2.全体構想、発展目標と戦略配置
(1)全体構想
中国においては特色のある社会主義という偉大な旗印を掲げ、鄧小平理論と“三つの代表”という重要な思想に指導され、科学発展観の実行を貫徹し、“自主イノベーションの飛躍・発展を支え、未来を導く”と いう指導方針を堅持し、科学発展をテーマとし、経済成長方式の転換の加速化を支えることを主軸とし、自主イノベーション力の向上を核心とし、改革開放を深化させ、『科学技術規画綱要』を確実に実行し、科 学技術発展に注力し、産業構造の最適化やグレードアップに注力し、生活を改善する重要な科学技術ニーズを満たすことに注力し、科学技術イノベーション基礎能力の引き上げに力を入れ、イ ノベーション型科学技術人材チームの育成に力を入れ、国家イノベーション体系の建設を全面的に推進、わが国の科学技術発展の戦略的飛躍を実現し、イノベーション型国家に加わるための基礎を固める。
そのために、以下の基本要求を強調する:
—— イノベーションが駆動する発展実現を根本任務とすることを堅持する。
自主イノベーション力の増強を、科学技術発展戦略の起点とし、イノベーションがモデルチェンジを促し、モデルチェンジが発展を促し、科学技術のイノベーションとグリーンな成長を推進し、協調ある発展、和 諧(バランスのとれた)発展と内需拡大を緊密に結合させ、経済社会の成長をイノベーションを駆動させることで成長を生む軌道にできるだけ早く乗らせる。
—— 科学技術の成果の生産力への転化促進を主な攻略方針とすることを堅持する。
科学技術の進歩とイノベーションを、産業のグレードアップと緊密に結合させ、先進的科学技術の成果により従来型産業への移転と市場に向けた商業化利用を推進する。経済社会発展の重要なニーズを吸い上げ、核 心キー技術を掌握し、ハイテク技術の産業化を推進し、戦略的新興産業の育成・発展を加速化させる。農業・農村分野の科学技術イノベーションを強化し、重点産業の振興と従来型産業のグレードアップを支援し、現 代的サービス業の発展を促進する。
—— 科学技術による生活への恩恵を本質的要求とすることを堅持する。
科学技術の進歩とイノベーションを、国民の生活レベルと質の向上や国民が最も関心のある雇用問題の解決に結びつける。加えて、国民の科学文化素養と健康素養の向上と密接に結びつけ、先 進的に活用できる科学技術の成果の普及を強化し、科学技術の進歩が広く国民の恩恵に寄与するものとする。
—— 科学技術の長期的な発展能力の増強を、戦略の重点とすることを堅持する。
世界の科学技術発展の最前線に照準を定め、基礎研究と先端技術研究を整備し、自由な探求を奨励し、引き続き科学技術成果の蓄積を増やし、オリジナルイノベーション力を向上させる。国 家の未来の発展に寄与する重大な科学的問題とキー技術問題の解決に注力し、重要科学技術のブレークスルーを推進し、共用、核心技術の突破力を増強する。
—— 改革の深化と開放拡大を強い原動力とすることを堅持する。
国家中長期科学技術、人材、教育規画綱要実施における緊密な結合を強化し、市場資源の基礎的作用を充分に発揮させ、企業が主導する技術研究開発イノベーション体制の構築を重点とし、科 学技術体制改革を進化させる。科学技術発展の国際的レベルを引き上げ、より開放された環境で自主イノベーションを推進する。
(2)発展目標
“十二五(第12次5ヶ年)”科学技術発展の全体目標は、自主イノベーション力を大幅に引き上げ、科学技術競争力と国際影響力を強化し、重点分野核心キー技術の獲得に大きなブレークスルーを果たし、経 済成長方式の転換の加速化を支援することである。機能が明確で、構造が合理的で、双方向性があり、効率的に運用される国家イノベーション体系を構築し、中 国の総合イノベーション力の世界ランキングを現在の第21位から18位に上昇させ、科学技術の進歩の貢献率が55%に達するよう努め、イノベーション型国家の建設において実質的な進展を得る。
そのために、以下の主要目標実現に努力する:
—— 研究開発への投資を大幅に引き上げる。
社会全体の研究開発費と国内総生産との割合を2.2%まで引き上げる。基礎研究と先端技術研究への投入を引き続き増加させ、企業の研究開発への投資力を引き上げ、科 学技術イノベーションの投融資ルートをより更に開拓する。
—— オリジナルイノベーション力を明確に引き上げる。
科学と技術の重点分野において大きなブレークスルーを果たす国際科学論文被引用回数を世界上位5位にランキングさせ、1万人あたりの発明特許保有数を3.3件にし、研 究開発者の発明特許申請数を年間12件/100人にする。
—— 科学技術と経済の結びつきをより緊密にする。
産業技術のイノベーションを強化し、経済成長における科学技術の内包量を引き上げる。全国技術市場の契約取引総額を8000億元にし、ハイテク産業の生産額が製造業生産額に占める割合を18%に 達することを目標とする。
—— 科学技術イノベーションがより生活に恩恵が及ぶようにする。
社会公益分野の科学技術レベルを全体的に引き上げ、生活の改善ニーズに適応する技術と製品を発展させるとともに、基本的な公共サービスの改善能力を強化する。
—— イノベーション基地の建設をまた新たな段階へと引き上げる。
経済社会発展の必要性と科学技術自身の発展ニーズに適合するイノベーション基地の整備をより合理的なものにする。世界レベルの研究開発機関と世界一流の研究型大学を建設し、重 要大型科学研究インフラとイノベーションプラットフォームを建設し、公共科学技術の資源共有体制とサービス体系を形成する。
—— 科学技術人材チームをより一歩拡大する。
就業者1万人あたりの研究開発人材投入を43人/年とする。全国民の科学への素養を引き上げ、国民の基本的な科学への素養を備えている割合を5%にする。
—— 科学技術イノベーションの体制をたえず改善する。
科学技術の管理体制を進展させ、自主イノベーション政策を奨励し、社会全体のイノベーション環境の最適化を図る。
指標 | 2010年 | 2015年 |
研究開発経費と国内総生産の割合(%) | 1.75 | 2.2 |
就業者1万人あたりの研究開発人材投入(人/年) | 33 | 43 |
国際科学論文被引用回数世界ランキング(位) | 8 | 5 |
1万人あたりの発明特許保有数(件) | 1.7 | 3.3 |
研究開発者の発明特許申請数(件/100人年) | 10 | 12 |
全国技術市場契約取引総額(億元) | 3906 | 8000 |
ハイテク産業生産額が製造業生産額に占める割合(%) | 13 | 18 |
国民の基本的な科学への素養を備えている割合(%) | 3.27 | 5 |
(3)戦略配置
今後5年におけるわが国の科学技術発展にための戦略は以下の通りである。
- 国家科学技術重要大型特定プロジェクト実施を加速化する。”十一五(第11次5ヶ年)”に実施された国家科学技術重要大型特定プロジェクトを基礎とし、更なるブレークスルーを推進し、国 家科学技術重要大型特定プロジェクトの重点分野における戦略的飛躍を実現するよう努力する。
- 戦略的新興産業の育成と発展を見据え、技術研究開発の利用促進と産業モデル化を強化し、国家科学技術重点特定プロジェクトを実施する。
- 産業のグレードアップと生活改善ニーズを吸い上げ、重点分野における科学技術の戦略を強化し、核心キー技術と重要大型公益技術のブレークスルーに努め、経済社会の発展を支える。
- 解決すべき科学技術問題を研究するとともに、経済社会の発展を制約する8つのキー分野における科学技術問題についてブレークスルーを推進し、6つの重要大型科学研究計画を実施し、重 点戦略ハイテク分野の研究を強化し、科学技術イノベーション基地とプラットフォームの建設整備を強化する。
- イノベーション人材推進計画を組織的に実施し、科学技術リーダーシップ人材、優秀専門技術人材、青年科学技術人材の育成を強化し、60前後の科学者業務室、3 00前後の重点分野イノベーションチームとイノベーション人材育成モデル基地を構築する。
- 科学技術管理体制の改革と政策の実行を進展させ、国家技術イノベーション工程と知識イノベーション工程を確実に実施する。更に知的所有権の創造・利用・保護および管理体制を強化する。国 際的な科学技術協力を進展させ、より開放的なイノベーション環境を構築する。