2024年06月10日-06月14日
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月探査機「嫦娥6号」のサンプル採取で使われたツールは?

2024年06月10日

 月探査機「嫦娥6号」は北京時間2、3両日、月の裏側にある南極エイトケン盆地でのサンプル採取を完了し、サンプルを上昇モジュールの保存装置に密封保存した。人民網が伝えた。

 今回のサンプル採取では、掘削と表面サンプリングという2つの方法を採用。中国科学院金属研究所が開発したアルミニウム基複合材料ドリルパイプと軽量アルミ合金コアリングパイプが「嫦娥5号」に続いて使用された。

 掘削に用いたサンプリング装置は3層構造で、設計長さは2.5メートル。最も外側の層は回転しながら掘進できるドリルパイプで、その隣にコアリングパイプがある。コアリングパイプの外側はコアリングバッグで覆われており、ドリルが下に向かい掘進する際に、コアリングバッグもそれと共に下に動く。掘削によって得た月の土壌はバッグの中に押し込まれる。この過程は靴下を履く動きに少し似ており、サンプリング後、コアリングバッグは巻き付く形で土壌を掘削一時密封装置に入れる。

 月の裏側での土壌採取は、設備全体の重量が軽いほど良い。外側のドリルパイプは炭化ケイ素粒子強化アルミニウム基複合材料で製造されたもので、月掘削サンプリング機構の重要部品だ。関連チームはアルミニウム基複合材料の大型ビレットとマルチパス変形加工法により、高強靱性アルミニウム基複合材料押出棒、鍛造品、厚肉パイプを開発し、材料の性能と安定性の大幅な向上を実現した。

 土壌採取用のコアリングパイプは、2種の軽量異質アルミ合金で製造。月の裏側で土壌を採取する極限環境に対応するため、チームは数々の技術的難題を解決し、軽量化構造を持つアウターシースとコアパイプを開発し、月の裏側での自動サンプリングに力強い保証を提供した。

金属研究所(中国科学院傘下の研究所)
 
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