中国で今年の春節(旧正月)に9万9000元(1元=約21円)で売り出された宇樹(Unitree)社の人型ロボット「UnitreeG1」があっという間に売り切れた。ECプラットフォームでは他にも各種の「AIバイオニック・パートナーロボット」が好調な売れ行きを示している。このように、消費者にとってスマートロボットはこれまでの「目新しいおもちゃ」から「実用品」へと変わりつつある。新華網が伝えた。
宇樹のロボット犬「UnitreeGo2」を購入した消費者は商品コメント欄に、「このロボットは宅配便の受け取りができるだけでなく、高齢の家族に薬を飲むよう知らせることもできる」と書き込んだ。同製品は今や中国の多くの家庭にとって「手を伸ばせば届くスマートアシスタント」になりつつある。
2024年の第1回中国人型ロボット産業大会で発表された「人型ロボット産業研究報告」によると、2025年には中国の人型ロボット市場規模が約53億元になり、2029年はさらに750億元に達し、世界全体の32.7%を占めると予想されている。
AIが「デジタルブレーン」の枠を越え、「物理的な身体」を持ち始めると、スマートロボットが介護支援や付き添い、家事代行など多様な役割を担うようになり、そこから1兆元規模の市場が動き出すようになる。
重慶市渝北区に住む張さん(70)は、数年前に脳卒中を起こし、下肢の制御能力が低下。日常的な歩行にも支障が出た。そんな張さんのために、娘が先日、ウェアラブル外骨格ロボットを購入し、それを使用してリハビリ訓練を行った結果、張さんの身体の状態が大きく改善されたという。
重慶にある医療テクノロジー企業のマーケティング責任者である葛承軍さんは「ここ数年、ウェアラブル外骨格ロボットが多くの人に受け入れられ、高齢者のほか、運動機能障害のある人々のリハビリ支援に活用されている」と述べた。
このほか、感情的ニーズが細分化されたロボット市場が生み出されている。中国のSNSでは「ロボット犬の散歩」のトピックが1億回以上再生され、付き添い機能を備えて「永遠に離れることのない」AIペットが多くの若者の孤独を癒やす「サイバーパートナー」になっている。最近ネットで人気の「哮天」という名前のロボット犬は、走ったり、跳ねたりするだけでなく、尻尾を振って愛想を振りまき、人と交流することも可能だという。
泰山の清掃から家庭でのパートナー、介護アシスタントからスマートペットまで、スマートロボットは今、静かに、しかし着実に中国の消費市場に浸透している。
(画像提供:人民網)