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日本大学フェアと日本新技術展を同時開催 日中大学フェア&フォーラム

2019年 5月28日 周少丹・曹暉(中国総合研究・さくらサイエンスセンターフェロー)

 日中大学フェア&フォーラム in CHINA 2019が5月25、26日の両日、四川省成都市の錦江賓館で開催された。2日目の26日は日中双方の協力・連携に重きが置かれ、日本大学フェアおよび日本新技術展行われた。

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写真1 大変盛況だった会場

 日本大学フェアには日本の大学・高等専門学校36校が出展した。ここでは参加した大学の幾つかの取り組みを紹介する。

 会場で来場者に丁寧な説明を行っていた大阪大学では、留学生向けに複数の専門分野で英語での授業を行っており、留学生から日本語学習の困難さを幾分緩和している点を強調していた。

 一方、岡山大学では留学生向けに豊富な奨学金情報を提供し、留学生が学業に専念できるようにしているといい、ブースを訪れた来場者の多くは岡山大学の姿勢に好感を持ったようだ。

 また立命館大学は中国人留学生向けに立命館大学とオーストラリア国立大学のデュアル・ディグリー(学部共同学位)取得プログラムを設け、学生が西洋と日本の二つの言語・文化的背景を持てるようにし、卒業生の就職競争力を高めている。

 このように、出展した大学は各校の学校運営の特徴と留学生の生活や勉強に関する問題を解決するさまざまな制度を来場者にアピールした。疑問を抱いて相談に来た来場者らは、満足感を胸に会場を後にしていた。

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写真2 日本の大学のブースで留学情報について尋ねる来場者

 日本新技術展では計40のブースが設置され、日本の大学・企業が研究開発した多くの技術が展示され、研究成果の製品化の可能性を探った。技術展には、素材や素材リサイクル利用技術、スーパースマート社会、装置・設備、環境保護、ナノテクノロジー、低炭素技術、エネルギー技術、医療技術、ライフサイエンス、高齢化社会、情報通信技術など、多くの技術領域がカバーされていた。

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写真3 大学フェアブース(左側)と技術展のブース(右側)

 熊本大学が開発したKUMADAI不燃マグネシウム合金は、長周期積層構造(LPSO構造)を持ち、強度は従来のマグネシウム合金の2倍以上で、その上高温に耐えるという特長があり、従来のマグネシウム合金の可燃性が高いという欠点を克服し、輸送器材に適した軽量化がなされている。また、マグネシウム金属は生命体への影響が小さく、生体吸収性の医療用素材として合金開発が行える。この技術はすでに中国で特許を出願しており、中国側企業は特許授権などの形で合金の配合と製造方法を取得後、大量生産を行うことが可能だ。

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写真4 熊本大学のKUMADAI不燃マグネシウム合金

 摂南大学の川上比奈子教授はクロロフィルを利用した発電燃料電池システムを開発した。その原理は、まずどこでも入手できる植物からクロロフィルを抽出した後、独自開発した培養液を入れて、クロロフィルが人工環境で長時間活性を保てるようにし、しかも太陽光照射の下で効率良く水を水素と酸素に分解できるようにする。最後に、再び水素燃料電池の方式で電力を発生させる、というものだ。現在、16平方メートル前後のクロロフィルパネルで20Wの電力を提供できるという。その電力は市場に出回っている単結晶系シリコン電池パネルには及ばないが、クロロフィルという自然元素を新しい建築設計理念に取り入れることに成功している。昼間、このシステムが発電した電力は消費電力の低い家電に使用され、同時に燃料電池に蓄えられる。夜間、電力は照明などに使用される。このシステムは自然資源を繰り返し利用することで成り立つ低炭素システムであり、自然環境と完全に調和した新たな居住環境システムの提案である。

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写真5 来場者にクロロフィル系太陽光発電燃料電池システムの稼働原理と特徴を説明する摂南大学の川上比奈子教授(右)

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写真6 摂南大学の川上比奈子教授が開発したクロロフィル系燃料電池

 京都大学は同大学理学院研究科の杉山弘教授の技術に基づいて、良好な細胞透過性を持つピロール・イミダゾール(PI)ポリアミドを開発した。これは天然の抗生物質の化学構造を基に開発した合成分子で、ピロール、イミダゾール、β-アラニンのユニットがアミド結合で結びついてできた簡単な構造である。京都大学の研究者は標的とするDNA配列に対し選択的に結合分子を設計でき、さらにさまざまなPIポリアミドの合成と活性評価関連技術知識を有している。医学研究科の上久保靖彦特定教授はこの革新的技術を使用し、杉山教授と急性白血病、肺がん、脳腫瘍、小児がんなど各種難病の新薬を共同開発し、難病や希少疾病用医薬品の研究開発に新たな方法を提供した。

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写真7 上久保靖彦特定教授のポスター

 顔情報などプライバシーの保護に関する問題を踏まえ、和歌山大学の呉海元教授は建築物の入口上部に設置した俯瞰視RGB-Dカメラで個人を再識別する方法を開発した。この方法は人の服装、毛髪の色、体型が短期間では変わらないと仮定し、上記のような個人特徴を持つ色情報と画素数を効果的に利用した人物多重識別特徴を打ち出した。同システムは簡単に設置でき、従来のような顔や指紋、手紋(手のひらの筋)といった個人情報を利用する必要がなく、プライバシー優先の識別方式を実現している。このシステムは日本のスマート社会(Society5.0)技術の構成部分として、出勤状況管理や路線バス・電車の運賃自動決済、公園・協議会やイベント会場の人数管理、「将来の高齢者看護サポート」などのシーンで用いることができる。

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写真8 和歌山大学のブース

 なお同日、日中学長個別会談も開催され、一対一形式による日中両国の大学学長間の交流の場を設定し、日中の大学間協力の意向を確認し、それぞれ学校間の協力についての検討を行った。

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