中国科学院昆明動物研究所は12日、遺伝学研究により有史以前の人類移動の内陸ルートが東アジアに確かに存在していたことがわかったと発表した。中国新聞網が13日伝えた。
同研究の責任者である彭博士によれば、「最終氷河期最盛期(LGM)」とは今から約2万年前の最後の氷河期において氷河が一番発達していた時期を指すが、この時期から「完新世」(約1万年前)までの間の気候変動および生態環境の変化が人類の移動活動に影響を与えた可能性があるという。東アジアでは考古学作業によってこの時期の移動の痕跡が数多く発見されているが、こうした移動活動が現在の東アジア人の遺伝データに記憶されているかは明らかになっていなかった。
同研究チームは初期の研究で、東アジア人特有の遺伝子が約2万年前の人類の移動活動を遡る有効な遺伝子マーカーであることを発見した。中国科学院の張亜院士と孔慶鵬研究員の指導のもと、この遺伝子を詳しく分析した結果、中国の南部および東南アジアが東アジアのLGM後、人類移動の発祥の地であることがわかった。
この研究は、中国南部から西へ延び、インド東北部、ネパールを含むヒマラヤ以南地域へとつながる有史以前の内陸ルートを遺伝学的に初めて明らかにしたものだ。このルートは、中国南部と東南アジアの中石器文化、例えば広西の白蓮洞三期文化やベトナムのハロン文化などが西へ広がっていった考古学説と一致する。これに基づき彭博士は、氷河期後の有利な気候条件と文化の変遷が当時の人々の移動と拡散を助長したと推測している。