2024年02月05日-02月09日
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無限の可能性を秘めた「低空経済」

2024年02月08日

 中国ではここ数年、低空域飛行活動による経済形態「低空経済」が新たな原動力を育成・発展させる上で重要な方向性となっている。

 広東省深圳市の深圳人材公園では、ドローンがデリバリーボックスの上まで飛んで来て、高精度測位システムにより、運んできた商品を正確にボックス上部に置き、利用者が自分で商品を取り出すサービスが行われている。

 西部地域のあるエリアでは、収穫した松茸を積んだ数台のドローンが、軽快なエンジン音とともに上空に飛び立ち、わずか15~30分で麓まで松茸を届けている。これまでは人が松茸の入ったカゴを背負って1~2時間かけて山を下りていた。

 一部の山間地では、人手による作業に代わって輸送用ドローンが各作業を担うようになった。

 低空経済とは、高度1000メートル以下の低高度(実際のニーズによっては3000メートルまで)の空域で、民間の有人航空機と無人機を輸送手段として、人や物の輸送、その他の作業など、低空域飛行活動によって、関連分野の融合発展をもたらす総合的経済業態を指す。波及する範囲が広く、産業チェーンが長く、成長性と牽引力が高いなどの特徴を備えている。

 関連機関の試算では、22年にすでに世界の低空経済の市場規模は1千億ドル(1ドル=約148円)に達しており、これからも急増傾向を保つとみられる。

 現在、低空経済は観光・遊覧、都市のセキュリティ、医療救護、緊急支援、農業・林業の植物保護、電力網の巡回検査など幅広い分野に及んでいる。こうしたことから、飛行制御システムや動力システムなどのコア技術がブレークスルーを果たし、人工知能(AI)などのデジタル技術との融合が一層進むのにともない、低空飛行の航空機がよりスマート化・グリーン化し、より安全性・経済性を備えるようになり、ひいてはより多くの応用シーンに対応するようになると予想される。

 中国では多くの地域が低空経済を「新たな競争分野」と見なしている。大まかな統計によれば、中国ではこれまでに10以上の省(自治区・直轄市)が低空経済やゼネラル・アビエーションを政府活動報告に書き入れた。海南省は最近、全国初の省内無人運転航空機テスト飛行空域マップを発表し、広州市のゼネラル・アビエーション企業は世界初の無人運転乗用航空機の型式証明を取得し、安徽省は合肥市を中心としたゼネラル・アビエーションの「1時間通勤圏」のひな形となる計画を立てたところだ。

 企業では、中国は世界最大の消費者向けドローン製造国で、大疆(DJI)は消費者向けドローン産業のリーディングカンパニーだ。複数の企業が電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発を急ピッチで進め、観光地などでテスト運用を積極的に推進している。順豊や美団をはじめとするデリバリー企業、末端の配送企業はすでに深圳市や上海市などでドローン配送航空路線を10路線以上開通した。関連の統計によれば、23年には深圳だけで新たなドローン路線が77路線開通し、累計156路線になり、貨物輸送用ドローンの飛行回数は延べ60万回を超えた。同市は25年までに、低空飛行をする航空機の発着台600カ所以上をネットワーク化して配置し、市内で220路線以上のドローン路線を開通させ、関連産業チェーンの企業を1700社以上に増やし、生産高を1000億元(1元=約21円)にすることを目指している。

 
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