2018年03月26日-03月30日
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世界の科学技術界で異彩を放つ中国人女性

2018年03月30日

 すっきりしたショートカットに、慈しみあふれる面差し、チャコールグレーのチャイナ風のジャケットに合わせた同色のロングスカート。これは最近、巷の話題を集めている張弥曼氏だ。この82歳の女性科学者はこのようなエレガントなコーディネートでパリのユネスコ本部を訪れ、「世界優秀女性科学者賞」を受賞した。受賞理由は「画期的な取り組みにより無脊椎動物の陸地への進化に化石の証拠を提供した」だ。人民日報海外版が伝えた。
 張氏のように、多大な貢献により同賞を受賞した中国人女性科学者は、他にも5人いる。それは中国科学院院士の李方華教授(2003年)、香港科技大学の葉玉如教授(2004年)、香港大学の任咏華教授(2011年)、中国科学技術大学の謝毅教授(2015年)、中国農業科学院ハルビン獣医研究所の陳化蘭教授(2016年)だ。
 女性も男性に負けてはいない。中国経済と社会の急発展に伴い、科学技術力が近年大幅に向上し、多くの優秀な女性科学者も誕生し、世界の科学技術界で尊敬を集めている。

◆ノーベル賞を受賞した屠呦呦氏
 スウェーデン・カロリンスカ医科大学は2015年10月5日午後5時30分にストックホルムで、中国人女性科学者の屠呦呦氏と日本人科学者1人、アイルランド人科学者1人に、2015年度のノーベル生理学・医学賞を授与し、マラリア治療の研究における成果を表彰した。屠氏はこれにより初めてノーベル科学賞を受賞した中国本土の科学者、初めてノーベル生理学・医学賞を受賞した華人科学者になった。そして中国人の自然科学分野のノーベル賞受賞ゼロの記録を塗り替えた。
 屠氏は研究チームのチーム長として、エチルエーテルによってアーテミシニンを抽出した。アーテミシニンのマラリアへの治療効果を発見し、アーテミシニンのさらなる研究に力を尽くした。また屠氏はチームの代表者としてノーベル賞を受賞したが、チームのメンバーだった鐘裕蓉氏ら女性科学者の功労も無視できない。科学の歴史を専門とする饒毅氏は、アーテミシニン発見の歴史を研究した文書の中で、「鐘氏が最も早くアーテミシニンⅡ結晶を入手した。これはその後、マラリア特効薬と呼ばれるアーテミシニンになった。鐘氏は当時、画期的な抽出技術を開発し、シリコンゴムを充填物とし、アーテミシニン抽出液をゆっくりと濾過し、異物を取り除いた。これによりアーテミシニンのマラリア特効成分を抽出し、実験の成功に多大な貢献を成し遂げた」と指摘している。

◆科学技術のニューフェイス、潜在力を示す
 中国科学院院士、武漢大学教授の張俐娜氏は2012年3月27日に動画で、米サンディエゴで開かれたAnselme Payen賞でのあいさつをおこなった。このワインレッドのビロードのチャイナドレスにクリーム色のジャケットを身に着けた中国人女性科学者は、持病のため自ら授賞式に出席することは適わなかったものの、動画で登場すると会場からは大きな歓声と拍手が上がった。同賞は国際セルロース・再生可能資源材料分野の最高賞で、毎年この分野に多大な貢献を成し遂げた専門家1人にしか授与されない。張氏は世界初の超低温水溶剤の「レシピ」により、同賞を受賞した初の中国人科学者になった。
中国では近年、若手女性科学者が徐々に頭角を現し、世界の科学技術界から注目を集め、科学技術賞を受賞している。
 同済大学土木工学部の荘暁瑩准教授は2015年11月17日、ソフィア賞を受賞した。ドイツ連邦教育・研究省は、ドイツで科学研究活動に重視する各国の優秀若手科学者が、その創造的なアイデアの実現を奨励するため、同賞を隔年授与している。フンボルト財団のシュヴァルツ会長は、「荘氏は科学研究で目覚ましい活躍をしている。中国、英国、ノルウェーの学習・研究経験により、ソフィア賞の理想的な受賞者になった」と述べた。
 昨年3月23日にパリで行われた「世界優秀女性科学者賞」の授賞式では、中国科技大学の女性博士、龍冉氏(29)が「世界で最も潜在力のある女性科学者賞」を受賞した。これはユネスコなどが2015年より設立している賞で、最も将来性のある若手研究員を毎年15人選出して学術奨励金を授与し、その学術研究を資金援助している。龍氏はシンクロトロン放射源を利用し、太陽光で炭素循環を促す高効率触媒の設計を行い、二酸化炭素転化分野で優れた研究成果を手にし、多くの若手研究者の中から選出された。

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