出会い・別れ
出会い・別れ
日本に来て、関西に来て、今年は七年目となりました。この七年間は、本当にあっという間でした。けれども、今までの出会い・別れを思い出すと、様々なことがあり、長い年月だったような気もします。
今、もう日本の生活には大分慣れていますが、振り返ってみると、最初来た時はやはり大変でした。当時も「大変」という言葉を良く使っていました。ついこの間、友 達にこの言葉の真の意味を教えてもらいました。
「大変っていう言葉は、大きく変わるっていう意味で、その大変なことを乗り越えるとその後は、物事がよい方向に変わるっていう意味なのだ」
本当に「大変」は考えさせられる言葉だというふうに感じました。
慣れない土地で生活するのは、もちろん大変な事です。でも、自国では味わえない悩みを自らの力で解決していく過程は、何よりも人生の糧で、きっと後で素晴 らしい思い出になるとずっと思っていました。結 果がどうなるかは別として、今ここに私がいるのは、留学のおかげだと思います。
この7年間に、学校、仕事の関係で、大阪、京都、滋賀と引っ越してまいりました。
「こんなにいっぱい引っ越して、慣れますか?」「大丈夫ですか?」とよく両親に心配されていました。 最初は「大丈夫」と堂々と答えましたが、実は先生、学校の友人、親 しくなった日本の友人との別れが寂しかったです。
「いつか一つの所で生活したい」とずっと考えていました。
ある日「別れの数だけ、出会いがある」という言葉に出会い、私の考え方も変りました。小学校の友達と別れたからこそ、中学校の友達と出会い、中学校の友達 と別れたからこそ、高校の友達と出会い、中 国の友達と別れたからこそ、日本の友達と出会い...考えてみると、人生は別れと出会いの繰り返しと解釈しても良い でしょう。そして、私と同じく、別れのつらさを味わっている方々もたくさんいるはずでしょう。
ここで、この言葉をいつでも思い出してほしいです。
「別れは過去の記憶を思い出に変える力があり、出会いは未来を変える力があります」
尊敬すべき人との出会いは自分をより謙虚にし、守るべき出会いは自分をより勇敢にします。愛すべき人との出会いは自分をより優しくし、競い合える人との出会いは自分をより努力家にします。
もちろん、いつも素晴らしい出会いばかりとは限らないです。出会わなかったほうが良かったと思う事だってあります。自分に災害をもたらす人は分かりやす いですが、自 分の悪い部分を引き出す人などもいます。何が悪いともなく起きてしまうので、これはやはり巡り合わせでしょうか。
どんな出会いであれ、毎年この新しい出会いと別れの中で生まれる環境が自分の毎日を色とりどり鮮やかなものにしてくれます。
私は初めて日本に来た時、学校に通いながら、ある店でアルバイトをしていました。しかし、一年後、私は大学に進学することとなり、アルバイトをやめること になりました。進学前のある日、店 の奥さんから手紙を渡されました。初めてもらった日本語の手紙で、手紙の内容も感動的でした。
日本にも、冷たくしたり、いじめたりする人がいるが(どこにでも、いい人がいるし、悪い人もいるものです)、心優しくて、いい人もたくさんいます。この店 の奥さんも、こ のごく普通の人たちの中の一人ですが、私に人間本来の優しさを教えてくださった先生の一人と言っても過言ではないです。
私は大勢の人たちに支えられて来て、今、この場を借りて、再度今までお世話になった人々に感謝の気持ちを表したいと思います。この何年間皆にたくさんのことを教えられたと感謝しています。
留学生活の中、異国の知識だけではなく、人間として大切なもの--優しさ、愛情、思いやり、強さ--を学びました。自分が知らない内に成長したと思います。今 の私は、大変なことがあったら、そ れを出来るだけ乗り越えていこうと考えるようにしています。皆もそんなことを考えながら頑張ってみてはいかがでしょう か。
いつか、私はここにいる皆さんとも別れ、もう一生会えないかもしれないです。だから、一緒にいられる間は精一杯楽しくして、なるべく笑顔でいたいというふうに思っています。
最後に、JST中国総合研究センターの「同学們」との出会いを感謝しております。もし、この出会いがなければ、この記事を載せることもないでしょう。ここ で、この場を借りて、もう一度出会い・別 れという日常生活の中で頻繁におきる事について皆さんと共感できればと思います。