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スマホからSIMカードがなくなる? 中国でeSIM商用試験スタート

2025年10月21日

 中国電信(チャイナテレコム)、中国移動(チャイナモバイル)、中国聯通(チャイナユニコム)の中国三大通信事業者がこのほど、工業・情報化部(省)からeSIM(内蔵型SIM)スマートフォンの商用試験の認可を正式に取得し、国内でeSIM商用サービスを開始した。新華社が伝えた。

 eSIMの登場により、携帯電話はSIMカード不要の時代へ移行しつつある。

 eSIMとは、従来の物理的なSIMカードの機能をスマートフォンに内蔵されたチップに統合する技術を指す。ユーザーはeSIM機能を備えたスマートフォンを購入すれば、SIMカードを挿入しなくても、電話番号情報をネットワーク経由でダウンロードして端末内のeSIMチップに書き込むことができる。eSIM対応スマートフォンの機能は従来型と同じで、音声通話、データ通信、SMSの送受信などの通信サービスが利用できる。

 eSIMスマートフォンによって、日常の通信環境にはどのような変化が起きるのだろうか。

 まずは端末の進化である。技術の発展に伴い、SIMカードのサイズは小型化を続けてきたが、eSIM技術はさらにカードスロットを不要にし、スマートフォンなどの端末設計をより薄型・軽量化できる。また、eSIMチップはメインボードに直接実装されるため、防塵・防水・耐衝撃性能も高まる。

 次に、利便性が向上する。今後は、物理的なカードがなくても新規契約や番号変更などの手続きを行えるようになり、契約手続きが大幅に簡素化される。SIMカード紛失の心配もなくなり、カードピンを探す手間も不要になる。海外出張や旅行で頻繁にSIMカードを交換する必要もなくなる。

 さらに、eSIMの普及は消費者に利便性をもたらすだけでなく、関連産業全体の発展を促す契機にもなる。eSIMの商用試験開始は、産業界におけるeSIM関連投資の拡大を後押しし、スマートフォン、タブレット、ウェアラブル端末、車載通信機器など、eSIM対応製品の更新や買い替え需要を喚起する見込みだ。

 遠隔でのプロファイル書き込みや柔軟な利用といった特性を生かし、今後、eSIM技術は車載通信、スマートシティ、コンシューマーエレクトロニクスなど幅広い分野へと応用が進む見通しだ。これにより、各産業のデジタル化・スマート化を後押しし、モノのインターネット(IoT)の発展にも新たな可能性を開くとみられる。

(画像提供:人民網)

 
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