2024年06月10日-06月14日
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中国科学院、「消費側炭素排出研究報告(2024)」を発表

2024年06月11日

 中国科学院はこのほど「消費側炭素排出研究報告(2024)」を発表した。報告によると、1990~2019年の間、中国の消費側の炭素排出量は生産側からの炭素排出量を下回っており、その差は90年の7億トンから19年には18億トンに拡大している。また、中国の輸出貿易におけるエンボディドカーボン強度が83.3%削減され、世界にグリーンで低炭素な商品を提供している。中国青年報が伝えた。

 同院上海高等研究院副院長の魏偉研究員は「生産側の炭素会計システムは生産活動の属地を境界としたもので、経済活動において国際貿易が炭素排出に与える積極的な影響を無視している」と指摘。「消費側の炭素会計は消費行動によって生じる炭素排出に焦点を当て、物品・サービスの消費で生じる間接的な排出も含んでいる。さまざまな地域や業界の温室効果ガス排出量を全面的に計算し、経済活動におけるカーボンフットプリントを明らかにし、さまざまな消費主体による炭素排出の動的状況を評価することができる。これにより、生産者と消費者の炭素排出の責任の所在がより明確になり、公平性と正義をよりよく実践できる」と述べた。

 同報告は、中国の典型的な業界における消費側の炭素排出を例に挙げた。21年に中国が鉄鋼原材料製品の貿易によって他国の代わりに負担した二酸化炭素純排出量は1億トン以上で、太陽光発電製品の貿易によって他国の代わりに負担した二酸化炭素純排出量は2億5000万トンに達している。

 魏氏は「世界最大の太陽光発電製品供給国である中国の太陽光発電製品の海外進出は、エネルギー不足を補いエネルギーの安定性を高め、炭素排出を削減する重要な役割を担い、世界の排出削減のために積極的な役割を発揮している」と述べた。

 
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