2015年中央一号文件
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一、農業の近代化推進をめぐる農業発展モデルの転換の加速

 中国が強くなるためには、農業が強くなければならない。強い農業づくりのためには、主に生産量のみを追求し環境・資源に手を加えずを浪費する粗放的経営から、量と質の双方を追求し競争力を高め、農業技術革新、持続的発展を重視する集約的経営へと、一刻も早く転換しなくてはならない。すなわち、生産効率、農作物の安全性を向上させ、資源を節約し、環境に配慮した農業発展路線を進まなくてはならないのである。 

1.食糧生産能力を絶えず向上させる。食糧の省長責任制を堅持する。食糧主産省や県の政策を強化し、食糧主要生産県の食糧生産を実用的で発展性のあるものにする。食糧の主要消費地区は自身の食糧生産に確固たる責任を持つ。永久基本農地の画定事業を全面的に展開する。全国高水準整備農地建設計画を一斉に実施する。耕地の質の保護・向上活動を実施する。占有耕地から剥離した耕作土層の再利用を全面的に推進する。食糧生産機能区を建設し、農地の食糧生産能力を具体的プロジェクトに反映させる。融資メカニズムを刷新し投資を増やし、大規模な引水工事、重点的な水源工事、河川・湖沼の治水工事に注力する。節水や供水対策等重大な水利工事による土地の補償、耕地整備は、鉄道等国家の重大インフラプロジェクトと同レベルの政策として実施する。大型・中型灌漑区は節水設備改良と並行して近代的灌漑区の建設、小型灌漑区の水利インフラ建設を促進する。食糧生産量増加のための科学技術プロジェクトとアルカリ土壌改良の科学技術実証を行う。高い食糧生産量の維持、環境に配慮した食糧生産方式の実現という課題に重点的に取り組む。植物保護建設工事を実施し、農作物病害虫の専門的防止措置を講じる。


2.農業構造調整を深く推し進める。主要農産物の自給率を論理的に検証し、農業産業発展の優先順位を合理的に定める。油類、糖類、天然ゴム生産能力向上計画を始動させる。畜産業の発展を加速させ、コーンサイレージの生産やムラサキウマゴヤシ等の牧草栽培、および育種を統合した形で試験的に進め、食糧、商品作物、飼料作物3つの協調発展を促進する。地域ごとの農業資源の特色に応じ、それぞれに適した農業の育成に注力する。農業総合開発を合理的に調整する。食糧主産地区では畜産業や食糧加工業の発展に力を入れ、農作物の一次加工補助政策を継続的に実施し、農作物の精細な加工を発展させる。園芸作物の標準農園の建設を進め、品質向上と高効率化を図る。養豚、酪農、肉牛、肉羊の標準化大規模飼養場(小区)の建設を推進し、畜産業における良種育成プランを実施、大規模化、集約化、標準化を進め、畜産業の競争力を高める。動物疫病防護政策を整備する。水産物の養殖場の環境健全化、生簀の改良、遠洋漁業管理の改善、漁港等漁業インフラ建設を推進する。


3.農作物の品質と食品の安全性を向上させる。自治体の農作物の品質や食品の安全性の監督管理能力を強化する。農業投入品管理を厳格化し、農業生産技術の標準化に力を入れる。重要な農作物の生産基地、卸売市場の品質安全検査測定費用補助政策を実施する。農作物品質と食品安全情報の全行程を追跡可能な共有型のプラットフォームを構築する。農産物品質安全県、食品安全都市の建設活動を展開する。特色のある優れた新品種の農作物開発を促進し、有名ブランドを構築する。食品安全監督管理総合協調制度を整備し、地方政府の法的責任を強化する。外来有害生物による生態系等に係る被害の防止に注力し、農林生産の安全を促進する。生産経営者の責任を明確化し、各種食品安全に違反する犯罪行為を厳格に取り締まり、民衆の安全と満足度を向上させる。


4.農業科学技術革新の主導的役割を強化する。農業科学技術革新奨励システムを構築する。科学技術研究所や大学の科学技術者と企業との人材交流・兼職制度を整備し、科学技術研究の応用、処理のほか、科学技術者の持株奨励改革を試験的に行い、収益管理等科学技術者の創業を支援する。農業科学技術計画と科学技術資源協調システムの適正化、統合化に取り組み、国家の重大な科学研究インフラと大型科学研究機器が市場に投入される仕組みを構築する。企業の農業科学技術開発を支援し、企業を技術革新と応用の主体とする。農業科学技術革新を進め、バイオ育種、スマート農業、農業機械装備、エコフレンドリーファーミング等の分野でブレークスルーを実現する。農業科学技術協同革新連盟を設立し、国家農業科学技術パークの協力のもと、農業科学技術開発への融資、技術情報やブランドサービスを提供するプラットフォームを構築する。農業科学技術成果交易センターの設立を模索す。科研院所、大学及びその傘下の新農村発展研究院、職業訓練校、科学技術特派員チームによる科学研究成果の移転という役割を十分に発揮する。種子産業の科学研究成果権益分配に関する改革モデルを積極的に推進し、成果共有制度を整備する。育種プロジェクトを継続し、海南、甘粛、四川の三大国家レベル育種基地の建設を進める。農業遺伝子組み換えバイオ技術研究と安全管理、科学知識の普及に注力する。農業機械、化学肥料、農薬企業の技術革新を支援する。


5.農産物流通システムの革新を進める。全国の農産物流通システムの転換と改善を加速させ、設備建設及び付随サービスを強化し取引制度を整える。全国的な農産物流通に関する中核ネットワークを整備し、重要農作物の貯蔵、物流設備の建設を進める。一千億斤(500億kg)の食糧を貯蔵する新たな貯蔵施設の建設を加速させ、中央と地方の職責分担が明確な食糧貯蔵の仕組みの早期形成を目指し食糧安全保障を強化する。農家の科学的食糧貯蔵への取り組みを継続する。農作物産地の市場建設を強化し、地域をまたぐ低温流通システムの早期構築を目指し、公益的農産物卸売市場試験地の建設を継続して進める。合作社(協同組合)とスーパーマーケット、学校、企業、地域の紐帯きを強化する。農作物販売での費用不正請求問題を解決する。農産物先物取引を発展させ、新品種を開発する。電力、物流、貿易、金融等の企業を農業電子ビジネスプラットフォーム構築に参入させる。電子ビジネスを農村総合改革モデルに取り入れる。


6.農業生態系の管理を強化する。農業環境における突出した問題を解決する全体計画と持続可能な農業の発展計画を立案する。農業の非点源汚染の防止に力を入れ、「測土配方施肥(土壌診断に基づく施肥)」を徹底し、生物有機肥料、低毒・低残留の農薬の普及を図り、植物の茎や家畜の糞便の資源化利用、及び農業用プラスチックフィルムのリサイクルモデル区域を制定し規定に従い財政・税務政策を適用する。家畜飼育の環境影響評価制度を実施し、農業循環型経済の発展を大きく推進する。草原生態保護補助・奨励政策を継続して実施し、西北干ばつ地域の農牧業の持続的発展、農業と牧畜の交錯地域における既開墾草原の整備、東北黒土地帯の保護モデルを実施する。水生生物資源の増殖保護を強化する。建設プロジェクトの水資源論証制度、国家水資源管理制度を打ち立てる。節水技術を普及させ、大規模灌漑区の高効率節水灌漑事業を全面的に実施する。水質汚染の防止と水生態系統保護を強化する。新たな休耕地再植林プロジェクトを実施し、重金属汚染からの耕地修復や地下水の過剰揚水地の処理を行い、試験的に休耕田を湿地化する範囲を拡大し、重要な水源地の小流域の美化等、水土保持重点工事を推進する。重大森林生態工事建設を推進し、営・造林プロジェクト実施を強化し、林産業と特色ある経済林を発展させる。京津冀(北京・天津・河北)、シルクロード経済ベルト、長江経済ベルトの生態保護・修復を推進する。実態を把握し綿密な計画を立て、投資を増強し、全国の天然林を保護する。天然林資源保護事業、森林生態効果補償事業の補償基準を引き上げる。商業目的の天然林伐採禁止試験地を拡大する。湿地の生態保護補償、湿地保護奨励試験地、砂漠化した土地の閉鎖保護区の補助政策を実施する。退牧還草(牧草地を草原に戻す)、放牧地の防災・減災、南方草地の開発利用等のプロジェクトの実施を急ぐ。農業生態環境保護責任制を整備、実施し、監督管理部門の責任を明確にし、法規に基づき各種の生態環境破壊行為を厳重に取り締まる。


7.国外と国内という二つの市場、二つの資源の運用力を高める。農作物の輸出入コントロールの強化により、有益な輸出を積極的に支援し、輸入の規模、タイミングを把握する。食糧、綿花、砂糖等の重要農作物の輸出入と関税割当額の管理を改善し、綿花のスライド関税政策を着実に実施する。農作物密輸行為を厳重に取り締まる。辺民互市(国境地域住民の対外通商)貿易政策を整備する。農作物貿易を強みとするため、国際的競争力を有する農業企業集団の育成を急ぐ。農業対外協力部局連絡会議制度を整備し、農業対外協力計画の制定を急ぐ。農業対外協力方式を刷新し、農作物加工、貯蔵・運輸、貿易等における提携を重点的に強化し、農業開発における海外との提携を支援、農業科学技術モデルパークの建設を進め、技術訓練、科学研究成果モデル、ブランド普及等のサービスを展開する。農業対外協力への投資、財政・税務、金融、保険、貿易、通関、検査検疫等の政策を改善し、海外で農業に従事するために必要な農業設備と農業投入品を国外へ持ち出すための援助政策を着実に実施する。各種商工会議所は、情報サービス、法律諮問、紛争仲裁等、それぞれの役割を果たすよう努める。