2024年06月10日-06月14日
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暑気払いの薬をスマート生産する「無人工場」

2024年06月10日

 中国・重慶市の涪陵ハイテクパークでは、国薬太極生薬GAP追跡・展示プラットフォームを通じて、遠く離れた20カ所以上の生薬栽培拠点の状況を把握できる。人民網が伝えた。

 同パークの太極医薬城Aエリアでは、各栽培拠点のリアルタイム動画を見ることができ、気温や湿度、風向きなどの情報も取得できるようになっていた。

 国薬太極の于宗斌副総経理によると、同社は涪陵製薬工場を中心とする現代中医薬スマート製造センターの展開に注力し、伝統的な中医薬をインダストリアル・インターネットやコンシューマインターネットと一体化した中医薬産業ブレーンを構築している。

 一つの「ブレーン」が産業のイノベーションと発展を牽引する。国薬太極は河北省安国市の半夏(ハンゲ)栽培拠点、内モンゴル自治区ジャラントン市の蒼朮(ソウジュツ)栽培拠点など、約2万ヘクタールの生薬栽培拠点を完成させており、半夏、蒼朮、紫蘇(シソ)などの品種を大面積で栽培している。太極藿香正気内服液の主原料はここで作られる。

 太極集団の重慶涪陵製薬工場では、100個の抽出タンクが整然と並んでいた。

 担当者は「藿香正気液はこの100個のタンクから抽出される。以前、工場の作業はすべて手作業で行われており、夏になると少し働くだけで汗まみれになっていた」と紹介し、「すべての暑気払いの薬は暑さの中から生まれる。これは当時の実際の姿だ」と打ち明けた。

 同工場では近年、スマート化生産設備を導入し、温度、圧力、液位の自動収集や正確な制御を実現した。すべての作業場の抽出と濃縮は現在、ほぼ自動化制御されており、効率が大幅に上がり、製品の質もさらに安定している。担当者は「現在の生産プロセスでは、巡回に1、2人の操作担当者しか必要とせず、ほぼ無人化している」と述べた。

 抽出作業場で生産された中医薬抽出液はロボットやスマートチップ、デジタル化設備のサポート、およびデータ収集・監視制御システムの遠隔操作を受け、内服液配合や注入、殺菌、包装などの工程を経て、中国内外で販売される。

 国薬太極は2022年に、重慶市初の「国家中医薬サービス輸出拠点」に承認された。東南アジア重点市場を持続的に開拓し、欧州などのポテンシャルを持つ市場と新興市場に力を入れ、中医薬の海外進出の新たな道筋を模索し続けている。

 
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