田中修の中国経済分析
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【21-05】2021年全人代の注目点(その3)

2021年04月21日

田中修

田中 修(たなか おさむ)氏 :奈良県立大学特任教授
ジェトロ・アジア経済研究所 上席主任調査研究員

略歴

 1958年東京に生まれる。1982年東京大学法学部卒業、大蔵省入省。1996年から2000年まで在中国日本国大使館経済部に1等書記官・参事官として勤務。帰国後、財務省主計局主計官、信 州大学経済学部教授、内閣府参事官、財務総合政策研究所副所長、税務大学校長を歴任。現在、財務総合政策研究所特別研究官(中国研究交流顧問)。2009年10月~東京大学EMP講師。2 018年4月~奈良県立大学特任教授。2018年12月~ジェトロ・アジア経済研究所上席主任調査研究員。学術博士(東京大学)

主な著書

  • 「日本人と資本主義の精神」(ちくま新書)
  • 「スミス、ケインズからピケティまで 世界を読み解く経済思想の授業」(日本実業出版社)
  • 「2011~2015年の中国経済―第12次5ヵ年計画を読む―」(蒼蒼社)
  • 「検証 現代中国の経済政策決定-近づく改革開放路線の臨界点-」
    (日本経済新聞出版社、2008年アジア・太平洋賞特別賞受賞)
  • 「中国第10次5ヵ年計画-中国経済をどう読むか?-」(蒼蒼社)
  • 『2020年に挑む中国-超大国のゆくえ―』(共著、文眞堂)
  • 「中国経済はどう変わったか」(共著、国際書院)
  • 「中国ビジネスを理解する」(共著、中央経済社)
  • 「中国資本市場の現状と課題」(共著、財経詳報社)
  • 「中国は、いま」(共著、岩波新書)
  • 「国際金融危機後の中国経済」(共著、勁草書房)
  • 「中国経済のマクロ分析」(共著、日本経済新聞出版社)
  • 「中国の経済構造改革」(共著、日本経済新聞出版社)

その2 よりつづき)

4.2021年の重点政策

 ここでは、マクロ政策と改革開放に関連する部分を紹介する。

4.1 マクロ政策の連続性・安定性・持続可能性を維持し、経済運営を合理的区間で促進する

 従来は、総論でマクロ政策の基本方針を述べ、各論で具体的政策を記述していたが、各論に一本化された。

 冒頭で、マクロ政策の基本方針として、「区間コントロールの基礎の上に、方向を定めたコントロール、タイミングを見計らったコントロール、精確なコントロールを強化する。マクロ政策は、引き続き市場主体の困難緩和のために必要な支援の程度を維持し、急転換せず、情勢の変化に応じて適時調整・整備し、経済の基盤を一層強固にしなければならない」と述べている。

(1)積極的財政政策:質・効率を高め、更に持続可能でなければならない

 20年報告の「更に積極的に成果を出さなければならない」よりトーンが弱まり、19年12月の中央経済工作会議の「質・効率の向上に力を入れなければならない」へと回帰し、さらに「財政の持続可能性」を強調する形となった。

 「疫病が有効にコントロールされ、経済が徐々に回復したことを考慮し」、2021年度の財政赤字の対GDP比率は3.2%前後とされ、20年度の「3.6%以上」(実績は3.7%)より引下げられた。財政赤字規模は3.57兆元であり、20年度予算3.76兆元より1900億元減少し、中央財政赤字は2.75兆元、地方財政赤字は8200億元とした。同時に、20年に1兆元発行された疫病対策特別国債は発行しないこととされた。

 なお、財政部が全人代に行った財政報告では、「このように(財政赤字比率を)計上したのは、財政政策の積極方向を体現しているだけでなく、わが国は『バラマキ』式の強い刺激を行わず、質の高い発展を推進するという明確なシグナルを発出し、かつ今後新たなリスク・試練に対応するために政策の余地を残しておくものである」と説明している。また疫病対策特別国債の発行をやめたことについては、「疫病対策特別国債発行は特殊な時期の特殊な措置であり、現在疫病対策等の臨時支出が大幅に減少しており、地方公共衛生等のインフラ建設・基本民生等の支出が、正常なルートを通じて保障を与えることができる」としている。

 これまで、財政部はEUの財政健全基準にならい、財政赤字の対GDP比を3%以内に抑えてきたので、20年度の「3.6%以上」は、財政部の大幅な譲歩であった。これでも、まだ3.2%前後と3%基準をやや上回っているが、これは実質成長率を6%以上とおいた上での計算であるため、7%以上の成長が達成できれば、財政赤字比率はさらに下がることになろう。

 財政支出の総規模は増加するが、重点はやはり雇用・民生・市場主体の保障の強化である。

 中央レベルの支出は引き続きマイナスの伸びを計上し、急ぎでない需要・裁量的支出を一層大幅に圧縮する。

 地方財政対策としては、「地方に対する一般性移転支出は7.8%増としており、伸びは昨年度より顕著に高い。うち均衡性移転支出[13]・県レベル基本財政力保障メカニズム奨励・補助金等の増額は、いずれも10%を超える。

 常態化した財政資金直接交付メカニズムを確立し、かつ範囲を拡大して、2.8兆元の中央財政資金を直接交付メカニズムに組み入れ、規模は顕著に前年度より大きい。これは市・県の末端の企業に恩恵を及ぼし国民を利するため、さらに適時有力な財政力支援を提供するものである。各レベル政府は国民のために節約して用い、倹約を堅持し、基本民生支出を増やすだけで減らさず、市場主体が活力を保ちつつ、活気あふれるものになるよう助力しなければならない」としている。

 20年報告は、直接交付メカニズムを「特殊な時期の特殊な措置」とし、財政赤字の1兆元増と疫病特別国債1兆元の計2兆元については、「特殊な移転支出メカニズムを確立し、資金は直接市・県の末端に交付し、直接企業に恩恵を及ぼし、国民を利する。資金は主として、雇用・基本民生・市場主体の保障に用い、これには減税・費用引下げ、賃料・利息引下げ、消費・投資拡大等への支援が含まれる」としていた。これを21年度は正式に制度化し、2.8兆元に規模を拡大したのである。これにより昨年度設けられた「特殊移転支出」は廃止された。

 これまで中央から地方への財政移転支出は、省政府に交付され、より下のレベルの地方政府には省政府が配分していたため、末端政府には十分に資金が行き渡らなかった。それを直接末端に交付することにより末端地方政府の財源不足を緩和することにしたのである。

 これまで続けられてきた減税政策については、最適化し実施するとし、市場主体が元気を回復し活力を増強するには、もう一助けが必要だとし、「引き続き、構造的減税政策を執行し、小規模納税者の増値税優遇等一部の段階的な政策執行の期限を延長し、新たな構造的減税措置を実施し、一部の政策調整がもたらす影響をヘッジする。小規模納税者の増値税課税最低限を、月当り販売額10万元から15万元に引き上げる。小型・零細企業と個人工商事業者の課税所得額の100万元に満たない部分については、現行の優遇政策の基礎の上に、さらに所得税を半減する。各地方は、減税政策を適時完全実施し、市場主体が享受すべきものを全て享受させなければならない」とした。

(2)穏健な金融政策:柔軟・精確、合理的・適度にしなければならない

 20年報告の「更に柔軟・適度にしなければならない」よりトーンが弱まり、19年中央経済工作会議「柔軟・適度」に「精確・合理的」が加わった。

 具体的には、「実体経済へのサービスを更に際立って位置づけ、経済回復とリスク防止の関係をうまく処理する。マネーサプライと社会資金調達規模の伸びを名目成長率と基本的に釣り合わせ、流動性の合理的充足を維持し、マクロレバレッジ率の基本的安定を維持する。中小・零細企業[14]の資金調達の難題を一層解決する」としている。

 20年報告の「M2と社会資金調達規模の伸びが、顕著に昨年より高くなるよう誘導する」からトーンが弱まり、従来の表現に戻った。マクロレバレッジ率の基本的安定維持が強調されている。20年末から住宅価格再上昇の兆しが現れており、金融リスクの防止が課題となっているのであろう。ただ、21年の名目成長率はかなり高くなるものと見込まれ、そこまでM2と社会資金調達規模を伸ばせば、かなりの金融緩和となるため、あくまで「基本的に」釣り合わせるのであり、「流動性の合理的充足を維持」という歯止めをかけている。これが「合理的」の意味であろう。

 個別施策では、次の項目が詳細に列挙され、「今年は、小型・零細企業の資金調達が更に便利になり、総合資金調達コストを安定の中で引き下げなければならない」としている。

①小型・零細企業向けインクルーシブファイナンスの元本償還・利払い猶予政策を延長し、再貸出・再割引によるインクルーシブファイナンス支援を強化する。

②小型・零細企業向け融資の債務保証料の補助政策を延長し、貸出リスク分担補償メカニズムを整備する。

③信用情報シェアの歩みを加速する。

④金融機関の考課・評価と職責を尽くした場合の免責制度を整備する。

⑤銀行が無担保貸出を拡大し、引き続き初めての貸出先を増やし、「随時貸出・随時償還」の貸出を普及するよう誘導し、資金が更に多く科学技術イノベーション・グリーン発展、更に多く小型・零細企業、個人工商事業者、新しいタイプの農業経営主体に流れるようにし、引き続き疫病の影響を受けている業種・企業に対し、的を絞った支援を与える。

⑥大型商業銀行は、小型・零細企業向けインクルーシブファイナンスを30%以上伸ばす。

⑦サプライチェーン・ファイナンスのモデルを刷新する。

⑧小型・零細企業の決済手続手数料を適切に引き下げる。

⑨預金金利の監督管理を最適化し、実質貸出金利の一層引下げを推進し、引き続き金融システムが実体経済に利潤を移譲するよう誘導する。

 貸出資金のバラマキを回避し、科学技術イノベーション・グリーン発展、小型・零細企業、個人工商事業者、新しいタイプの農業経営主体に絞り込む姿勢を示している。これが「精確」の意味であろう。小型・零細企業向け施策は、基本的に20年の施策が維持されている。

 2021年の国有大型商業銀行の小型・零細企業向け貸出を、20年の「40%超」増から19年の「30%以上」に戻した。不良債権比率とのバランスに配慮したものであろう。

 なお、李克強総理は、会見において「現在市場主体とりわけ中小・零細企業は回復し元気になってきている。経済成長も回復しているので、我々は政策を合理的に調整しなければならない。しかし、調整は適度であり、ある程度段階的に政策を退出させる。同時に、いくらかの構造的減税・費用引下げ政策を用いて影響をヘッジもし、雇用・民生・市場主体の保障の程度を減じないことを維持する。

 財政資金から言うと、『一つの減、一つの増、一つの安定の中での引下げ』である。『一つの減』は、中央政府レベルの支出を減らし、各レベル政府も倹約を牽引しなければならない。『一つの増』は、直接交付資金の範囲を拡大し、末端と市場主体に政策支援の程度が減っていないと感じさせることである。こうすれば、更に速く更に効果的に企業に恩恵をもたらし国民を利することができる。『一つの安定の中での引下げ』とは、レバレッジ率を安定させると同時に、金融企業の合理的な利潤移譲を誘導して、中小・零細企業の資金調達を更に円滑にし、資金調達コストを安定の中で引き下げることである。当然、我々は、各種の潜在リスクに対しても適時防止・解消する」と述べている。

(3)雇用優先政策:引き続き強化し、力を集めて効果を高めなければならない

 20年報告の「全面的に強化しなければならない」のトーンを基本的に維持した。

 具体的には、次の施策が列挙されている。

①現有雇用の安定に力を入れ、リストラをせず、リストラを少なくした企業に対し、引き続き必要な財政・税制・金融等の政策支援を与える。

②失業・労災保険料率を引き下げ、失業保険料返還等の段階的雇用安定政策の優遇範囲を拡大し、仕事を与えることにより職業訓練に代える政策の実施期限を延長する。

③市場による就労ルートを開拓し、起業による雇用牽引を促進する。

④雇用のハードル引下げを推進し、国家職業資格目録を動態化し、一部の業務独占資格試験の実務経験年数の制限を引き下げるか廃止する。

⑤新たな就労形態を支援し、規範的に発展させ、業務災害保障テストの推進を加速する。

⑥引き続きフレキシブルな就労者に社会保険料補助を与え、就労地で社会保険に加入する際の戸籍制限廃止を促進する。

⑦大学卒業生・退役軍人・出稼ぎ農民等の重点層の雇用対策をしっかり実施し、障害者・就労ゼロ家庭の構成員等困窮者への支援政策を整備し、失業者の再就職を促進する。

⑧職業技能訓練資金の使用範囲を拡大し、大規模・多層レベルの職業技能訓練を展開し、「職業技能向上・高等職業学校学生募集拡大3カ年行動」の目標を達成し、高技能人材の訓練基地をまとまって建設する。

⑨健全な就業公共サービス体系を整備し[15]、就業サービスの質向上プロジェクトを実施する。

⑩就業特別補助等の資金を運用し、各種労働力市場・人材市場・日雇い市場の建設を支援し、就業ルートを広げ、意欲・能力のある者のために更に多く公平な雇用機会を創造する。

4.2 重点分野の改革を深く推進し、市場主体の活力を更に大きく奮い立たせる

 報告は、「企業の困難緩和を援助する政策を実施すると同時に、関連改革を強力に推進し、更に活躍し、更に創造力のある市場主体を育成する」としている。

(1)政府機能を一層転換する

 報告は、「資源配分における市場の決定的役割を十分発揮させ、政府の役割を更に好く発揮させて、効率的な市場と機能的な政府を更に好く結びつける」との大原則を示している。

 主な施策は以下のものである。

①市場参入を引き続き緩和し、(生産)要素の市場による配分総合改革テストを展開し、法に基づき各種市場主体の財産権を平等に保護する。

②「行政の簡素化・権限委譲、緩和と管理の結合、サービスの最適化」改革を深く推進し、市場化・法治化・国際化したビジネス環境を早急に作り上げる。

③行政許可事項を全部リスト管理に組み入れる。「証照分離改革」[16]を深化させ、企業に係る審査・許認可の段階・材料・期限・費用[17]を減らす。

④市場主体の退出メカニズムを整備し[18]、中小・零細企業の簡易登録抹消制度を実行する。

⑤工業製品の参入制度改革を実施し、自動車、電子・電器等の産業への生産参入と流通管理の全プロセスの改革を推進する。

⑥有効な監督管理を行政の簡素化・権限の緩和に必要な保障とし、監督管理責任を全面実施し、審査・許認可事項の廃止・下方委譲について、事業実施中・事後監督管理を強化する。

⑦レベルを分け分類した監督管理政策を整備し、部門を跨った健全な総合監督管理制度を整備する。

⑧「インターネット+監督管理」の推進に力を入れ、監督管理能力を高め、信用失墜行為への懲罰・処分を強化し、公正な監督管理により優勝劣敗を促進する。

⑨デジタル政府の建設を強化し、政務データのシェア協調の健全なメカニズムを確立し、電子証明書の応用分野拡大と全国相互認証を推進し、更に多くの政務サービス事項のオンライン化・アプリ化・ワンストップ化を実現する。

⑩企業・大衆の日常的な処理事務について、今年は「全国どこでも処理可能」を基本的に実現しなければならない。

 なお、李克強総理は、会見において、現在市場主体の総数は1億3千万社(戸)余りに達し、20年の個人工商事業者も新たに1千万戸余り増え、6千万余りから9千万余りに増えたと紹介したうえで、「競争は、公平な競争であるべきで、監督管理がなければならない。公平・公正を管理してこそ、市場主体は真の創造力を示すことができる。このため、我々は緩和と管理を共に重んじており、監督管理方式を刷新し、事業遂行中・事後の監督管理を強化する。これも改革である。我々は『インターネット+』、モノのインターネットといった新業態を支援するが、脅しやごまかし、偽造、背任、あるいは新業態を旗印とした詐欺や違法資金集めについては、断固取り締まらなければならない。市場が攪乱され、公平でなければ、競争は持続不可能であり、更に強い活力を現すことは不可能である」と述べている。

(2)改革の方法を用いて企業の生産経営コストの低下を推進する

 「エネルギー・交通・電信等の基礎的産業の改革を推進し、サービス効率を高め、料金徴収水準を引き下げる」とする。主な施策は以下のものである。

①電力料金の不合理な加算を一層整理し、工業・商業電力価格の引下げを引き続き推進する。

②中小企業向けブロードバンド・専用回線の平均使用料をさらに10%引き下げる。

③高速道路の差別化した料金徴収を全面的に普及する。

④港湾整備費を廃止し、民間航空発展基金の航空会社への徴収基準を20%引き下げる。

⑤疫病の影響がかなり大きい地方が、小型・零細企業、個人工商事業者への国有建物賃貸料を減免することを奨励する。

⑥税外収入の不合理な伸びを厳格に抑制し、不当な費用徴収・罰金・強要を厳格に取り締まり、人民を煩わせて不正な利益を得てはならない。

(3)多様な所有制経済の共同発展を促進する

 「社会主義基本経済制度を堅持・整備する。いささかも動揺することなく公有制経済を強固にして発展させ、いささかも動揺することなく非公有制経済の発展を奨励・支援・誘導する」という原則を述べ、「各種市場主体は、いずれも国家現代化の建設者であり同等と見なし、平等に扱わなければならない」とする。主な施策は、以下のものである。

①「国有企業改革3年行動」を深く実施し、国有資本と国有企業を強く・優れた・大きいものとする。国有企業の混合所有制改革を深化させる。

②親しみがあり、清廉な政府と民営企業の関係を構築し、民営企業の発展を制約する各種障壁を打破する。中小企業への未払いを防止・解消する健全で長期有効なメカニズムを整備する[19]。企業家精神を発揚させる。

③国家はプラットフォーム企業のイノベーション・発展を支援し、国際競争力を増強すると同時に、法に基づき規範的に発展させ、健全なデジタルルールを整備する[20]。反独占・資本の無秩序な拡張の防止を強化し、公平な競争市場環境を断固擁護する。

 国有企業改革・民営経済発展は記述が減少し、国有資本のみならず、国有企業の強大化の記述が復活した。コロナ禍において、雇用の維持、生産の早期再開、サプライチェーンの維持における国有企業の役割が見直されている。また、プラットフォーム企業への監督強化の記述が盛り込まれた。

(4)財政・税制・金融体制改革を深化させる

 主な施策は、次のものである。

①予算の制約と業績効果管理を強化し、予算の公開を強化し、税・費用優遇政策を享受するための処理プロセス・手続を簡素化する。

②中央と地方の財政権限と支出責任区分改革方案を実施する。健全な地方税体系を整備する[21]

③引き続き多くのルートで中小銀行の資本を補充し、コーポレートガバナンスを強化し、農村信用社の改革を深化させ[22]、政策性銀行の業務別管理・会計の改革を推進し、保険の保障・サービス機能を高める。

④株式発行登録制改革を着実に推進し、常態化した上場廃止メカニズムを整備し、債券市場建設を強化し、多層レベルの資本市場の役割を更に好く発揮させ、市場主体の資金調達ルートを拡大する。

⑤金融持ち株会社とフィンテックへの監督管理を強化し、金融イノベーションをプルーデンス監督管理の前提の下で進めることを確保する。

⑥金融リスク処理メカニズムを整備し、各方面の責任を徹底させ、システミックリスクを発生させない最低ラインを断固しっかり守る。

⑦金融機関は実体経済をサポートするという本分を堅守しなければならない。

 21年には不良債権の増大により、中小銀行の経営悪化が懸念されるため、自己資本強化が必要となる。また企業の経営悪化も予想されるため、上場廃止制度の整備も必要となるのである。

 また、プラットフォーム企業への監督強化と連動し、イノベーション・フィンテックの進展による、他業種からの金融分野への参入への監督強化も図られている。

その4 へつづく)


13. 日本の地方交付税に相当するものである。

14. 全人代の修正で「小型・零細企業」が「中小・零細企業」に改められた。

15. 全人代の修正で盛り込まれた。

16. 経営許可証取得(審査・認可)が先で、営業執照(商業登記)が後という強制順序をなくし、後者さえ済めばとりあえず営業できるようにすること。

17. 費用は、全人代の修正で盛り込まれた。

18. 全人代の修正で盛り込まれた。

19. 全人代の修正で盛り込まれた。

20. 全人代の修正で盛り込まれた。

21. 全人代の修正で盛り込まれた。

22. 全人代の修正で盛り込まれた。