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【20-020】《新型コロナウイルス》中国による各国の支援

JST北京事務所 2020年3月18日

 中国での新型コロナウイルスの新規確定診断者数は減ってきたが、他国では感染者が増加し、世界保健機関(WHO)はパンデミックを宣言した。中国の新規確定診断者は、3月12日に全国(31省区市)で一桁(8人)となり、患者の多い武漢市で5名、残り3名は、いずれも海外から中国に来た人である[1]。中国以外の患者は、世界で5万人を越え、イタリアが1万5千人を、イランは1万人を越え、韓国は8,000人に近づいている(3月13日午前12時現在)[2]。なお、これらの世界の患者数のデータは、中国で多くの人が使用しているスマホ決済のアプリのサイトに標準装備されている健康関係アプリで時々刻々の変化を各自のスマホ上でも知ることができる。

 状況が落ち着きつつある中国は、ウイルスに国境なし、世界に中国の経験と技術を活かした協力を行う、全世界がウイルスの感染拡大に打ち勝つために中国の知恵と方策を提供・貢献していきたいという方針を国家衛生健康委員会が表明している[3]。中国の治癒・退院者は、3月12日24時現在で64,111人に達している[1]

 日本にも既報のとおり、既に検査キットの寄付が行われている[4]。また、100以上の国家と10を超える国際機関に中国の診療マニュアル等の技術文献を提供。日本のほか、韓国、イタリアにも検査機器等の援助を行っている。さらに、世界各国の対策のための国際協力に使用してもらうため、WHOに2,000万米ドルを拠出している[5]

 中国赤十字会は、新型コロナウイルス対策の国際人道援助基金を設立して中国の各界に寄付を募るとともに、専門家や医療スタッフの派遣、援助物質の送付を開始した[6]

 中国赤十字会等により、世界各国へ中国の医療支援隊が次々と出発している。湖北省の状況が厳しいときには、中国内の各省が、湖北省内の各市を分担して支援する体制が取られていた[7]。現在の状況を,今度は各省が一カ国を分担して支援しているようだと評している報道もある。そこでは、各国が中国にしてくれた支援を忘れてはいけないとも書かれている[8]。中国赤十字会は、3月8日までに累計2.76億元相当の海外からの援助を受け取ったという[6]

 各省の専門家を中心とした各国への支援の状況は、報道等によれば、次のとおりである。

○上海-イラン

 2月29日、中国赤十字会が、上海市赤十字会の援助・救護部長を長とし、WHOのイラン視察団にも参加した中国疾病予防コントロールセンターの研究者や上海市の疾病予防コントロールセンター、上海市公共衛生臨床センター、上海市政府の専門家により構成されるボランティア専門家グループを派遣した[9]

○広東省-イラク

 3月7日、中国赤十字会が、広東省赤十字会、中国疾病予防コントロールセンター、広州医科大学附属第一病院、中山大学達安ゲノム社、広東外語外国貿易大学、上海連影医療社等の7人のボランティア専門家グループを広州白雲空港から派遣した。検査キット等の医療用品、漢方薬等の救援物資も携行している[10]

○四川省-イタリア

 3月11日、中国赤十字会が、同会副会長をリーダーとし、国家疾病予防コントロールセンター、四川大学華西病院、四川省疾病予防コントロールセンター等の専門家や医療スタッフを救援物資とともにイタリアに派遣した[11]

 イタリアは、1970年に中国と国交樹立、1978年には科学技術協力協定を締結し、西側諸国の中では、最も早く中国と科学技術協力を開始した国である[12]

 四川省衛生健康委員会沈驥書記は、中国国営テレビのインタビューで、今回の協力に関して、両国の長年の医療関係の交流、特に、イタリアが2008年5月12日に発生した四川大地震のとき、イタリアが医師団を派遣してくれたことに触れた[13]。イタリアは、欧州では最も早く支援を表明し、5月18日にテント等の援助物資が四川省に到着し5月20日には医療団を派遣した。

 テントは、子供たちの臨時学校に使用された。医療チームは、追加のテントや医療設備とともに5月23日、綿竹市孝徳鎮に向かい、臨時病院をつくったときには、地元の人たちも一緒にテントの設営や設備の運搬等に協力したという。一日300人の診察が続けられ、6月1日の国際児童節には、舞台で地元の子供たちとともに童謡を歌うなど交流を深めたという[12]

 このほか、1998年に四川省内最大の救急センターの建設を無償援助した。同センターは、この30数年間に四川省の医療に大きく貢献しているという[13]

○江蘇省-パキスタン

 蘇州大学付属第二病院がパキスタンに医療チームを派遣。このため、同大学の新型コロナウイルス対策のための特別基金から5万元が3月9日に支出されている[14]。このほか、中国は、蝗害に関してもパキスタンを支援している[5]


[1]截至3月12日24时新型冠状病毒肺炎疫情最新情况

[2]最新!中国以外地区确诊病例破5万,意大利伊朗均过万

[3](関連記事)新型コロナウイルスに関連した医薬品・治療法の開発状況等について
国务院联防联控机制2020年3月6日新闻发布会介绍科技研发攻关最新进展情况

[4](関連記事)新型コロナウイルスに係る中国から日本への支援および中国の検査技術について

[5]全球战"疫" 有一种温暖叫"中国援助"

[6]中国红十字基金会设立"抗疫国际人道援助基金"驰援受疫情影响较严重国家和地区

[7]国家卫健委:16省份"一省包一市"支援武汉
国务院联防联控机制2020年2月7日新闻发布会 介绍进一步做好重点地区疫情防控工作、提高收治率治愈率和降低感染率病死率等相关情况

[8]真的来了!终于,中国放大招了!!

[9]专访:"相信中国经验能助力早日缓解伊朗疫情"----访中国红十字会援助伊朗志愿医疗专家组

[10]中国红十字会志愿专家团队赴伊拉克支援疫情防控

[11]中国抗疫专家组启程赴意大利

[12]意大利汶川时留下一座黑科技医院,12年后,四川人说这情我们还了

[13]为什么援意专家组多来自四川?

[14]苏州大学抗击新冠肺炎专项基金公示(九)