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世界でパンダフィーバーが再び到来

2024年06月12日

 ジャイアントパンダが最近、世界中で話題となっている。北米ではアニメーション映画「功夫熊猫(カンフー・パンダ4)」が2週連続で興行収入ランキングトップに立ち、韓国では中国に帰国するパンダ「福宝(フーバオ)」を大勢のパンダファンが雨の中見送り、スペインのマドリード動物園ではパンダの「金喜(ジンシ―)」と「茱萸(ジューユー)」が初の一般公開を迎えた。さらに、「宝力(バオリー)」と「青宝(チンバオ)」は今年末、ジャイアントパンダ保護共同研究の一環として、米国の首都ワシントンにあるスミソニアン国立動物園で飼育されることになっており、映画館や動物園でかわいいパンダが世界中の人々を魅了し、人気を集めている。新華社が伝えた。

 パンダは中国の国宝とされているが、世界中で愛されており、各地でブームを巻き起こしている。1972年に米国のニクソン大統領が訪中した際、中国はパンダの「玲玲(リンリン)」と「興興(シンシン)」を米国に贈呈することを約束した。スミソニアン国立動物園では雨が降る中、8000人以上が2頭のパンダを出迎え、公開初月の来園者数が100万人を超えた。日本の上野動物園でも1972年にパンダの「康康(カンカン)」と「蘭蘭(ランラン)」が来園してフィーバーとなり、同年の来園者数が、前年比5倍以上の延べ500万人を超えた。メキシコのチャプルテペック動物園で生まれた「托維(トーウィー)」は、中国以外の人工飼育で誕生し、元気に育った初めてのパンダで、「チャプルテペックのパンダの赤ちゃん」という曲がリリースされると、世界中でレコードが数百万枚売れるなど、海外でもパンダは多くの人に愛され、たくさんのエピソードを生んできた。

「宝力」と「青宝」も、「玲玲」と「興興」が当時暮らしていたスミソニアン国立動物園で飼育されることになっている。同動物園は準備を進めており、パンダ舎をリニューアルし、園内には「パンダが来る」という標識がたくさん設置され、グッズショップにはパンダをテーマにした商品が所狭しと並べられている。

 中国は長年、パンダ保護をめぐる国際協力を積極的に展開している。海外におけるパンダの誕生は、中国と海外の研究者との交流・協力の成果だ。1990年代に一時は絶滅の危機に瀕していた野生パンダの個体数は現在、約1900頭にまで回復し、世界で飼育されているパンダの数は728頭に達している。こうした成果が表れているのは、中国がパンダの保護、繁殖、病気予防・治療、生態環境建設、世界との交流、協力といった面に心血を注いでいるからにほかならない。

 パンダの名前にも、世界各国の人々の祝福する思いや期待などが込められている。例えば、「托維」は、メキシコのある少数民族の言語で「子供」を意味する言葉から付けられている。欧州において人工飼育の環境下で生まれ、元気に育った初めてのパンダ「竹琳(ジューリン)」には、「竹林の中の宝物」という意味が込められている。2006年の春晩(春節を祝う中国の国民的年越し番組)では、中国大陸部や台湾地区の住民、海外の華人・華僑の投票を経て、台湾地区に贈呈されたパンダが「団団(トゥアントゥアン)」と「圓圓(ユエンユエン)」と命名された。

 国境を越えて老若男女問わずに愛されるパンダに対し、各国の人々が共通の思いや感情を抱いている。パンダの重大疾患の予防・治療に焦点を当て、生息地や野外個体群保護強化などをテーマにした新たなパンダ国際保護協力が現在、世界で展開されている。パンダがこうした善意や友情を世界の人々に伝え、幸せを届けることだろう。

 
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