2024年07月08日-07月12日
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中国で希少・絶滅危惧野生動物の個体群が増加

2024年07月11日

 中国国家林業・草原局がこのほど開いた野生動物保護・国際協力成果発表会によると、中国の希少・絶滅危惧野生動物は個体数が全体的に回復・増加し、生息環境が持続的に最適化されており、ジャイアントパンダなど100種以上の希少・絶滅危惧野生動物が安定的に増加している。人民日報が伝えた。

 同局野生動植物保護司の王維勝司長は「中国は国家公園を中心とした自然保護地体系の推進に注力しており、90%の陸地生態系タイプと74%の重点野生動物個体群を効果的に保護し、絶滅危惧野生動物48種の救助・保護プロジェクトを企画・実施した」と説明した。

 中国科学院の魏輔文院士(アカデミー会員)は「野生動物の種類が多く、生物学的な特性がそれぞれ異なっているため、個体群数調査はさらに技術的な困難に直面している。中国はこの問題に対し、衛星やドローン、分子生物学、人工知能などの新技術を積極的に開発し、それを普及させることで、モニタリング技術基準を統一・規範化し、陸生野生動物のモニタリング体制を構築している。野生動物とその生息地の全面的なモニタリングをできるだけ早く行いたい」と述べた。

 ジャイアントパンダは中国の固有種で、近年、中国国内ではジャイアントパンダ国家公園を中心としたジャイアントパンダ自然保護地体系を構築している。ジャイアントパンダの野生個体数は1980年代の1100頭余りから現在は約1900頭に増えている。

 北京師範大学生命科学学院の劉定震教授は「ジャイアントパンダなどの野生動物野外個体群の保護強化は、生態系におけるその役割を維持することが鍵となる。だが、そのために科学研究と社会的価値をおろそかにしてはならない。ジャイアントパンダなどの野生動物の人工繁殖と野外個体群保護は種の保護において相互補完的なもので、不可欠な役割を果たしている」と述べた。

 魏氏は「ジャイアントパンダの人工繁殖技術は重要なブレイクスルーを果たし、科学的なペアリング繁殖や疾病予防・治療などの技術体制を構築した。ジャイアントパンダ飼育個体群の遺伝的多様性は野生のジャイアントパンダと同等の水準を維持し、国際協力や科学教育、野生復帰などに強力な保証を提供している」と述べた。

 シフゾウは長江や黄河流域の平原や沼沢地に広く分布していたが、気候変動などの原因により20世紀初頭に絶滅した。1985年、中国と英国が協力してシフゾウ再導入プロジェクトを開始。複数回に分けて77頭のシフゾウを導入した。人工繁殖や野生復帰などの措置により、現在まで分布エリア6カ所で野外個体群を再構築し、総数が6000頭余りに達した。

 王氏は「野生動物の国際協力・交流は、自然保護科学教育、科学研究、野外保護の強化に対して非常に重要な意義を持つ」と述べた。

中国ジャイアントパンダ保護研究センター臥竜神樹坪基地で、竹を食べるジャイアントパンダの「小奇跡(シャオチージー)」。(2023年12月27日撮影)

 
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