このほど開かれた2024中関村フォーラム年次総会で、脳内に薄膜を埋め込まれたサルが自分の「意思」でロボットアームを操作し、イチゴを掴む様子が公開された。これは、中国の科学者が開発した「北脳2号」で、中国の高性能侵襲式ブレイン・マシン・インタフェース(BMI)技術の空白が埋められた。新華社が報じた。
BMIは脳と外部デバイスの間で情報を交換する「情報の高速道路」となる先端技術である。北京脳科学・類脳研究所の羅敏敏所長は「簡単に言えば、脳の電気信号(インパルス)の微妙な変化を捉え、脳の意図を解析し、意思によって動作をコントロールする。そのため、手を動かさなくても、ロボットなどを遠隔操作できる」と紹介した。
BMIの性能は、どれほど正確に電気信号を読み取り、高精度で変換できるかにかかっている。前者は電極、後者はアルゴリズムが重要な鍵となる。
「北脳2号」では、中国が独自開発したハイスループットのフレキシブルマイクロワイヤ電極、無数の回路を持つ高速神経インパルス収集機器、さらにフィードフォワード制御プランに基づいた生成型ニューロ解析アルゴリズムという3つのコアモジュールが高性能を実現している。
電極は一種のセンサーのようなもので、脳内に埋め込むことで脳の電気信号を読み取る。その性能は、捕捉するインパルスの数と質にかかっている。
北京芯智達神経技術の李園氏によると、「北脳2号」に採用されているフレキシブルな材料は、生体適合性が高く、細胞毒性もないため、電極ワイヤ上で大量のタッチスポットを作り出すことができ、回路数が多く、信号捕捉能力が高い。
至近距離で観察すると、この電極は小さくて薄く、伸びている電極ワイヤの直径は髪の毛の10分の1から100分の1ほどだ。ワイヤ上には大量のタッチスポットがあり、顕微鏡でなければそれをはっきりと見ることはできない。このような設計により、脳組織に与えるダメージを大幅に減らし、脳の電気信号を捉える時間を延長することができるという。
李氏は「有効な回路の数や長期にわたる安定性は、いずれも国際的な最先端水準に達している。硬質の電極とは異なり、フレキシブルマイクロワイヤ電極は、サルの脳に埋め込んで1年が経過してからも、脳の電気信号を高精度で収集することができる」と説明した。
アルゴリズムは一種の「翻訳者」のようなもので、脳の意図を正確に解析する。「北脳2号」に採用されているのは、中国が独自開発したアルゴリズムで、脳の皮質の神経活動と運動パラメーターとの間で正確なマッピングを行う。
羅氏は「BMIが目指しているのは安全性、安定性、効果的で、これは系統的なプロジェクトとなる。BMIには電極やチップ、アルゴリズム、ソフトウェア、材料などが関係しており、キーテクノロジーのさらなるブレイクスルーが待たれる」と語った。
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