Ⅱ. 地球温暖化
技術開発水準において日本が少し欧米より先行しているが、それ以外では日米欧の差は余り無い。
産業起因の温暖化抑止技術について中国は低いレベルにある。例えば、鉄1トンの生産に必要なエネルギー指数比較では、日本(100)、韓国(105)、EU(110)、米国(120)に対して、中 国は150である。また、セメントの中間製品(クリンカ)1トンの生産に必要なエネルギー指数では、日本(100)、西ヨーロッパ(130)、韓国(131)に対し、中国は152となっている。( 米国はさらに悪く177。)火力の発電効率でも、日本(44.7%)、ドイツ(37.0)、フランス(36.9)、米国(36.7)に対して、中国は33.2%である。
建物・家庭起因の温暖化抑止技術について、清華大学、ハルピン工科大学、湖南大学など重点大学の一部で研究水準が高く、清華大学では省エネルギーモデルビルの建設と計測が行われており、ハ ルピン工科大学では新しいエアーフローウィンドーが開発されている。建設会社に研究所はなく技術開発は大学に委託している。建設現場における産業技術水準も低い。ただし、空調設備機器に関しては、外 資であるダイキン工業などは中国独自の研究も行っており、産業技術力も比較的高い。
中国では電力需要の80%が石炭火力発電によりまかなっている。必ずしも効率のよいシステムが導入されているとはいえない。
風力発電の導入普及拡大はめざましく、2007年には前年比倍増となっている。研究水準や技術水準はそれ程高くないが、留学生の帰国によりノウハウが集積しつつある。バ イオエタノール生産量は着実に増えつつあり、それなりの競争力を予想させる。
二酸化炭素回収・貯蔵技術については、欧州諸国や米国との共同研究を模索している。
森林・土壌の吸収技術では、毎年100万haという大きな規模での植林が進んでおり、育種技術も高まっている。森林モニタリング技術については、衛 星リモートセンシングの利用や森林のフラックス観測に係わる研究が進められている。