第34号:大気汚染対策
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特集巻頭言:大気汚染対策

中国科学技術月報2009年8月号(第34号)  2009.8.3発行

はじめに

 前回の中国科学技術月報では「水資源」とそれを取り巻く問題について特集を組みました。

 今回の特集は「大気汚染対策」について取り上げたいと思います。前回の「水資源」特集でも汚染について取り上げましたが、今回の「大気」ともっとも異なる部分はその「汚染のわかりにくさ」で はないでしょうか。水面にアオコがはびこるような、一見して汚染内容が明らかになる状態と異なり、一般人には大気中にどのような物質が浮遊しどんな汚染をもたらしているのかほとんど認識できません。  今回の特集中の田口論文でも指摘されているように、大気は越境し、およそ一年かけて北半球と南半球が混ざり合うという性質をもっています。この点でも場所が特定されやすい水の汚染とは大きく異なります。こ うしたことから汚染源を特定し、分析、観測し、問題解決に導くための科学技術の存在とその質の向上が非常に重要であることがお分かりいただけるかと思います。

 大気にとっては、中国と日本の間に国境などはありません。日中両国で協力し合い、お互いの科学技術力を持って問題に取り組んでいくことが、現在そして将来的にも不可欠な作業であり続けるはずです。今 回の特集が皆様のご理解の一助となれましたら幸いです。

中国総合研究センター

記事一覧

自動車排気ガス制御技術の進歩

・・・ 李 俊華(清華大学環境科学・工学部 教授)

東アジア地域における汚染物排出量が地上オゾンに及ぼす効果

・・・ 安俊嶺/屈玉(中国科学院大気物理研究所の大気境界層物理・大気化学国家重点実験室)

中国大気汚染物質排出リストの発展と挑戦

・・・ 王書肖(清華大学環境科学工学部 大気汚染抑制研究所副所長)

中国の大気中低分子有機酸研究及び大気汚染防止におけるその役割

・・・ 李 心清(中国科学院地球化学研究所研究員)

東アジアにおける越境大気汚染と観測

・・・ 高見 昭憲(国立環境研究所 アジア自然共生研究グループアジア広域大気研究室 室長)

日本におけるCO2地中貯留技術開発の取り組み

・・・ 薛 自求((財)地球環境産業技術研究機構CO2貯留研究グループ 主任研究員)

大気環境診断・予測技術の開発

・・・ 田口 彰一(産業技術総合研究所 環境管理技術研究部門地球環境評価研究グループ グループ長)

発展途上国における硫黄酸化物の排出抑制とゼロエミッションサイクルの構築

・・・ 坂本和彦(埼玉大学大学院理工学研究科教授、環境科学研究センター長)