分野別第十二次五ヵ年計画
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発生・生殖研究国家重大科学研究計画『12・5』特定計画

2012年5月 科学技術部

概要

 「発生・生殖研究国家重大科学研究計画『12・5』特定計画」では、胚と器官の発生、生殖発生と生殖調節、発生と生殖関連重大疾患の基礎研究と、発生・生殖研究システムのプラットフォーム整備という4本柱を立て、それぞれ詳細な研究目標が設定されている。

 先天異常と不妊症の高発症国である中国にとって、これらの研究が重大成人病の予防や公衆衛生戦略上、非常に重要だとしている。「複数の国家級イノベーションチームを育成し、発生と生殖研究に従事する優秀な学術リーダーと研究の中堅人材を300人に増やす」といった人材吸引・育成目標も盛り込まれている。


発生・生殖研究国家重大科学研究計画「12・5」特定計画

一、情勢と需要

 発生・生殖研究およびその応用は生命科学や生物医学など多くの分野にまたがり、その発展は生命科学の多くの問題の解決と多くの学科の発展を促進するのみならず、遺伝子療法、細胞療法、組織・器官移植、新薬開発などの分野にも重要な影響を及ぼす。生殖と発生過程における各種の細胞、組織と器官形成の調節機構を徹底的に探求することは、各種の生殖と発生の過程を根本的に理解し、ヒトの生殖障害と胎児発生不全の発生原因を認識するのにも役立つ。

 わが国は世界的に先天異常と不妊症の高発症国の一つである。人工授精、体外受精などの生殖補助技術は臨床応用で長足の進歩を遂げてきたが、その潜在リスクはますます人間社会の注目の焦点となり、そのことで生殖補助技術の全面的安全性評価およびより先進的な低侵襲治療技術の開発が将来の生殖補助技術開発の重要な方向となっている。同時にますます多くの研究が、ヒトの重大疾病の発症が発生異常に関係することを明らかにしている。よって、不妊症、先天異常および発生に関係する重大成人病の予防とわが国の公衆衛生戦略の実現は、発生と生殖に関する基礎研究をさらに深化し、個体の配偶子形成、受精、胚の着床と発生、組織・器官の発生と形成、個体老化などの過程の生物学法則をより解明することに依存している。

 「11・5」期間中、発生・生殖重大科学研究計画は、組織・器官の発生、胚操作の安全性、生殖調節などの領域で一連の重要な研究成果を挙げた。発生生物学の分野では、モデル動物シノラブディスエレガンスを対象に、新しいアポトーシス細胞クリアランス機構を解明し、そしてアポトーシス細胞クリアランス過程における食作用受容体の制御機構を解明した。生殖生物学分野では、生殖補助技術の中で胚操作によって次世代マウスに神経変性疾患を引き起こすリスクの増加を発見し、既存の生検法に一定の潜在リスクがあることを明らかにした。自発的突然変異の遺伝子を持つモデルマウスを利用して、卵胞顆粒層細胞の中のC-タイプのナトリウム利尿ペプチドおよびその受容体が卵母細胞の減数分裂停止維持の因子であることを検証した。Cell、Nature、Scienceなど世界的に有名なジャーナルで一連の質の高い論文を発表している。各種の先進的なツール、手段およびモデル動物の導入によって、わが国の発生・生殖研究を段階的に国際トップレベルに押し上げており、次なるオリジナルイノベーション成果の創出と生殖補助技術の改善のために強固な基礎を固めた。既存の初歩的配置を踏まえて、わが国は「12・5」期間に、発生と生殖の基礎研究に資するモデル動物プラットフォームと研究システムを重点的に強化する必要がある。とりわけ中国の特色ある大型動物研究体系を重点的に配置することが急務である。同時に、基礎研究と臨床研究の人材を結合させ、発生と生殖に関連する重大疾患発生機序の研究を行わなければならない。このほか、胚発生と生殖調節に関する研究において、さらに重大な目標をめぐって、メカニズムの研究を深く実施しなければならない。

二、全体構想と発展目標

(一)全体構想

 発生と生殖を本線とし、基礎的で先端的な重要科学問題への回答に向かって、多学科から生み出された新技術、新方法および新モデルを統合し、胚と器官の発生、生殖発生と生殖調節、発生と生殖関連重大疾患の基礎研究と発生・生殖研究システムプラットフォームという3つの研究領域と一つのシステムプラットフォームに分けて計画を立てて、胚発生と先天異常、生育調節、器官の発生と調節、生殖と発生関連重大疾患の発症機序などについて重点的に研究し、先天異常の減少、公衆衛生水準の向上、および生殖技術、再生医療と組織工学技術の研究開発と産業化の加速のために重要な理論とコア技術からサポートを提供する。

(二)発展目標

 発生・生殖重大科学研究計画の実施を通じて、大量の優秀な人材を吸引・育成し、複数の国家級イノベーションチームを育成し、発生と生殖研究に従事する優秀な学術リーダーと研究の中堅人材を300人に増やす。発生と生殖研究に用いられるブタ、サルなど世界先進レベルの大型動物モデルと疾患モデルを作成する。精子の発生・成熟、減数分裂のメカニズム、胚と器官の発生、生殖補助技術などの領域で重大なブレークスルーを取得する。発生と生殖に関する基礎研究と臨床研究を深く結合させることによって、若干の発生と生殖の重大疾患の発症機序を詳しく解明し、先天異常に対する発生源からの介入・予防、不妊症診断治療の新しい取り組みと方法をさらに開発し、生殖補助技術の安全性を高め、新生児の質の向上と公衆衛生の確保に大きく貢献をする。

三、主要任務

 わが国現在の公衆衛生の重大需要と「国家中長期科学・技術発展計画要綱(2006-2020年)」の関係内容に基づき、発生・生殖分野で抱えている課題とリプロダクティブヘルス基礎研究の重点と結び付けて、「12・5」期間中、発生・生殖研究国家重大科学研究計画は「胚と器官の発生」、「生殖発生と生殖調節」、「発生と生殖関連重大疾患の基礎研究」、「発生・生殖研究システムプラットフォーム」という4領域に重点を置く。

(一)胚と器官の発生

 胚発生と器官形成の発生・進化法則。比較発生生物学、進化発生生物学の視点から、ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、エピジェネティクスなど大量の生物情報資源を利用して、発生過程の特徴と法則を探求する。進化発生の研究に用いられる新しい計算生物学技術、新方法を開発する。進化発生過程を研究するための数学モデルと実験検証システムを構築する。

 初期胚発生とスキーマ形成の分子機構およびその制御ネットワーク。母体要因の胚発生に対する制御に関する研究、初期胚発生のエピジェネティック制御に関する研究、胚葉の形成と分化の分子機構研究、背腹、前後軸線の形成と分化に関する研究、左右不対称性の形成と器官の非対称発生に関する研究、胚細胞の極性と指向性移動に関する研究、形態素の形成とその制御機構に関する研究、初期胚細胞運動を駆動するエネルギー源とその制御機構に関する研究、発生に関係する重要シグナル伝達経路の調節研究など。

 胎生期と出生後の神経系の発生と神経可塑性。神経外胚葉の誘導・分化の分子制御ネットワークに関する研究、神経堤細胞の移動・分化に対する制御に関する研究、神経軸索と樹状突起の成長と指向性の内・外因研究、神経回路網の形成と機能維持に関する研究、出生後の神経可塑性に関する研究、神経回路の修飾と再建に関する研究、幼年期と青少年の心理発達過程と生物学基礎研究。

 中胚葉組織・器官の胎生期の発生法則と出生後の発生。中胚葉組織・器官前駆細胞の運命決定に関する研究、器官原基形成と形態形成に関する研究、関係組織・器官の発生における上皮細胞と間質細胞の転換制御に関する研究、関係組織・器官の発生と老化における組織幹細胞の作用研究、関係組織・器官内の細胞分化制御に関する研究、出生後血液細胞の形成・分化機構に関する研究、出生後血管の形成・再生と血管内皮細胞移動のメカニズムに関する研究、胎生期と出生後の免疫系の発生と成熟、免疫細胞の発生と制御機構に関する研究。

 内胚葉器官発生のコントロール。胎児腸前後軸線の分化機構研究、内胚葉器官前駆細胞の移動制御研究、内胚葉器官の形態形成過程と制御研究、内胚葉器官内の細胞分化、細胞更新および機能活動の分子制御研究、内胚葉由来器官と組織の出生後に外部環境から影響を受けた発生的変化と修復に関する研究。

 老化とその制御に関する発生生物学機序および制御手段。外胚葉由来組織と器官の老化機構研究、中胚葉由来組織と器官の老化機構研究、内胚葉由来組織と器官の老化機構研究、老化過程における幹細胞の制御作用と機構研究、老化過程の生理と代謝過程に関する研究、正常老化と異常老化の区別研究、老化の遺伝学的分析研究、老化機構と制御方法研究、寿命に影響を与える遺伝子と環境因子研究。

 組織・器官の再生・修復機序と組織工学。標識技術を用いたリアルタイム動態観察、特定組織・器官の再生過程の描写、細胞源および組織幹細胞の再生と修復過程における特定器官再生の作用研究、再生中における細胞の脱分化と再分化の制御メカニズム研究、組織・器官の再生におけるサイズ制御メカニズム研究、組織・器官の体外再生後修復のモデリング研究。

 発生の代謝制御。メタボロミクスの手法を使って、筋肉・脂肪の発生決定に関する制御メカニズムを研究し、発生制御に参与する重要な代謝中間体を発掘・同定する。代謝の動的変化、攪乱と発生制御との関係を研究する。ミトコンドリアの生殖・発生過程での動的変化およびその発生過程への影響を研究する。細胞アポトーシスの生殖発生をコントロールする研究、アポトーシス細胞食作用の分子機構およびその発生に対する制御作用の研究。

 エピジェネティックシグナルの世代間伝達および次世代の発生、疾患感受性への影響機構。エピジェネティックシグナルが世代間伝達できるか否か、と伝達方法を研究し、「伝達可能者の生殖細胞発生回避と受精後ゲノム範囲内のエピジェネティックシグナル大規模洗浄のメカニズムを検討し、エピジェネティックシグナル世代間伝達の次世代の発生および疾患感受性に対する影響を研究する。

 異常な遺伝因子および環境因子の組織・器官発生への影響、さらにそれに関係する重大疾患機構。組織と器官の発生に関係する重大疾患の遺伝子を発見する。組織と器官の発生に関係する重大疾患の環境因子を同定する。異常な遺伝因子と不利な環境因子の組織と器官の発生過程へ重大な影響を与えるメカニズムを検討する。異常な遺伝因子と不利な環境因子の相互作用による疾患発生への影響を研究する。炎症反応と炎症因子の胚発生と関連疾病への影響を解明する。

 器官構造と動的発生の分子画像デジタルアーカイブ。発生と生殖生物学研究に用いる現代イメージングプラットフォームを構築する。生物、物理、化学および情報科学などの多学科を横断・統合した手法を採用し、異なる種の複数の代表的器官を選択して、細胞とサブ細胞レベルでその構造と発生について動的画像分析を行い、完全で高解像度の多次元(空間、時間および単一分子次元を含む)デジタル画像を作成し、さらに複数の胚細胞もしくは細胞小器官を標識・追跡する新技術を研究開発する。

 植物胚と胚乳発生の調節。接合体極性の作成と胚の形態形成に関わる分子遺伝学・エピジェネティクス的調節の研究、胚と胚乳の発生過程における転写調節ネットワークの研究、初期胚発生と形態形成の分子調節ネットワーク研究、胚と胚乳発生過程におけるホルモン調節研究。

 植物器官発生と形態形成の調節ネットワーク。植物地上器官の発生・成熟・老化の分子基盤およびその植物生長と適応性に対する調節機構の研究、植物の開花、生殖器官の形態形成など有性生殖過程に関する分子機序研究、環境因子が植物の複雑な形質形成と可塑性へ影響を与えることに関する遺伝学・エピジェネティクス機構の研究、根茎の生長・発生に関する分子調節とネットワーク研究。

(二)生殖発生と生殖調節

 減数分裂の調節機構。雌雄の減数分裂調節の差異に関する分子基盤研究。有糸分裂から減数分裂への転換機構研究、相同染色体の識別・対合・シナプシス・交換と分離の機構研究、減数分裂細胞の周期チェックポイント調節に関する分子機構研究、減数分裂の停滞と回復の調節機構研究、減数分裂の分子進化研究、遺伝因子と環境因子が減数分裂へ影響を与える機構研究。

 始原生殖細胞の起源と生殖細胞の運命決定。モデル動物とヒト細胞モデルを利用して、始原生殖細胞の起源、移動、増殖と減数分裂開始に関わるコア遺伝子をスクリーニングする。始原生殖細胞の運命を決定する分子基盤を解析する。始原生殖細胞と性腺発生の調節機構を探求する。

 配偶子の発生、成熟と受精の分子基盤。生殖細胞の発生・成熟・生存とアポトーシスの調節機構研究、精子卵子の識別と受精機構研究、母源因子と父源因子の初期胚発生に対する作用研究、上述の過程に基づく新型避妊薬剤候補物質のスクリーニングと機能評価研究。

 卵胞の形成、発生と排卵の分子機構。卵胞発生と発生開始の分子基盤と機構研究、主席卵胞の選択と排卵の分子調節ネットワーク研究、卵胞閉鎖の分子標識研究。

 妊娠過程における胚の選択機構。初期胚発生のエピジェネティック選択の基礎研究、栄養膜細胞の発生と運命決定の分子機構研究、母体と胚との対話と組織適合性の分子基盤研究、肺胞発生の免疫特権機構研究、胎盤関門の形成と維持の分子機構研究、分娩開始の調節機序研究。

 胚操作の安全性研究と技術体系の最適化。生殖補助による次世代発生に関連する情報をフォローし、関連データベースの充実化を進める。生殖補助技術の安全性評価に資する実験動物モデルを作成し、胚操作に関連する不良妊娠結果の発生機序を研究する。医学倫理に符合することを前提に、臨床資源を利用し、ヒト胚操作の安全性研究を行う。胚操作安全性の分子標識と新方法を探求し、胚操作体系を最適化する。

 ヒトの生殖に関連する器官、組織と細胞のリソースバンク。国内複数の大型臨床センターの提携により、ヒト生殖関連の器官、組織と細胞リソースバンクとそれに対応するデータベースシステムを構築し、そしてこれを基に、生殖器官・組織・細胞の保存に関する基礎研究を行う。

 植物有性生殖の分子機構。植物の生殖器官と配偶体発生の機構研究、植物の授粉・受精過程の分子機構研究、接合子極性の形成と胚の形態形成に関する分子基盤およびエピジェネティック制御研究、植物の性別決定と分化に関する分子機構研究、減数分裂調節と無配偶生殖の遺伝に関する基礎研究、植物生殖障害の分子と進化機構研究。

(三)発生と生殖に関係する重大疾患の基礎研究

 重要な妊娠疾患の発生機構。わが国で多発する妊娠疾患、例えば習慣流産、子癇(しかん)前症、早産などについて、大標本による中国人の特徴ある重要な遺伝特徴研究を行い、疾患を予測・スクリーニングするための分子標識を選別・同定し、疾患の遺伝学・エピジェネティクス的分子基盤を明らかにし、そして、それらの次世代の長期発生への影響を解析し、疾患の統合的治療のために科学的分子標的バンクを提供する。

 ヒトの先天異常の遺伝機構。ヒトの先天異常の遺伝・発生機構研究。ヒトの重大な先天異常・疾患の動物モデルを作成する。先天異常の遺伝子診断と予防管理技術の研究。

 精神神経疾患の胚機構。胎生期と乳児期の脳発生調節機構研究。脳発生異常によって引き起こされる一般の精神神経疾患の神経生物学、遺伝と分子機構研究。精神神経疾患の早期診断と早期介入治療に資する理論的基礎と方法を確立する。

 組織・器官変性疾患の生物学基礎。変性疾患の遺伝学・生物化学的研究、変性疾患と生理学的過程の相互関係に関する研究、変性疾患の遺伝子診断研究、細胞死と変性疾患との関係に関する研究など。

 がんの発生生物学研究。がん遺伝子とがん抑制遺伝子の細胞・組織と器官の発生に対する影響研究、発生過程における細胞分裂と増殖異常およびがんの機序研究、がんの遺伝発生学基礎研究。

 排卵障害性疾患の分子基盤。排卵障害性疾患に関連する候補遺伝子を選別・同定し、それと内分泌異常との関係を研究する。排卵障害性疾患がもたらすインスリン耐性を中心とする代謝障害機構を研究し、排卵障害性疾患の発症機構を解析し、疾病予防管理と介入の新しい方法を開発する。

 生殖能力の維持と疾患。生殖能力の減退・喪失に関する遺伝学機構研究、重大疾患およびその治療過程における生殖能力の一時的および恒久的損傷に関する研究、伝統漢方薬と小分子化合物の生殖能力維持・促進に貢献することについての研究、生殖能力の再形成と生殖器官の体外再建に関する研究。

 栄養と環境因子によって引き起こされる発生・生殖欠陥の分子機構。栄養と環境因子の胚発生に対する影響およびその機構研究、わが国の先天異常多発地域での重大環境因子のスクリーニングおよびその影響に関する分子機構研究、わが国主要な汚染物質と栄養欠乏の生殖発生と胚発生に対する影響およびその細胞・分子基盤研究、重大環境汚染物質に対するリアルタイム観測制御に資する動物モデルの研究。

(四)発生・生殖研究システムプラットフォームの整備

 ヒト重大疾患に用いる遺伝子組み換え霊長類動物モデルの研究。ブタなどの家畜あるいはげっ歯類動物の幹細胞と霊長類の胚もしくは個体とのキメラ・移植後の発生能力およびキメラと器官移植組織との適合性に関する分子基盤研究を行う。新しい手法でヒトの重大疾患に用いる霊長類動物モデルを作成し、組織適合性(MHC遺伝子ファミリー)の分子基盤を深く理解する。

 発生・生殖研究に用いる伝統形式の生物プラットフォームとリソースバンク。発生・生殖研究を踏まえて、小分子薬物スクリーニングの技術基盤を構築・改善する。ショウジョウバエ、センチュウ、ツメガエル、ゼブラフィッシュなどの共有型モデル生物の資源バンクを構築・改善する。

 マウス/ラット生殖・発生疾患モデル。マウス/ラット発生・生殖関連モデル資源の収集と整理を組織的に行う。マウス/ラット生殖・発生疾患研究の新しいモデルを大いに開発する。

 大型動物モデルシステム。ブタ、サルなどのゲノミクス、トランスクリプトミクス、イムノミクス、メタボロミクスを系統的に研究し、ブタとサルの生殖・発生の生物学的特徴を研究し、ブタ・サル研究に関する生理学、免疫学、画像学などの技術手段を改善し、関連データベースを構築する。関連する細胞系、分子標識プローブ、特異抗体などの検査手段を開発し、ブタ、サルなどの大型動物が発生・生殖研究のモデル系になるよう促進する。

 大型動物遺伝子修飾技術の統合とイノベーション。ブタをモデルにして変異誘発など遺伝子修飾と遺伝子発掘の新技術を確立し、特殊形質を有する品種系を選び、大型動物の新しい遺伝子と重要機能遺伝子の分子機構研究を実施する。大型動物の遺伝子ノックイン・ノックアウト技術を確立し、発生・生殖、生物医学の基礎・臨床研究を促進する。

 発生・生殖の安全性と倫理学研究および社会貢献。発生、生殖と再生医療研究および応用の安全性と倫理学指導原則をさらに充実し、発生・生殖研究の成果と資源を社会へ応用するためのネットワークシステムを構築する。

四、保障措置

(一)トップダウン設計を強化し、特定研究計画を徹底して実施する

 発生・生殖研究重大科学研究計画を引き続き実施し、トップダウン設計と統一計画調整を強化し、公衆衛生に関する国の重大戦略需要と生殖・発生科学の世界最先端に向かって、重大科学目標の指向性さらに強化し、プロジェクト首席科学者責任制とイノベーション奨励の評価メカニズムを改善し、系統的で独創的な重大成果の創出を促進する。

(二)基地建設を強化し、プロジェクト・基地・人材の結合を促進する

 発生・生殖研究基地の建設を引き続き強化し、国家重点実験室、国家生殖補助工学センターなどの研究基地に基づく研究プラットフォームの役割を十分に発揮し、プロジェクト、基地と人材の緊密な結合を促進する。科学技術資源の開放・共有メカニズムを強化し、科学技術資源の合理的配置と効率的利用を促進する。

(三)イノベーション人材の育成と誘致を強化する

 各種のハイレベル人材計画を利用して、国際的な視野を持ち、発生・生殖技術の発展をリードできる一群のハイレベルリーダー人材を育成する。体制・メカニズムを革新し、政策環境の最適化をはかり、保障措置を強化し、海外から優秀人材の誘致に力を入れ、世界一流レベルの発生・生殖研究チームを養成する。

(四)国際協力と科学普及を強化する

 優秀な外国人科学者と海外の優秀な華人学者を吸引して、多様の形で発生・生殖研究重大科学研究計画の実施に参加させ、わが国科学者の国際協力への参加と国際組織での任官を支援し、国際協力計画を提案することを奨励する。科学普及を重視し、科学精神を発揚し、科学普及事業を重大科学研究計画実施の目標と任務の一つとして、全国民の科学リテラシー向上を促進する。