守の率先」を堅持し、「法による国家統治の基本方針」を「法による執政の基本方式」と統一し、「党の全局把握と各方面の協調」と「人民代表大会・政府・政治協商会議・裁判機関・検察機関による法律や規則に基づく職能の履行と業務の展開」を統一し、「党の指導を受けた人民による憲法・法律の制定と実施」と「憲法・法律の範囲内での党活動の堅持」を統一し、党の主張を法的手続きを通じて国家の意志とし、党組織の推薦した人選を法的手続きを通じて国家政権機関の指導者とし、国家政権機関を通じて国家と社会に対する党の指導を行い、民主集中制の原則によって中央の権威を維持し、全党と全国の団結と統一を維持しなければならない。

――人民の主体としての地位を堅持する。人民は、法による国家統治の主体であり、その力の源である。人民代表大会制度は、人民が主人となるための根本的な政治制度である。法治建設の「人民のために、人民を根拠とし、人民を幸せにし、人民を守る」という理念を守り、人民の根本的な権益を保障することを出発点と立脚点とし、人民が法律に基づいて各種の権利と自由を享受し、義務を果たし、社会の公平正義を守り、共同で豊かになるよう働かなければならない。人民が党の指導の下、法律の規定に基づいて、各種の手段と形式で国家事務を管理し、経済文化事業を管理し、社会事務を管理することを保障する。「法律は権利保障の有力な武器であり、守るべき行動規範である」ことを国民に広め、「法を学び、尊び、守り、用いる」意識を全社会に広め、法律を国民に把握・順守・運用させる。

――法の下での平等を堅持する。平等は、社会主義の法律の基本的な属性の一つである。いかなる組織もいかなる個人も、憲法・法律の権威を尊重し、憲法・法律の範囲内で行動し、憲法・法律に基づいて権力や権利を行使し、職責や義務を果たさなければならず、憲法・法律に特権は許されない。国家法制の統一・尊厳・権威を守り、憲法・法律の有効な実施を確保し、どのような人間・口実・形式であろうと、指示による法の代替や権力による法の圧迫、私益のための法の乱用を許さない。公権力の規範化と抑制を重点として監視を強化し、権力保持者には責任を負わせ、権力行使は監視対象とし、違法行為は必ず追及し、「法があるのに守らない/法執行が厳格ではない/違法行為を追及しない」状況は正さなければならない。

――法による国家統治と徳による国家統治を結合する。国家と社会の統治には、法律と道徳が同時に作用する必要がある。法による統治を進めながら徳による統治も進め、社会主義の核心的価値観を広め、中華の伝統と美徳をたたえ、社会道徳や職業道徳、家庭の美徳、個人の品徳を伸ばし、法律の規範作用を重視しながら道徳の教化作用も重視し、法治を通じて道徳を実現し、道徳強化への法律の促進作用を高め、道徳によって法治の精神を充実させ、法治文化を道徳で支え、法律と道徳が相互に補い高め合う状態を実現する。

――中国の実情からの出発点を堅持する。中国の特色ある社会主義の道とその理論・制度は、法による国家統治の全面的推進の筋道を指し示している。中国の基本的な国情から出発し、改革開放の深まりに呼応し、党の指導下での法治の成功経験を総括し、社会主義法治建設の重大理論と実践問題を目掛けて法治理論を革新し、「中国の実情に合った/中国の特色を持つ/社会の発展法則を体現した」社会主義法治理論を形成し、法による国家統治に理論的指導と学術的な支えを与える。中華の伝統における法律文化の本質を捉え、国外の法治の有益な経験に学ぶことを促進する一方、海外における法治の理念やモデルをそのまま真似ることは回避する。

 法による国家統治の全面的推進は、系統的な大事業であり、国家統治の広大で重大な革命であり、長期的な努力が必要となる。全党同志は、法による国家統治を自覚的に支持し、法による国家統治をしっかりと進め、国家の各事業の法治化の実現に努め、法治中国建設の歩みを進めていなければならない。