辰年に中国で恐竜の種類がまた増えた。中国地質大学(北京)の邢立達副教授らは、江西省贛州(かんしゅう)市会昌県で2016年に見つかった1000個以上の化石片の整理・修復を行い、この化石がアンキロサウルス亜科の新種「英良達泰竜(Datai yingliangis)」であることを発見した。研究成果はこのほど、学術誌「Vertebrate Anatomy Morphology Palaeontology」に掲載された。人民網が伝えた。
2016年、当時大学2年生だった鈕科程さんは、インターネットで化石の手がかりを発見した。それは道路工事が行われていた会昌県の貢水河沿岸で、現地の住民が、道路の脇に散乱する割れ石の中に、白いものがあることに気づき、それを撮影した写真をネットに投稿したものだった。鈕さんは「小さい頃から化石が好きで、ずっとこの趣味を続けている。写真を見て、アンキロサウルスの化石だと判断した。この化石は粉々に割れており、最も小さい破片は指の爪ほどしかなく、全部で1000個ほどあった」と振り返った。
それから2年後、化石愛好家のコミュニティで再びこの割れた石の写真が見られるようになった。当初写真をアップした現地住民はこの割れた石を大事に保管しており、鈕さんは研究を進めるために、この住民に化石を寄贈してほしいと申し込んだ。
その後、研究者らが福建省英良石材自然歴史博物館の修理室で1400個以上の破片を整理し、それらをつなぎ合わせる作業に着手した。鈕さんは「立体的で不規則的なパズルのようだった。2カ月近くかかってようやくそれぞれの化石の位置がほぼ判明したが、その後の修復にはさらに半年以上要した。この化石は完全な骨組みではないが、幸運にも頭部の保存状態が良好で、頭骨や歯など、種の鑑定に必要な重要情報が残っていた」と説明した。
邢氏は「修復してみると、化石の標本は重なるようにして保存されている2頭の個体だった。2点の標本はいずれも成獣になっていない個体で、体長は約3.5メートルから4メートルだ」と述べた。
研究チームが付けた「英良達泰竜」という名前には、安泰になるという意味が込められている。同種の発見は、アンキロサウルス亜科の研究を補完するものとなり、アンキロサウルス亜科とアンキロサウルス亜科以外のアンキロサウルス科の分化に関する新たな証拠を提供した。これら化石が重なった状態で埋まっていたことは、アンキロサウルスの行動学の研究においても新たな追加情報となった。