科学技術発展 第十二次五ヶ年計画
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6.基礎研究と先端技術研究を展望をもって配備する

 基礎研究と先端技術研究は、わが国のオリジナルイノベーション力と科学技術の長期的な発展能力を向上させる重要な基礎となるものであり、科学技術の進歩を推し進めるイノベーションの源泉であり、また国の重要な戦略的ニーズと世界の科学技術の発展を見据え、その整備を強化する必要がある。

(1)基礎研究を継続して強化

 国の重要戦略ニーズと世界の科学の最先端に照準を合わせ、今以上に学科の整備を改善し、学科交叉と融合を大きく推進していくことを堅持する。自由な探求に有利な学術環境を積極的に作り出し、興味に基づき駆動される科学研究を、国家戦略のニーズに焦点を合わせたものに導いていく。いくつかの科学の最前線と経済社会の発展に関わる重要戦略を強化に基づき、キーとなる科学的問題においてブレークスルーがあり、重要なオリジナルイノベーションの成果が得られ、わが国の世界の科学研究における地位と影響力は明らかに強化され、科学技術の長期的な発展に重要な基礎を築いている。

①.学科が協調するバランスのとれた発展を推進し、学科の交叉融合を促進する

 基礎研究の基本理論と学科建設を重視し、わが国の学科発展の情勢と結びつけ、基礎学科の発展は既に協調がなされている。教育、材料科学、工程科学等の学科の国際的に優位な地位を引き続き保つべく、重点的に代数数論と代数幾何、材料科学基礎理論、深層部資源のグリーン開発とグリーン冶金理論、技術の研究を支援する、一方、空間科学、動植物分類学、流行病学、工程海洋学等劣位となっている学科に対する扶助を拡大する。基礎学科においては基礎学科と利用学科、科学と技術、自然科学と人文社会科学の交叉融合を強化し、医学、ナノ、バイオ情報学等の総合交叉学科の発展を支援し、積極的に新興学科を扶助し、学科全体のレベル向上を推進する。

②.科学の最先端、最前線におけるいくつかの重要な科学問題の研究に力を入れる

 基礎科学最先端分野研究には、生命プロセスの定量研究とシステムの統合、凝集態物質と新効果、物質深層構造と宇宙大スケール物理学規律、核心教育及びその交叉分野の応用、地球システムプロセスと資源環境と災害効果、新物質創造と転化の化学プロセス、脳科学と認知科学、科学実験と観測方法、技術と設備イノベーション等の重点研究分野が含まれ、合成生物学、ダークマター等新たな研究分野の研究を強化する。

③.経済社会の発展を制約する重要な科学問題のブレークスルーに力を入れる

 国家の戦略的ニーズを背景とし、農業のバイオ遺伝子改良と農業の持続可能な発展における基礎研究、エネルギーの持続可能な発展におけるキー科学問題、情報科学技術の基礎、地球と環境システムのキープロセスと規律、人類の健康と疾患の基礎研究、基礎材料の最適化と新材料の設計探求及び使用失効構造、製造と工程の科学基礎、多学科が総合的に交叉する基礎研究、空間科学と航空の重要科学問題等、経済社会の発展にかかわる重要な大型科学問題の研究を重点的に整備する。

ニーズが誘導する重要科学問題の研究分野と方向性

 農業科学分野→農作物の高生産、抗ストレス、優性、高効率研究、農業の動物高生産、優性、抗病性基礎研究、耕地資源の高効率利用研究、農林草総合農業システムの持続可能な発展、有害生物制御、バイオ安全及び農産品の安全等の分野を重点的に支援する。

 エネルギー科学分野→オイルガスの資源探査と開発の新理論と新方法の研究、石炭資源の精密探査、グリーン採掘、高効率クリーン転換、環境汚染抑制及び災害防止研究、低品位エネルギーの高効率熱転換の基礎研究、省エネの新理論と新方法、新エネルギーと再生可能エネルギーの大規模化利用の基礎研究、スマートグリッドの基礎研究、原子力エネルギーの発展を支える基礎研究等の分野を重点的に支援する。

 情報科学分野→ポスト・ムーア時代の電子システムインテグレーション基礎理論、新型光電子デバイス、センサー及びその利用、THz源・波調制・制御・送信と受信デバイス、THz放射と物質の相互作用及びその利用技術、エネルギー効率優先と資源最適化通信ネットワーク理論、ソフトウェア理論と方法、情報コンテンツセキュリティー計算基礎理論、パスワード基礎理論、セキュリティープロトコルの理論と方法、大量情報表示、保存と高効率処理、情報科学とシステム科学の交叉等を重点的に支援する。

 資源環境科学分野→わが国に影響を与える高影響天気発生発展する規律、構造と予測、気候の多スケールでの変化特徴及びその検査測定・予測・推測、気候に影響を与える重要プロセスの指標化とモデル発展の研究、重要砿化変質帯、わが国に不足している支柱鉱物及び優位性鉱物、海洋鉱物砿化規律、地震・火山等地質災害基礎研究、生態系と環境演変、環境汚染の構造と制御、都市化の資源環境効果、海洋動力プロセス及びその気候システム中の作用、わが国近海の環境及び生態系のキープロセス、海陸気相互作用と東アジア季節風の四半期-年度予測理論、中国の典型的陸地・海洋生態系大気炭素、窒素気体交換の規律とコントロール理論研究を重点的に支援する。

 人口と健康科学分野→非伝染性慢性復雑疾患の構造及びその防止、伝染性疾患の発病構造及びその防止、計画生育と生殖の健康、災害医学、わが国の異なる民族の疾患易感性、老化と老化関連疾患、漢方薬、人と環境の相互作用等分野の基礎研究を重点的に支援する。

 材料科学分野→基礎材料産業のグレードアップと技術改良、先進材料調合科学、復雑な使用条件下での材料の使用行為と失効、ニーズから出発する多組元、多レベルの材料設計と性能シミュレーション、組織構造と性能の高効率、高分弁・スマート化特性システムの研究を重点的に支援する。

 製造と工程科学分野→極限使用装置の設計と強場製造、高速鉄道の安全監視制御と保証、情報デバイスとマイクロナノ製造、エネルギー設備の設計製造、高性能部材の多スケール製造、デジタル製造とインテリジェント製造、バイオ製造と生体工学製造、超精密、超高速、超常エネルギー条件下での極限製造、及び大型事業の自然災害災変構造とリスク研究、大型事業の減災と安全設計、大型事業の健康状態検査測定、観測及び診断と処置、大型事業の自然環境への干渉及び制御、大型工事のキー生態系効果と生態系管理基礎理論研究等の分野を重点的に支援する。

 総合交叉分野→航空における重要力学問題、空間探査と対地上観測の新原理と技術、災害の形成と変化規律、防災減災理論と方法、都市の発展プロセスにおける生態系環境、交通及び安全問題のコントロールと設計、科学・工程と社会問題のモデリングと計算、合成生物学とバイオ製造、グリーン化学工程、生命科学と複数学科の交叉と融合、大型科学の装置、新しい原理にもとづく科学実験方法・技術、計器と設備等の分野を重点的に支援する。

④.優位性のある力を集中し、重要科学の研究計画実施を推進する

 トップクラスの設計能力を強化し、管理体制を改善し、タンパク質研究、量子コントロール研究、ナノ研究、発育と生殖研究、地球変化研究と乾細胞研究の重要科学研究計画の実施を推進し、今後5年以内に重要なブレークスルーを実現できるよう努める。国際熱核融合実験炉(ITER)装置建設への参加を契機として、核融合エネルギー研究特定プロジェクトの実施がスタートした。国際的な科学の発展の最先端と、わが国科学の発展により、関連する研究計画と大型科学工程研究特定プロジェクトを起動させた。

国家重要科学研究計画

 タンパク質研究→タンパク質構造生物学、プロテオーム学、タンパク質研究新技術・新方法、タンパク質合成分解とコントロール体制研究、タンパク質生物学機能研究、システム生物学と合成生物学が重点であり、タンパク質の利用にもとづく基礎研究等の開発を強化する。

 量子コントロール研究→固体状態システム量子情報処理、量子シミュレーション、量子通信と情報セキュリティー、新しい関連量子材料、競争序と量子相変、関連量子現象理論と数値シミュレーション、単粒子と単量子態、半導体量子構造、等小量子体系、人工バンドギャップ材料の能帯とバンドギャップコントロール、光子マイクロ構造集成回路及び関連デバイス、亜波長光子学構造等の分野の研究を強化する。

 ナノ研究→国の重要戦略ニーズであるナノ材料については、従来の工程材料のナノ化技術、ナノ材料の重要共通問題、ナノ技術の環境とエネルギー分野での利用における科学的基礎、ナノ材料特性技術と方法、ナノ特性技術の生物医学と環境検査測定の利用学等の面での開発を強化する。

 発育と生殖研究→重点は胚胎と器官の発育構造にあり、生殖細胞の発生成熟、精卵識別、受精及び着床等生殖発育と生殖コントロールの仕組み、重要妊娠疾患等発育と生殖関連の重大疾患等の面での研究を強化し、発育と生殖のシステムとプラットフォームの建設を推進し、サル等の動物による人類の重大疾患モデルの構築を支援する。

 地球変化研究→地球温暖化の基本駆動力及びプロセスと構造、人類の活動の地球気候変動への影響及びその定量評価、地球変化の社会経済と生態系への影響と定量評価、総合地球観測データの逆演繹、同化と融合理論モデルと技術の構築、地球システムモデル開発及び地球変化シミュレーションと予測、地球システム変化の限界値、中国の気候変動に適応した温室効果ガス排出削減戦略等の科学基礎研究を重点的に支援する。

 乾細胞研究→細胞重編程及びそのコントロール体制研究、乾細胞の自己再生及び多能性維持の構造及び新物種多能乾細胞の建系、乾細胞の定向誘導分化及びそのコントロールの仕組み研究、乾細胞の発育とマイクロ環境の相互作用、シンボル物の発掘、識別とトレーシング、乾細胞臨床利用基礎研究、植物細胞の全能性と器官発生等の面の研究を重点的に支援する。

核融合エネルギー研究特定プロジェクト

 わが国の融合エネルギーを発展させる研究を加速化させ、国際熱核融合実験炉装置建設を完成させる中で、わが国は国際熱核融合実験炉購買の設計、認証及び製造技術研究開発を請け負った。国際熱核融合実験炉全体の設計及び関連技術を全面的に活用し、未来磁約束融合炉的全体設計研究を展開し、人材育成を加速化させ、わが国の核融合エネルギー研究イノベーション体系を建設する。

⑤.科学技術の基礎的業務を強化し、科学研究の蓄積を引き続き強化する

 三極(南極、北極、青藏高原)、三深(深海、深地、深空)、極限環境及び西部地域干ばつ地区等重点地域の生態系、資源、環境等に対する科学視察調査を強化し、わが国周辺及び典型的な地域の総合科学視察を積極的に展開する。動物志(動物書)、植物志(植物書)、孢子志(菌類書)、地理志(地理書)等の重要科学技術文献や、志書(地方)、典籍、図鑑の編研を支援する。関連科学データの採集と保護を強化し、異なる分野と業界の科学データバンクの建設をより改善し、データを総括するパイロット事業を拡大し、科学データの共有を促し、サービス力とレベルを向上させ、関連分野の科学研究と政府政策策定に向けて科学的サポートを実施する。

(2)先端技術研究の強化

 先端技術とは、ハイテクノロジー分野中の将来性・先導性・探求性のある重要技術を指し、将来のハイテクノロジーにおける世代交代と新興産業発展の重要な基礎となるものである。世界を代表するハイテクノロジーの発展方向、中国における将来の新興産業の形成と発展にとってリードする役割をもつ先端技術に対し展望をもって研究開発を拡大し、積極的に先端技術の発展を図る。重点産業の技術の世代交代に有利で、飛躍的発展を実現する先端技術について注力し、重要大型製品と技術システムを形成する。

①.情報技術

 光子情報処理、量子通信、量子計算、THz通信、新型計算システム体系、ネットショッピングソフトウェア、大量データ処理、スマート感知と交感等の重点技術のブレークスルーを進め、ユビキタスサービス、Man-machineインタラクション等核心キー技術を開発する。未来のネットワーク/未来のインターネット、次世代ラジオテレビ、衛星移動通信、グリーン通信と融合アクセス、高性能計算とサービス環境、ハイエンドサーバー、大量保存とサービス環境、高信頼ソフトウェアとサービス、バーチャル現実とスマート表現等重要技術システムと戦略製品の研究開発を行う。

②.バイオと医薬技術

 ゲノム学及び新世代シークエンジング技術、プロテオーム学技術、乾細胞技術、バイオ合成技術、バイオ治療技術、分子診断と分子映像技術、バイオ情報技術、創薬ターゲット発見と薬品分子設計技術について重点的に研究開発する。診断試薬、ワクチン、抗体薬品、霊長類疾患動物モデル及び血液製品、組織工程技術と製品、工業バイオ技術、バイオエネルギー技術、生物医学工程キー材料と生物医学利用材料を積極的に開発する。バイオ資源の開発保護、バイオ安全観測・防止制御技術及び設備を発展させる。遺伝子シークエンジング、プロテオーム学、トランスレーショナル医療等の研究開発プラットフォーム、抗体バンクとワクチン研究開発基地を構築する。

③.新材料技術

 マイクロ電子/光電子/磁性電子材料とデバイス、新型機能とスマート材料、高性能構造材料、先進複合材料、ナノ材料とデバイス、超伝導材料、高効率エネルギー材料、生態環境材料、低炭素排出材料等の開発を推進する。材料の設計調合加工と評価、材料の高効率利用、材料の使用行為と工程化等キー技術の研究開発を展開する。希少材料の替代と高効率利用、バイオ医療用新材料及び表面改性、高性能光電子材料とデバイス集成、先進結晶体と全固体状態レーザー材料、国家重要事業用キー材料等の核心キー技術を開発する。

④.先進製造技術

 グリーン製造とインテリジェント製造を取り巻くマイクロナノ製造技術、重要設備技術、スマートロボット技術、システム制御技術、製造サービス技術等の最先端及び核心技術の開発を進める。製造業向け核心ソフトウェア、精密作業用工作機械の設計製造基礎技術、ライフサイクルが復雑な設備向け観測とサービスサポートシステム、近代的製造におけるインターネットサービスプラットフォーム、制御システムの安全防備と安全システム、工程機械設備、砿山機械設備、人工器官製造、マイクロナノ製造によるグリーン印刷技術と機器、遠洋漁業機器等を重点的に研究開発する。

⑤.先進エネルギー技術

 第四世代原子力エネルギー、水素エネルギーと燃料電池、海洋エネルギー、地熱エネルギー、二酸化炭素の捕集・利用と貯留等の先端技術を重点的に探求する。省エネ排出削減を狙いとしたエネルギー材料と設備、バイオマスエネルギー、エネルギー貯蔵等戦略的な必須分野における産業の核心的競争力の向上、核心キー技術のブレークスルーを実現する。再生可能エネルギー、省エネ技術等の重要戦略技術を重点的とし、重要戦略製品と技術システムを開発する。

⑥.資源環境技術

 鉱物資源とオイルガス資源の高効率探査開発と集約化利用の核心キー技術と機器を開発し、重要キー設備の研究開発能力と業界での核心的競争力を向上させ、わが国の戦略的資源探査と開発利用の効率を大幅に引き上げる。新型汚染物処理技術と設備の開発を強化し、クリーン空気技術と土壤修復技術の研究開発の推進を加速化し、環境事故応急技術と設備の開発を強化する。先進環境観測計器とスマート化生態環境観測技術を大きく発展させ、環境汚染リスクの識別と遮断技術の開発を強化し、生態系環境観測の技術レベルを引き上げる。

⑦.海洋技術

 海上でのハイテクノロジー作業能力の向上を目標とし、核心技術の開発と設備の開発を強化し、海洋技術の近浅海から深遠海への戦略的移転を推進する。海洋環境の観測、海洋オイルガスと鉱物資源開発、海洋バイオ資源利用、深海運搬と作業等の面で、深水オイルガス探査開発、深海潜水器、深遠海海洋環境観測と海底観測網等の核心技術を飛躍的に発展させる。海洋開発における重要機器を開発し、深海オイルガス探査開発の重要設備の初歩的な設計と製造能力を備えさせ、国家深海公共試験場の建設を推進する。

⑧.近代農業技術

 農業バイオ機能ゲノム学、動物乾細胞、創薬ターゲット発見と薬品分子設計、食品栄養の品質ターゲティング設計と農業モノのインターネット等先端技術を重点的に開発する。分子設計育種、食品加工とバイオ製造、海洋農業、デジタル農業とスマート設備の製造及び農産品における生息環境コントロール等の核心キー技術のブレークスルーに力を入れる。優良動植物新品種、液体バイオ燃料、バイオ化学反応機、新型バイオ農薬、遺伝子工程ワクチンと薬品、農業スマート設備、健康食品、海水養殖等重要製品を開発する。

⑨.近代交通技術

 大量高速運送、新エネルギー運送、一体化交通システムの安全等の技術と装置を重点的に発展させ、高効率運送サービスを実現する。自動車動力システム、大型ヘリコプターと船舶用中速ディーゼルエンジン等交通輸送機器の発展を制約する重要技術について重点的にブレークスルーを進める。交通システムの情報化、スマート化技術と安全で高速の交通輸送技術を重点的に発展させ、運送網協調能力と運送効率を引き上げる。交通輸送の安全を保証し、資源の節約と環境保護、スマート化保護等の面でのキー技術のブレークスルーを図る。

⑩.地球観測とナビゲーション技術

 先進リモートセンサー、地理情報システム、ナビゲーション測位、深宇宙探査等の先端技術の研究を大きく進展させる。グローバル二酸化炭素観測、リモートセンサー感知網、グローバル空間情報主動サービス、ナビゲーション測位と位置サービス等の重要技術システムを重点的に構築・育成する。育成後は、ナビゲーションと位置サービスを核心とする空間情報産業に加え、リモートセンシング情報、ナビゲーション測位、移動通信衛星等新興産業の成長を促す。