2023年11月06日-11月10日
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デジタルスマート技術で「海の食糧庫」の建設を加速

2023年11月10日

 中国の海域は広く、食物資源の高いポテンシャルを秘めている。今年の中央1号文書は、現代海洋牧場を建設すると打ち出し、農業農村部(省)などの8部門もこのほど、中国初の深海・遠洋養殖発展推進に関する意見を発表した。複数の地域で海洋漁業発展のモデルチェンジを急ぎ、産業の最適化に取り組み、「海の食糧庫」の建設が進んでいる。経済日報が伝えた。

 福寧船舶重工が建造した「閩投霞浦1号」深海養殖プラットフォームがこのほど、福建省福安市で進水した。同プラットフォームはハイテク自動化設備を搭載し、養殖水域は3万立方メートルに達し、完成後は福建省寧徳市霞浦県西洋島海域に設置される。「閩投霞浦1号」は寧徳で今年進水する2つ目の深海養殖プラットフォームだ。福建省が現在まで建設に投資した深海・遠洋養殖プラットフォームは18に達し、養殖総水域は47万立方メートル以上と、中国全土で上位を占めている。

 世界初の10万トン級スマート漁業大型養殖作業船「国信1号」という「動く海洋牧場」が、水温の変化に基づいて投錨地を調整し、年間通しての常態化操業の新たなスタイルを切り開いた。「国信1号」は現在、1日当たり1万キロのフウセイを引き上げることができる。

 深海養殖の発展、海洋経済の強化の鍵はテクノロジーにある。

 岸から120カイリ離れた黄海海域の海面から20メートル下には、山東省の面積に相当する冷水域がある。国家級深海・遠洋グリーン養殖試験エリアである青島国家深海・遠洋グリーン養殖試験エリアはここにある。試験エリア内の世界初の全潜水型深海漁業養殖設備「深藍1号」が今年4月、計3000匹ほどのタイセイヨウサケを引き上げた。

 冷水域の大規模養殖の成功も、技術のブレイクスルーによるものだ。産学研連携を通じ、「深藍1号」が2018年、青島西海岸新区で完成し、引き渡された。19年にはその一体化・自動化改造が行われた。山東深遠海緑色養殖有限公司の湯慶凱董事長は、「夏は潜水型養殖用ケージによって、サーモンが安全に夏を越し、台風の被害も回避できる。季節の移り変わりにより、海域表層の水温が18℃以下に低下すると、養殖用ケージが表層に浮上しサーモンの養殖を行うことができる。当社は現在、次世代深藍シリーズ養殖用ケージの製造を加速化させている。新たに製造する2つの養殖用ケージの養殖水域は9万立方メートルで、深藍1号の2倍近くになる」と説明した。

 福建省深海養殖設備「閩投1号」スマート漁業システムのディスプレイには、フウセイが活動する様子がはっきりと映し出された。運営総責任者の許航氏は、「深海養殖を支えるのは力強いスマート漁業システムだ。『閩投1号』は50平方メートルのスマート漁業センターを設置し、ソナーや光学、動画など複数の探査技術を集積し、多元的にデータを伝送できる。そしてアルゴリズムの独自の研究開発により評価システムを構築し、生産及び運営を指導する」と述べた。

 海洋牧場は中国の食を豊富にするだけでなく、生態、経済、社会への牽引効果が持続的に顕著になっている。

 海洋牧場は人工魚礁の設置を基礎に、漁業資源増殖放流を手段として、科学技術イノベーションを支えに、漁業の単純な漁獲、施設養殖を中心とする生産モデルを変えた。遼寧省大連市長海県海洋発展局の任強局長は、「海洋牧場の建設により、局地的な汚染や過度な漁獲による資源の枯渇、近海養殖による病害の激化などの問題を解決できる。これは海洋漁業生産モデルの重大な変革だ」と語った。

 福建省は地理的な優位性を活かし、漁業・観光産業の深い融合を推進し、深海養殖により海洋文化観光の新業態を開発している。福州市連江県定海湾は有名な深海・遠洋養殖牧場で、現在まで8つの深海・遠洋養殖プラットフォームが設置されている。うち「閩投1号」は極めて代表的で、スマート漁業、深海養殖、生産・研究拠点、レジャー・観光の4機能を一体化しており、海洋科学教育、潜水、サーフィン、海上レジャー、海釣り、飲食、海水養殖などの活動が可能となっている。

 
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