第七編 イノベーション駆動 「科教興国(科学技術と教育によって国を興す)」戦略と「人材強国」戦略の実施
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第二十七章 科学技術イノベーション力の増強

 自主イノベーション、重点的なブレークスルー、発展支援、未来的方針の牽引を固持し、国家イノベーション体制の建設を加速させ、企業イノベーション能力の向上に取り組み、科学技術の成果を現実的な生産力に転換し、科学技術イノベーションによる経済成長の促進を図る。

第1節 重大科学技術ブレークスルーの推進

 科学技術の発展傾向を把握し、基礎研究と先端技術研究を早期に整え、重大な科学的発見と新しい学科の誕生を促進し、物質科学、生命科学、宇宙科学、地球科学、ナノテクノロジーなどの分野において今後の科学技術競争で高地位に着く。科学技術の進歩と産業のグレードアップ、国民生活の改善を緊密に結び付け、経済社会の発展をめぐる重要なニーズを見据え、現代農業、設備製造、生態環境保護、エネルギー資源、情報ネットワーク、新材料、公共安全、健康などの分野での新たなブレークスルーを達成する。国の重要な科学技術特別プロジェクトの実施を急ぎ、基盤技術、コア技術のブレークスルー能力を強化する。

第2節 企業を主体とした技術イノベーション体制づくりの加速

 科学技術体制改革を一層行い、社会全体における科学技術資源の効率的な配置および総合的集約を促進する。イノベーション要素の企業への集約を誘導・支援し、政府による科学技術資源面での企業支援を強化し、企業主体、市場志向、産学研連携の技術イノベーション体制づくりを急ぎ、企業を真の意味で研究開発投資、技術イノベーション活動、イノベーション成果応用の主体とする。科学研究所および高等教育機関が持つイノベーションの原動力を強化し、大手企業による大規模な研究開発投資を奨励し、イノベーションに向けた中小企業の新たな活力を掘り起こし、企業、研究化学所および高等教育機関が共同参加するイノベーション戦略連盟の設立を推進し、科学技術イノベーションにおいて企業家と科学技術界のリーダーが重要な役割を発揮できるようにする。軍と民間における科学技術資源の統合を強化し、科学技術仲介サービスの発展を奨励し、サービス企業の能力を高める。国家イノベーション型都市、自主イノベーション・モデル地区、ハイテク地区の集約・波及・牽引作用を発揮させ、複数の区域におけるイノベーションセンターの構築を急ぎ、「中関村」(北京市)を世界に影響力を持つ科学技術イノベーションセンターへと育て上げる。

第3節 科学技術インフラ建設の強化

 原始イノベーション、集積イノベーション、消化吸収を経た再イノベーションをめぐり、基礎研究、先端技術、基盤技術の研究プラットフォームの構築を強化し、国の重要な科学技術インフラを整え、相互連携、開放共有、効率的利用を強化する。重点学科と戦略的ハイテク分野において国家科学センター、国家(重点)実験室を数施設新設し、国の科学技術の基盤を固めるプラットフォームを構築する。重要な産業技術分野において国家プロジェクト実験室を建設し、国家プロジェクトセンター建設の配置を最適化する。企業技術センターの建設を加速し、企業向けの技術開発プラットフォームの構築を支援する。全人民の科学的素養向上に関する行動計画をさらに進め、科学普及に向けたインフラ建設を強化し、公衆に向けた科学知識の普及に力を入れる。

第4節 科学技術イノベーション支援政策の強化

 企業イノベーションおよび科学研究成果の産業化を支援する財政税務・金融政策を強化する。財政税務の科学技術に対する投資を安定的に増やし、基礎研究に対する公共投資を拡大し、科学研究経費の管理制度改革を掘り下げる。企業の研究開発費にかかる税額控除など、技術進歩の促進に関する税収優遇策を全面的に実施する。知的財産権の質権などイノベーションを奨励する金融政策を実施する。健全な技術財産権の取引市場を確立する。知的財産権戦略を実施し、知的財産権の法制度を整備し、知的財産権の創造・運用・保護・管理を強化し、知的財産権の法執行力を強化する。知的財産権を有する技術基準の採用と普及を奨励する。科学技術の成果奨励制度を整え、科学研究の信頼醸成を強化する。

表14 科学技術イノベーション能力構築の重点項目
01 重大科学技術特別プロジェクト 
 以下の科学技術特別プロジェクトを引き続き実施する。
  • コア電子部品、ハイエンド汎用チップ、基本ソフトウェア
  • 超々大規模集積回路(ULSI)製造技術およびプラント技術
  • 次世代ブロードバンド無線移動通信
  • 高級デジタル制御工作機械および基礎製造技術
  • 大型ガス油田および炭層ガス(CBM)の開発
  • 大型の先進的な加圧水型軽水炉(PWR)および高温ガス炉(HTGR)
  • 水質汚染の抑制・予防
  • 遺伝子組み換え生物の新品種の育成
  • 重大新薬の研究開発
  • エイズやウイルス性肝炎など重大感染症の予防
  • 大型航空機
  • 高解像度対地観測システム
  • 有人宇宙・月探査計画
など
02 重点科学技術計画 
以下の重大科学研究計画を実施する。
  • 重点基礎研究発展計画(973計画)
  • ハイテク研究発展計画(863計画)
  • 科学技術支援計画および国家自然科学基金
  • タンパク質、量子制御、ナノ、発育・生殖研究などの重大科学研究計画
など
03 科学研究施設 
 自由電子レーザー(FEL)、核破砕中性子源など国家重大科学技術インフラを建設する。
04 知的イノベーション事業 
 凝縮物質物理、数学と複雑システム、地球と環境、宇宙や海洋などの科学センターを建設し、クリーンエネルギー、グリーン・インテリジェンス製造、小型衛星および空間感知、地下・海底探査技術などの研究開発基地を建設する。
05 技術イノベーション事業 
 次世代エネルギー車、炭素繊維複合素材、デジタル・ホーム・ネットワークなど国家プロジェクトセンターおよびプロジェクト実験室を設立し、企業技術センター、イノベーション型企業および産業技術イノベーション戦略アライアンスを強化し、自主イノベーション企業100社を育てる。