2024年06月10日-06月14日
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月面環境を再現する宇宙環境シミュレーター

2024年06月12日

 中国のハルビン工業大学には、「宇宙環境地上シミュレーター」と呼ばれる「地上の宇宙ステーション」がある。新華社が伝えた。

 宇宙環境地上シミュレーター常務副総指揮で、同大学宇宙環境・物質科学研究院院長の李立毅氏は、「地上の宇宙ステーションとはその名の通り、地球上に実際の宇宙環境に似たビッグサイエンス装置を建設することだ。当大学が中国航天科技集団と共同で作った設備は、今年2月末に検収に合格し、ハルビンの新たなランドマークになった」と説明した。

 月面環境をシミュレーションするため、「月の塵モジュール」の本体は真空モジュールになっている。壁の左側で電子加速器に接続され、月の塵を負に帯電させる。右側のX線源、前方と後方の重水素ランプは紫外線源として、月の塵を正に帯電させる役割を担う。モジュールの頂部は、月面で塵が降る現象を再現する月の塵散布機構が設置されている。

 同研究院宇宙材料・環境工学実験室の李麗芳室長は「月面は大きな温度差、高真空、多重照射、帯電した月の塵などの極限環境にあり、紫外線や宇宙放射線、電子線照射などの複合効果によって、月の塵は正もしくは負の電気を帯びる」と述べた。

 さらに「より遠く飛び、より長く滞在し、より詳細に調べようとすれば、宇宙環境の物質に対する作用メカニズムを解明する必要がある。チームは開発中、多源照射高圧充電設備インテグレーション、微小マイクロメートルレベルの粉塵均等散布など複数の重要技術を開発し、実際の月面環境にさらに近づけた」と紹介。「月でしかできない多くの実験が、今後は地上でできるようになる。宇宙実験はそれほど難しくなくなり、我々と深宇宙探査の距離がさらに縮まる」と語った。

ハルビン工業大学
 
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