第三十二章 所得分配の合理的調整
所得分配を主体とし、多数の分配方式が共存した分配制度を整備し、1次分配と再分配はいずれも効率と公平の関係を適切に処理し、再分配は公平をより重視し、合 理的かつ秩序立った所得分配の枠組みづくりを急ぎ、国民所得の分配における住民所得比率の向上に努め、1次分配における労働報酬の比率を高めることで、所得格差の拡大に早急に歯止めをかける。
第1節 給与・賃金制度改革
市場メカニズムの調整、企業の自主的分配、対等な交渉による確定、政府の監督指導の原則に基づき、労働力市場の需給関係と企業の経済便益を反映する給与・賃 金決定メカニズム制度および成長メカニズムを構築する。給与・賃金支給保障メカニズムを整備する。最低賃金および給与・賃金の基準額に関する制度を整備し、最低賃金を次第に引き上げ、企 業の報酬調査および情報開示の制度を構築し、賃金の集団交渉のカバー範囲を積極的かつ着実に拡大する。国有企業の給与・賃金総額に関する管理規則を刷新し、一部業界における給与・賃 金総額およびその水準に対する二重の調整を強化し、業界間における給与・賃金水準の格差を縮める。公務員の給与制度を整備する。「事業単位」の特徴に合致し、職務成績およびレベル・種類別の管理を反映した「 事業単位」収入分配制度を整える。
第2節 資本・技術・管理などの分配制度の健全化
公開・公平・公正の公共資源譲渡制度を充実化し、国有の土地、海域、森林、鉱物など公共資源の譲渡収益の全民共有メカニズムを構築し、譲渡収益は主として公共サービス支出に充てる。国 有資本収益の上納範囲を拡大し、上納比率を引き上げ、公共財政に統一して組み入れる。株式制企業、特に上場企業の利益配当制度を整える。都市部と農村部における住民の財産収入の増加に必要な条件をつくる。所 得分配において、技術成果への相応の配当を保障する。経営管理業績、リスクおよび責任に基づいた報酬の確定制度を構築し、国有企業、国有持株金融機関の経営管理人、特に幹部の収入を厳しく規範化し、職 務消費を厳しく管理する。
第3節 再分配・調整メカニズムの整備
税収、社会保障、移転支出を主要な手段とする再分配調整メカニズムの整備を急ぐ。個人所得税の課税ベースと税率構成を合理化し、給与所得の控除基準を引き上げ、中低所得層の税負担を軽減し、高 所得層の税負担を重くする。健全な財産税制度を逐次確立する。財政支出の構成を調整し、公共サービス支出の割合を高め、社会保障への投資に力を入れ、住民の移転所得を大幅に向上させる。
第4節 所得分配秩序の整理と規範化
法律法規を健全化し、政府の監督管理を強化し、法執行力を強化し、開放的で透明性があり、公正かつ合理的な所得分配秩序の構築を加速させる。合法的な所得を保護し、不法な所得を断固として取り締まる。国 有企業および政府機関や事業機関の給与外所得、非通貨による福利厚生などを整理・規範化する。政府の非税収入管理を強化し、各種の行政事業による徴収費用と政府基金を整理・規範化する。所 得情報の監視システムづくりを急ぐ。所得分配の統一的な調整メカニズムを構築する。